妹はこの世界でただ一人の味方
勝負に勝って試合で負ける
フラフラと体をぶらつかせていた。2人はジッと見つめ、油断がなかった。
ザッ
ウェイジが一歩前に足を出すと2人は少し腰を低くした。
次の瞬間学は斜め45度程度に体を向け、ウェイジの手刀を避けた。
そのままウェイジは右ストレート、左ストレートを交互に繰り出した。学はそれら全てを避けていた。
速いし、多分強い。それでも13階の方が強かったな。この程度大した相手じゃない。
「くっ! やはり速いですね。全く当たる気がしません。」
「だったら怪我をしないよう防御に全力を尽くしな!」
次は学の右ストレートがウェイジの顔をめがけて繰り出された。ウェイジは無意識のうちに防御をしていた。その結果、吹き飛ばされて壁に当たるだけで済んだ。
「っ...これはヤバイですね。一撃でこの重さですか。直接当たってたら即死でしたね。」
「その割には結構余裕があるように聞こえるな。もっと緊張感を持った方がいいんじゃないのか?」
「ふっ」とウェイジは薄い笑みを浮かべた。その笑みは諦めなどではなく、未だ勝利を信じている学へと向けた哀れみの笑みだった。
「ほら、よく言うじゃないですか。勝負には勝って試合に負けると。まさしく今の状況だと思いませんか? あなたは戦いでは私に勝つでしょうが試合・・・勝負では私が勝ちますよ。」
「ほざいてろ。」
先ほどと同じスピードで学はウェイジに詰め寄り、今度は左ストレートを放ったがウェイジはその手を掴んだ。
「なっ!」
次の瞬間、学は天井へと放り投げられていた。背中に受ける衝撃に耐えながら、体勢を変えようと天井を蹴ろうとした。しかし、ウェイジは追い討ちをした。学が体勢を変える前に飛び、全力で顎へと殴った。
学は体勢を変えようと動いていたため、右手でしか攻撃を受け止めることが出来なかった。
この軌道から考えると、顎、喉笛のどちらかか。どちらとも当てられると戦いに大きな影響が出る。
学は瞬時に右手の平を出してウェイジの拳を一瞬だけ受け止めた。触った瞬間力では負けると察知した学は、軌道だけを変えることに専念した。
学の技術がウェイジの予想を上回るもので、ウェイジの拳は耳にかすっただけですんだ。
学は目の前にいるウェイジを蹴る落ちし、自分も距離をとって地面に落ちた。
「・・・想像以上でした。ステータスに頼った戦い方以外にも出来るんですね。」
「どんな状況でも戦えるようにはしないといけないからな。戦いの最中にパニックを起こしたら勝負にすらならない。」
ウェイジが近づき、学の顔へと左で殴った。学はその腕を掴むと背負い投げをした。
叩きつけられるはずのウェイジだったが、背負い投げられている最中に体勢を変えて、学の首へと足をかけ締め上げた。
 ぐっ!息が・・・。クソ!外せない!
息をすることができない学は、多少のダメージを覚悟してウェイジに当たるように壁へと走り出した。壁に当たる瞬間ウェイジは技を止めて壁には学だけがぶつかった。
ズガァァァァン!!
「危ないですね。いや、もしくはダメージを覚悟して意識を失わせた方が良かったですかね?」
ウェイジは左肩を抑えている学にそう言った。学は俯いていて表情は分からなかった。
「お前が圧迫したのは気道だ。苦しいが、意識を失うには数分必要なんだ。覚えておけ。数秒で意識を失わせたいなら血管を圧迫するんだったな。」
学はそう言い頭の中で唱えていた回復魔法を使い、痛みを和らげた。
ウェイジは初めて聞いた情報だったらしくメモを取っていた。
「その情報は初めてでした。思わずメモを取ってしまいましたよ。情報提供感謝します。」
「そりゃよかった・・・な。」
学はいきなり辺りを見渡してその存在がないと分かると目の前にいるウェイジを睨んだ。
「おい。結衣はどうした?」
威圧的な言葉と形相だったが、ストロングの威圧にも耐えれるウェイジはなんとも思わなかった。
「言ったでしょう?勝負に勝っても試合には負けると。あなたの負けとは、すなわちーーー妹がいなくなることです。」
ズガァァァァン!!
ウェイジが気付いた時にはすでに壁へと叩きつけられていた。顔を掴まれて、何度も顔が壁に当たって血も出ていた。
「早く答えろよ。どこに行ったんだよ。
「ふっ・・・言うわけありませんよ。」
次の瞬間ウェイジを中心とする爆発が起きた。危険を察知した学は紙一重ではあったものの、距離を取っていて無傷だった。
自害?・・・流石にそれはないか。何にせよ、あの技にも注意を払っておいた方がいいな。
爆発が鎮まると学は再びウェイジのいた方に向かった。砂埃が舞っていて、正確な場所は分かっていなかった。
しかし学は極限まで音に集中していた。
次の瞬間学は目をいきなり開けてある所へと走り出した。そして影が見えると動きに注意しながら殴りかかった。
しっかりとそのパンチは当たった。魔法でそこに飛ばされていたウェイジの上着には。
学が驚いて隙ができた僅かな瞬間はウェイジが攻撃を与えるに多すぎる時間を与えた。
学は下にいたウェイジに気づくことができなく、左足のスネに蹴られてしまった。
「っ...!」
「まだまだいきますよ。」
ウェイジはスネを蹴られて動きが鈍くなってる学に攻撃をし続けた。
学の動き、特に左足を使う動きは普段の3分の1ほどまで落ちていた。ウェイジは隙あらば左足を狙おうとしているので学の精神はすり減っていた。
左足は折れているな。回復魔法を使える時間すらくれないか・・・。
「ああ、言い忘れてましたが妹さんは大丈夫ですよ。信じる信じないは勝手ですが、命だけは保証します。」
「だったら今すぐ結衣を返せよ。」
「それはできませんね。第一戦いの最中ですから。休ませませんよ。」
学に回復魔法を使わせないため、ウェイジは攻撃を再開した。
学は息を軽く吐くとウェイジが殴ってくるのを見極めた。殴ってきたものを全てさばき、しばらくはダメージがお互いに入らない戦いになった。
何十回目か、ウェイジが殴ってきたのを学が掴み、今度は背負い投げないで、空いた左手で腹を殴った。
ウェイジはそれを受け止め、ガラ空きになった学の肩を殴った。
痛みに耐えながら学は殴られた手を掴み空いた腹に右足で蹴りを入れた。
しかしそれをウェイジは左足を上げて止めた。学は予想通りだったらしく、残った左足で飛び回転をかけながら顔を蹴り飛ばした。
ウェイジは折れた足で蹴るとは思わず、防御をしないまま飛ばされた。
学はすかさず回復魔法を使い、足の骨折を治した。ついでに痛みがあった肩も魔法をかけた。
未だ地に伏せているウェイジに向かって学が言葉を放った。
「さぁ結衣の居場所を教えてもらおうか。」
そう学は不敵に笑った。
--------------------------------------------
以下作者のコメント
新作を製作中です。現時点で3話書き終わっています。これは受験前で投稿できない日に出そうと思っています。
タイトルは決まってないのでまたいずれ教えようと思います。
最近お菓子作りにハマっていて、一昨日はロールケーキを作りました。昨日はプリンでした。今日はゼリーです。
実際ゼリーとプリンは簡単だったので、お菓子作りとは言えないかもしれませんが...
ん?味ですか? 店で買ったほうが良かったとだけ言っておきましょう。
次回は結衣編です。
それではまた次回(´ω`)
いいね、コメント、フォローお願いします。
ザッ
ウェイジが一歩前に足を出すと2人は少し腰を低くした。
次の瞬間学は斜め45度程度に体を向け、ウェイジの手刀を避けた。
そのままウェイジは右ストレート、左ストレートを交互に繰り出した。学はそれら全てを避けていた。
速いし、多分強い。それでも13階の方が強かったな。この程度大した相手じゃない。
「くっ! やはり速いですね。全く当たる気がしません。」
「だったら怪我をしないよう防御に全力を尽くしな!」
次は学の右ストレートがウェイジの顔をめがけて繰り出された。ウェイジは無意識のうちに防御をしていた。その結果、吹き飛ばされて壁に当たるだけで済んだ。
「っ...これはヤバイですね。一撃でこの重さですか。直接当たってたら即死でしたね。」
「その割には結構余裕があるように聞こえるな。もっと緊張感を持った方がいいんじゃないのか?」
「ふっ」とウェイジは薄い笑みを浮かべた。その笑みは諦めなどではなく、未だ勝利を信じている学へと向けた哀れみの笑みだった。
「ほら、よく言うじゃないですか。勝負には勝って試合に負けると。まさしく今の状況だと思いませんか? あなたは戦いでは私に勝つでしょうが試合・・・勝負では私が勝ちますよ。」
「ほざいてろ。」
先ほどと同じスピードで学はウェイジに詰め寄り、今度は左ストレートを放ったがウェイジはその手を掴んだ。
「なっ!」
次の瞬間、学は天井へと放り投げられていた。背中に受ける衝撃に耐えながら、体勢を変えようと天井を蹴ろうとした。しかし、ウェイジは追い討ちをした。学が体勢を変える前に飛び、全力で顎へと殴った。
学は体勢を変えようと動いていたため、右手でしか攻撃を受け止めることが出来なかった。
この軌道から考えると、顎、喉笛のどちらかか。どちらとも当てられると戦いに大きな影響が出る。
学は瞬時に右手の平を出してウェイジの拳を一瞬だけ受け止めた。触った瞬間力では負けると察知した学は、軌道だけを変えることに専念した。
学の技術がウェイジの予想を上回るもので、ウェイジの拳は耳にかすっただけですんだ。
学は目の前にいるウェイジを蹴る落ちし、自分も距離をとって地面に落ちた。
「・・・想像以上でした。ステータスに頼った戦い方以外にも出来るんですね。」
「どんな状況でも戦えるようにはしないといけないからな。戦いの最中にパニックを起こしたら勝負にすらならない。」
ウェイジが近づき、学の顔へと左で殴った。学はその腕を掴むと背負い投げをした。
叩きつけられるはずのウェイジだったが、背負い投げられている最中に体勢を変えて、学の首へと足をかけ締め上げた。
 ぐっ!息が・・・。クソ!外せない!
息をすることができない学は、多少のダメージを覚悟してウェイジに当たるように壁へと走り出した。壁に当たる瞬間ウェイジは技を止めて壁には学だけがぶつかった。
ズガァァァァン!!
「危ないですね。いや、もしくはダメージを覚悟して意識を失わせた方が良かったですかね?」
ウェイジは左肩を抑えている学にそう言った。学は俯いていて表情は分からなかった。
「お前が圧迫したのは気道だ。苦しいが、意識を失うには数分必要なんだ。覚えておけ。数秒で意識を失わせたいなら血管を圧迫するんだったな。」
学はそう言い頭の中で唱えていた回復魔法を使い、痛みを和らげた。
ウェイジは初めて聞いた情報だったらしくメモを取っていた。
「その情報は初めてでした。思わずメモを取ってしまいましたよ。情報提供感謝します。」
「そりゃよかった・・・な。」
学はいきなり辺りを見渡してその存在がないと分かると目の前にいるウェイジを睨んだ。
「おい。結衣はどうした?」
威圧的な言葉と形相だったが、ストロングの威圧にも耐えれるウェイジはなんとも思わなかった。
「言ったでしょう?勝負に勝っても試合には負けると。あなたの負けとは、すなわちーーー妹がいなくなることです。」
ズガァァァァン!!
ウェイジが気付いた時にはすでに壁へと叩きつけられていた。顔を掴まれて、何度も顔が壁に当たって血も出ていた。
「早く答えろよ。どこに行ったんだよ。
「ふっ・・・言うわけありませんよ。」
次の瞬間ウェイジを中心とする爆発が起きた。危険を察知した学は紙一重ではあったものの、距離を取っていて無傷だった。
自害?・・・流石にそれはないか。何にせよ、あの技にも注意を払っておいた方がいいな。
爆発が鎮まると学は再びウェイジのいた方に向かった。砂埃が舞っていて、正確な場所は分かっていなかった。
しかし学は極限まで音に集中していた。
次の瞬間学は目をいきなり開けてある所へと走り出した。そして影が見えると動きに注意しながら殴りかかった。
しっかりとそのパンチは当たった。魔法でそこに飛ばされていたウェイジの上着には。
学が驚いて隙ができた僅かな瞬間はウェイジが攻撃を与えるに多すぎる時間を与えた。
学は下にいたウェイジに気づくことができなく、左足のスネに蹴られてしまった。
「っ...!」
「まだまだいきますよ。」
ウェイジはスネを蹴られて動きが鈍くなってる学に攻撃をし続けた。
学の動き、特に左足を使う動きは普段の3分の1ほどまで落ちていた。ウェイジは隙あらば左足を狙おうとしているので学の精神はすり減っていた。
左足は折れているな。回復魔法を使える時間すらくれないか・・・。
「ああ、言い忘れてましたが妹さんは大丈夫ですよ。信じる信じないは勝手ですが、命だけは保証します。」
「だったら今すぐ結衣を返せよ。」
「それはできませんね。第一戦いの最中ですから。休ませませんよ。」
学に回復魔法を使わせないため、ウェイジは攻撃を再開した。
学は息を軽く吐くとウェイジが殴ってくるのを見極めた。殴ってきたものを全てさばき、しばらくはダメージがお互いに入らない戦いになった。
何十回目か、ウェイジが殴ってきたのを学が掴み、今度は背負い投げないで、空いた左手で腹を殴った。
ウェイジはそれを受け止め、ガラ空きになった学の肩を殴った。
痛みに耐えながら学は殴られた手を掴み空いた腹に右足で蹴りを入れた。
しかしそれをウェイジは左足を上げて止めた。学は予想通りだったらしく、残った左足で飛び回転をかけながら顔を蹴り飛ばした。
ウェイジは折れた足で蹴るとは思わず、防御をしないまま飛ばされた。
学はすかさず回復魔法を使い、足の骨折を治した。ついでに痛みがあった肩も魔法をかけた。
未だ地に伏せているウェイジに向かって学が言葉を放った。
「さぁ結衣の居場所を教えてもらおうか。」
そう学は不敵に笑った。
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以下作者のコメント
新作を製作中です。現時点で3話書き終わっています。これは受験前で投稿できない日に出そうと思っています。
タイトルは決まってないのでまたいずれ教えようと思います。
最近お菓子作りにハマっていて、一昨日はロールケーキを作りました。昨日はプリンでした。今日はゼリーです。
実際ゼリーとプリンは簡単だったので、お菓子作りとは言えないかもしれませんが...
ん?味ですか? 店で買ったほうが良かったとだけ言っておきましょう。
次回は結衣編です。
それではまた次回(´ω`)
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コメント
さらだ
誤字ですね。すいません。新作の方とごちゃ混ぜになってました。
たーくん
学が情報提供した所に黒と言う人物が出てきてますが誤字ですか?
さらだ
あらま(*´Д`*)
きっと愛情がこもってて美味しかった事でしょう。
TNTの部屋
その後お母さんに怒られ泣きながら焦げたクッキーを弟が頂きましたw
さらだ
その後スタッフが美味しくいただきましたとさ。