天才と煩悩

auz赤葦

進化をやめた天才-はじまりのとき②

4ヶ月前

そいつはあの時と同じようにやってきた。いつもと変わりなく彼女の緑川紅葉(みどりかわくれは)とバスで帰っている時のことだった。忘れもしないあの名前。木下陽気(きのしたようき)『後で知ったことだが指名手配を受けていたらしい』

「動くな!」
この一言が不幸の始まりだった。
「なんだ君は。」
ある男の人が木下に近づきながら言った。その瞬間、破裂音のような音が耳の中に響き渡った。男の人が崩れるように倒れた。気づいたら足が血まみれになっていた。
「もう一度言う。動くな、次は命がないと思え」・・・

何分経っただろうか。隣にいる紅葉に声を掛けられるまで、まるで意識がないも同然のような状態が続いていた。次に耳の中に入ってきた音は電話のコール音だった。その時、木下の口がまた開いた。
「バスジャックをしたよ。要求?じゃあねー、1億円。あと安全な逃走経路。30分でよろしくね。またかけ直すよ」
え、その言葉を聞いた瞬間にそう思った。あと、最低でもthe30分、このままだと思うとまた意識を失うような感覚を陥った。

なにかが俺の服に触れた。紅葉の手だった。それでまたしても目覚めた。紅葉の第一声は
「今あの人油断してるよ。銃盗めるかな?」
何を言ってるんだ。そう思った俺は
「辞めとけ、無理だ」
そう言ったつもりが紅葉の耳には届かず、紅葉は行ってしまった。そして案の定、気づかれてしまい、打たれてしまった。幸か不幸か打たれた場所は肩。命に別状は無いもの、紅葉はテニス部のエースのような存在だった。

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二回目の更新です
不定期の予定でしたが毎週月曜日に更新していきたいと思います
次回の更新予定は12月11日です

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