部活の後輩と付き合ってみた

きりんのつばさ

将来の事

「ところで拓海」
「なんだ?」
話をし始めてしばらくして親父が話を振ってきた。
「お前、将来就活だろ? どうすんだ?」
「一応、インターンとかにはちょこちょこ行っているよ」
部活や授業の合間に企業のインターンや大学での会社説明会
には行っている。
……理由は早くやっておけば早く就活を終わる事が出来る
だろうと思っているからだ。早く終わればその分七海と一緒に
暮らせる事が出来る。
「お〜流石我が息子、行動は早いな!!」
「その“は”って言うのが妙に癪に触るけど一応ね」
「おぉ〜センパイ、あんな日曜とかにちょくちょく出かけて
いたのは浮気じゃないんですね〜見直しました!!」
「何故僕が浮気をしなきゃいけない?」
「私に飽きた、から?
ーーしくしく、私とは遊びだったのね……悲しい」
「七海はその分かり切った演技をやめようか」
「おいおい拓海、お前って奴は……まさかそっちの行動も
早かったのか……」
「拓ちゃん……貴方は」
「親父や母さんもその演技に乗らないでくれ」
「えっ、違うのか?」
「違うのかしら?」
「違うに決まっているだろうが!?」
……両親の中での僕はどんな性格の人間なのだろうか。
「まぁ話を戻そうか」
「……話を逸らしたのはそっちだけどな。で、何?」
「拓海さえ良ければなんだが
ーー俺が務めている会社のインターン受けてみないか?」
「へっ?」
「だから俺が今勤めている会社のインターンが近々開催
されるから受けたらどうだ? って話だ」
親父が今勤めている会社って言ったら国内でもかなり有数の
商社であり、毎年多くの学生が受ける会社である。
……そもそもインターンですら試験が課されるぐらいの
人気企業だ。
「でも確かインターンの締め切り終わった様な……」
「馬鹿野郎、わざわざ締め切り前のを持ってくるか普通。
ーーお前ぐらいなら無理矢理ねじ込ませる事が可能だ」
「いやそれってダメなんじゃ……」
「はっはっはっ!! 不可能を可能にするのが俺だ!!」
「おぉ〜カッコいいですお義父さん!!」
と目を輝かせる七海。
……そして今日何度かイントネーションがなんか違う気が
するのはもう突っ込まないでおこう。
「だろ七海さん? 拓海さえ良ければだがどうだ?」
「僕……? あいにく僕は親父程の度胸は無いぞ?」
親父はこの厚顔無恥並みの度胸とここぞというヒラメキで
今まで色んな商談を成功させてきた。ある意味親父は営業が
天職に近いのかもしれない。
「ハハッ確かにお前はチキンだからな!!」
「そうですよセンパイってチキンなんですよ〜」
「拓ちゃん……七海さんが誘っているなら攻めないと〜」
「母さんはいきなり何を言い出すのかな!?
というか七海と親父が言うチキンは意味が違うよ!!」
「「えっ、同じだけが(ど)?」」
「2人揃って喧嘩売ってるの!?」
というかこの場に僕の味方はいないのか?
……そう言えばだいぶ前からいなかったな。
「まぁまぁそんなにカッカすんなって」
「……今度覚えてろよ親父」
「おうおう怖い怖い」
「誰のせいだ誰の!!」
「で、さっきの話だが……」
「話をいきなり戻すな!! いきなり!!」
「俺がお前を推薦した理由はだな……」
「僕の話は無視なのね……分かった、勝手にしてくれ」
「拓海、お前は自分が言うほど度胸は無い訳では無い。
七海さんや森君の話を聞いていると結構色んなところで
頑張っているようじゃないか」
どうやら七海は僕が森の件とかで色々とやった事を僕の両親に
喋っている様だ。
「七海……? 君は何を話したのかな……?」
「い、いや〜センパイ? 私にも色々と理由があってね……?」
「ーー七海は親が帰った後で説教かな」
「酷いよ!?」
「まぁまぁ七海さんに怒るなって。俺が営業をする際に
1番大切にしているのは“今目の前にあるピンチをどういう風に
変えていける”からだから拓海はそれが充分出来ている。
だから俺はお前にインターンを勧めた」
「僕は別に……大したことはしてないし」
「だがな、森君の事件ではよくあの状況から切り返して
いけたと思うがな」
「あれはたまたまだよ、たまたま」
「運も実力というからな。
七海さんはどう思う」
「センパイか……私はセンパイなら大丈夫だと思います。
私達がピンチだといつも以上に頭が切れますからね」
「七海……分かった、インターンやってみるよ」
「うし!! 良く言った、じゃあ人事の奴に連絡入れて
おくとするか……」
と携帯を取り出し連絡をしている親父。
「まぁ拓ちゃんなら大丈夫よ。
貴方はもう少し自分に自信を持ちなさい」
「分かった、出来る限りそうしてみるよ」

コメント

  • Qual

    ご多忙中なのはお察ししますが更新待ってますよ〜!!(*^^*)

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