部活の後輩と付き合ってみた

きりんのつばさ

クリパ当日








クリスマス当日

勢いよく僕の家のドアが開いた。
「ただいま〜!! センパイご飯
ーーってなんじゃこりゃ!?」
七海が入ってきた途端、驚いた表情をした。
「女の子がなんじゃこりゃって言わないの。
見て分からない? クリスマス用の料理だよ」
「チキンに、ローストビーフ、フライドポテト
パスタに、私がふざけで言ったおにぎりまである!?」
「あっ、ケーキは冷蔵庫で冷やしてあるよ」
「ま、ま、まさかこれをセンパイ1人で……?」
「まぁ……ローストビーフは買ってきたけど。
それ以外は自力で作ったよ」
「だからセンパイは私を朝から散歩に
行かせたんですか!?」
「う、うん。そうだよ」

実は今日は朝から七海を外に出させていた。
理由はとても簡単で、ローストビーフを除く
料理を作っている場面を見られたくなかったからだ。
……なお仕込みは昨日の夜からしていた。
お陰で今かなり眠い。

「センパイすごっ!! うわぁ〜どれも美味しそう〜!!
ねぇねぇセンパイ早く食べようよ!!」
とキラキラした表情で言ってくる七海。
この表情を見られただけ徹夜をした甲斐が
あったと思える。
「うん、じゃあ食べようか。
ーーってつまみ食いをしようとしない!!
先に手を洗う!!」
とさりげなくつまみ食いをしようとしている
七海を牽制した。
「ヒィ!? バレた!!」
「ほら、さっさと洗ってくる……」
「は〜い!!」
「……僕は七海の保護者か。
ーーってあながち間違ってないよな」
なんて思っていた僕であった。



「じゃあ乾杯しようか」
「うん!!」
「「乾杯〜!!」
カランッ
グラスがいい音をたてて重なった。
「くぅ〜〜〜!! やっぱり仕事上がりの酒は美味い!!」
「七海、君は仕事してないだろ……
第一、中身炭酸だし」
僕達が持っているグラスの中は色はビールみたいだが
実際はただの炭酸だ。
……だって七海にお酒飲ませたら面倒だし。
「何言っているんですかセンパイ!!
気分ですよ気分!!」
「そうなのか……?」
「そうなんですよっ!!
ぷはぁ〜!! うん美味い!!」
「……七海よ、まるでその姿はおっさんだよ?」
「ちょっとセンパイ!? 女性にそれ言いますか!?
こんな可愛い彼女に対して!!」
「可愛いって自分で言うのか……普通?」
「ふふんっ、これぞ彼女特権。
彼氏の前ではいくら自分で可愛いって言っても
許されるまさに彼女だけが許される権利……」
「彼氏特権、行使。
ーーご飯没収」
と料理が入った皿を七海の前から遠ざけた。
「あぁ〜私の料理が〜!?
食べるのが人生での2番目の楽しみである私から
その楽しみを取るんですか!?」
「先にやってきたのはそっちだろ……
ちなみに一番はなんだ?」
もうなんとなく答えが分かるけど、あえて聞いてみる。
「えっへん!! よく聞いてくれましたね!!
私が人生での一番の楽しみはズバリ!!
ーーセンパイとイチャイチャすることです!!」
「あぁ〜今日のチキン、自分でも思うけど
上手く焼けているな〜味がしっかり染みている……」
「ちょっとセンパイ〜!? 私の渾身の告白を
スルーですか!? 酷いですよ!!」
「……だってなんとなく想像できたもん。
その答えは」
「おぉ〜流石私の彼氏……私の思っていることを
予想出来るとは……クリスマス過ぎたけど
ーー婚姻届出しに行く? ほらここにあるし〜」
「いやクリスマス過ぎたけどって何!?
まだ早いだろ!? というかどこから婚姻届
出してきた!?
ーーって七海の欄と七海の親御さんの名前が既に
書いてあるんだけど!?」
というかよく見ると僕の両親の名前も書いてある。
……あの両親め、ふざけた事しやがって。
「あぁそれですか? 私がもらってそれを実家に送って
書いてもらって再び私に送ってもらっています」
「無駄!! はっきり言って無駄!! 
というか究極の無駄遣いだろ!?」
今までどれぐらいのお金が掛かっていたのだろうか?
「知ってますかセンパイ? 
ーー愛の為なら財布の痛みは耐えてみせますと!!」
「ダメだこりゃ……話が通じない……」
僕は手を頭に当てて呆れているのであった。


「うん!!美味しい!! 流石センパイの料理!!」
「良かった、七海が気に入ってくれたようで嬉しいよ」
作った僕としても七海みたいに食べっぷりがいいのを
見ていると実に気分が良い。
徹夜をして作った意味をあるというものだ。
「これだとセンパイに私の好みの味が変えられて
いっちゃう……そしてそのままカラダもセンパイしか
考えられないようになって……このセンパイの鬼畜!!
こんな可愛い彼女にこんな事するなんて!!」
何故か彼女に鬼畜呼ばわりされる僕。
「待ってくれ、今の僕に責められる要素がどこにあった?
詳しく教えてもらえるかな?」
「そ、そんな事女性の口から言わせるんですか!!
この鬼畜!?」
「先に言ったの君だよね!?」
「いやぁ〜でもセンパイしか考えられないというのも
中々良いものですねぇ……既に半分はそんな感じに
なっていますからね」
「そうなの!? 」
「はい、それはもう!!」
と満面の笑みで言われる僕。
……この場合どのように答えればいいのか
だれかこの場合の一番正しい答えを教えて欲しい。
「だって〜授業中も半分はセンパイの事だし〜」
「お願いだから授業を聞いて……」
「登校中は7割がセンパイの事ですね!!
2割がご飯の事ですね!!」
「ある意味君らしい割合だよ!!」
というかあと一割はせめて普通の事を考えて欲しい。
「寝る時なんてセンパイとくっついていますから
ずぅ〜〜っとセンパイの事考えていますね!!」
「そろそろやめて……聞いているこっちが
恥ずかしくなるからさ……」
「えぇ〜我慢してくださいよ〜!!
言っているこっちも恥ずかしいんですから〜」
「じゃあ何で言っているのさ!?」




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こちらも恋愛となっていますので
是非読んで下さると嬉しいです!!

コメント

  • あいす/Aisu

    もう結婚させちゃおうぜw

    3
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