妹はこの世界でただ一人の味方

さらだ

交渉

「さあ存分に食べていくがよい!」

そう言ってリュードンは強引に俺たちを椅子に座らせた。テーブルには見慣れた料理が広がっていた。それは和食だった。

「これは和食というものでな! 説明せずとも分かるだろう!? ならば乾杯だ。乾杯!」

1人でグラスを掲げるとすぐに食事になった。食べていたのは魔王だけだったが。毒とかが入っているかもしれないからな。

「なんだ食わぬのか?」

「悪いな。食欲がないもんで。」

「ならばその分私が食べてしまおう。捨てるのはもったいないからな。」

その言葉から食べ終わるまでおよそ10分かかった。食べ終わると食後のデザートが出てきた。魔王はそれを食べながら話し始めた。
ちなみに俺たちは雪見◯いふくを食べている。

「お前達は相当強いらしいな。ドーレが言っていたぞ。あいつが他人のことを褒めるところなんて久しぶりに見て驚いた。」

「そこまで強くねぇよ。第一俺1人じゃ歯が立たなかったし。結衣がいて始めて戦闘ができた。結局のところ1人じゃ何もできないのさ。」

「2人だけであいつと互角に戦えるのなら相当すごいと思うぞ。あれでも幹部の中でも4位の実力者でな。頼もしい限りだ。」

「知ってる。それより気になったことがあるんだが、どうして俺たちが来ることを許可したんだ? 普通だったら許可しないだろ。ましてや敵対している人間なんか。」

そこで魔王は初めてデザートを食べる手を止め顎に手をかけた。数分考えたあと言った。

「私は思うのだが普通とはなんだ? 人間と魔族が敵対するのが普通か? 魔族と人間が手を組んで共に生きて行くのは異端か? もしそうであれば私はその意見に対して否を唱えよう。」

「・・・じゃああんたにとっての普通ってなんだ?」

「・・・ふむ。難しい質問をしてくるものだな。」

それから長い時間をかけて導いた答えは学たちが拍子抜けするものだった。

「分からん。」

長い時間かけた割には普通の答えだな。逆にここで何かしらこれ以外の答えを答えたのなら論外だった。

「普通とは私が決めれることではないからな。私がこれが普通だ!と強調しても民がそれを普通だと思わなければそれは普通ではないからな。普通とは難しいな。」

続いて魔王はさてと言い学たちに質問した。

「次はこちらから質問をさせてもらおうか。先ほど敵対している人間と言っていた。しかし連絡通りならそちら側が会いたいと言って来たそうだな。ならこちらはこう言おうか。何故敵対している魔族のところに来ようと思ったのだ?」

なるほど、そう返して来たか。たしかに一見してみると矛盾しているような話になるな。だが

「少しばかり交渉しようと思っただけだ。これからのことについてな。」

「交渉?」

「ああ交渉だ。俺たちは基本的に魔族との関係を断つ。お前たちは俺たちからの被害を受けない。どうだ?」

判断材料としてドーレと2人とはいえ同等に戦ったのは凄いことらしい。つまり俺たちが完全に魔族を排除しようと動けば多大なる被害が出ることだろう。そうならないためには条件を飲むしかない。
ただ一番心配なのは・・・。

学が嫌な予想をしたが、それを魔王はした。

「ふむ。なるほど。だが私がその要求を飲む必要はないのではないか?」

魔王はパチンと指を鳴らすと外から3人の男が入ってきた。2人の顔に見覚えはないが1人は知っていた。先日戦ったばかりのドーレだったからだ。

「私が合図をすればお前たちは3人にやられて死ぬだろう。ここでの交渉は意味を持たない。違うと思わんか?」

チッ。人が一番嫌がることをしてくれたな魔王さんよ。・・・とはいえ結構まずいな。本気で合図されたらここから抜け出せるとは思えない。どうするか・・・。

頭を高速回転させていた学だったが、それは杞憂に終わった。

「・・・冗談だ。私たちもお前たちと好んで戦うような真似はしたくないのだが、交渉内容は承諾できん。」

「理由を聞いても?」

「まずこちらとの交流を切るとのことだが、それは不可能に近いだろう。そしてもう1つとしてお前たちから被害を受けないとあるが具体的な詳細が分からん。承諾するにしても今の二点を改善しない限りは交渉は決裂とさせていただこう。」

交渉が決裂となるとここまで来た意味がなくなるな。言ってることが全て本心だと言っても多分信じてくれなそうだしな。

「じゃあその二点を考えておきたいから今日はここで帰るとしよう。もてなしてくれたのにノリが悪くて申し訳なかったな。」

「なんだ。もう帰ってしまうのか。こちらこそ大したもてなしもせず申し訳なかった。次来た時には尚良い歓迎会を開くとしようか。」

いや、もう来たくないんですけど。


その後学たちは家に戻された。

「お兄ちゃんお疲れ様。」

「交渉は決裂。それに機械のことも聞けなかった。全然ダメだったけどな。」

相手より力が劣るなら自分を下に交渉をしなくてはいけない。少しでも機嫌を損ねてしまったら終わりだからな。

「・・・そういえばカラカラは何を話してたんだ?」

学は思い出したように聞いた。学が魔王と話してた時部屋で同じ模様を持ったスライムと話していたのを見て気になったのだ。

「大したことじゃありませんよ。」

「そうか。・・・いろいろバタバタしちゃったがせっかく家の帰れたんだ。何か食べたいものはあるか?腕によりをかけて作ってやるよ。」

3人はその後学が作った料理を食べて家に帰って来たことを実感するのだった。


魔王城
「魔王様。今日は性格も言葉遣いも変わっていましたね。」

そう言ったのは魔王軍の幹部序列6位であるフーベルだった。彼は執事のような服装をしていて、実際に執事でもある。しかしその高い身体能力から幹部にも抜擢されるほどの実力者でもあった。

「人間との対話はあんな感じに盛り上げるのがいいと書かれてたからな。あれじゃ少し引いてたような気がして胃が痛い・・・。それよりどうだった?」

「ええ。大丈夫でしたよ。彼らにそんな気は無かったようです。そしてあの事も本当だったみたいですよ。」

フーベルが使っていたスキルはユニークスキルである「真偽」というものだった。対象人物が言ってることが真実か偽りかが分かるというスキルだ。魔王は事前に学が言ってることが本当かどうかを調べるように言っていたのだ。

「ならいいか。今現在彼らより強い相手はいないと言っていいだろう。・・・心配なのは。」

「ええ。彼ですよね。」

2人が言ってる彼とは黒ずくめの正体であった。

「私のスキルも効かなかったのでスキル無効化系統を持っている可能性がありますね。」

「なんにせよ注意をしといて損はないな。」

魔王たちはその後も黒ずくめの男について話し合うのだった。


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以下作者のコメント
なんかすいません。書き終わってみるとこの話つまんないように思えてきました。
今日は2/17。学年末が2/26。まあなんとかなるでしょう。今まで習ったことを復習さえして仕舞えば。

提出物をしないといけないのでこれで失礼させていただきます。

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コメント

  • さらだ

    仮についたとしたら、速攻で学が治して、怪我をさせた生物を殺すから大丈夫です。(←何が大丈夫なんだ?)

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  • ちょっと二次元が好きです

    冒険し過ぎて結衣の顔に傷がつかないようにお願いします

    1
  • さらだ

    コメントして下さって有難う御座います。これからはなるべく冒険多めで書いていきたいと思います。

    0
  • たーくん

    面白いから良いと思います。それにこれから冒険するのでも遅くないと思いますよ。まあ作者さんの好きなように書けば良いと思います。

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  • さらだ

    一応冒険ジャンルなんですけど冒険してないと最近思ってしまいます。

    0
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