部活の後輩と付き合ってみた

きりんのつばさ

火中の栗を拾うなんてしない主義なんで




「「いただきます〜!!」」
僕らは夕ご飯を食べていた。
現在、僕ら6人は男部屋にいる。
理由は男部屋が女部屋より広いためだ。
「いや〜樋口先輩のおかげですね〜!!
あっ、このお肉美味しい〜!!」
元気良くお肉を食べる我が彼女七海。
「そうだね。って七海、口にゴマついてるよ……」
「えっ、本当? センパイ取って〜!!」
「はいはい……はい、取れたよ」
と僕は七海の口についていたゴマを手で掴み取った。
「そこで自分の口に入れて〜」
「入れないよ……」
「えぇ〜センパイ食べてよ〜!!」
「そうですよ!! 美少女の口についていたゴマを
食べるなんてご褒美ですよ!!」
「そうっす!! 口についたゴマを食べるなんて
まさにラブコメの王道ですよ!!
是非しましょう!!」
「……織田と凛子さん、君らの彼氏彼女を
黙らせてもらえるかな?」
「分かりました」
と言うと織田は与謝野さんの頭を掴むと力を入れた。
「痛い痛い痛い!! 吉晴容赦無いよ〜!!」
「桜……お前って奴は……」
「結城先輩、見てください」
一方の凛子さんは、お皿にあったゴマを一粒掴むと
自分の唇につけた。
「何をしているんだ凛子?」
「さ、さぁゴマが口につきましたよ!!
ら、ラブコメの王道て、展開です!!
結城先輩取って食べてください!!」
「やっぱりこうなるか!?」
「さぁさぁ取ってください!!
愛しの彼女でラブコメの王道ですよ!!
ーーい、愛しのか、彼女なんて……
先輩は何を言っているんですか!?」
「言ってねぇ!?」
「えっ……じゃあ私とは遊び……?
ですよね、先輩みたいなイケメンが私の彼女なんて
ありえませんよね……実は私以外にも彼女がほかに
10人いたりするんですよね……」
「うわぁ……森酷い」
「森先輩、幻滅しました」
「根も葉もない噂で俺の評判がだだ下がり!?
というか与謝野も平塚も分かって言っているよな!?」
「あっ、そういえば凛子さんや
ーー前に森が女子と2人で何かを話していたよ〜」
「与謝野先輩、私も見ました!!
あれは中々の関係の深さだと思います!!」
「ちょっと与謝野さん〜平塚さん〜!?
彼女の前でフェイクニュース流さないでもらえる!?
だって……」
「森先輩に浮気された……浮気された……
ウワキユルサナイ……アイテノジョセイモドウザイ」
そこには目が虚になっている凛子さんがいた。
「……闇落ち凛子になるから」
「わ〜闇落ちだ〜!!」
「私の親友が闇落ちした〜!!」
ときゃあきゃあと騒ぐ七海と与謝野さん。
「笑ってないで助けてもらえるかな!?
ーーく、国木田先輩だ!? 国木田せ」
「肉上手いな、帰ったら味を再現するか……」
「おい〜!? 先輩〜!? 助けて〜!!
いやマジで助けてくださいお願いしますから」
「はぁ〜分かったよ。ちょっと凛子さ」
「ウワキユルサナイ……ウワキユルサナイ
センパイコロシテ、ワタシモシヌ……(カタッ)」
箸をテーブルに置き、ナイフを持ち替えたのを
見た僕は命の危機を感じ……
「さて、味の再現しなくては……」
「先輩、テメェ逃げたな!?」
だって凛子さん、危ない雰囲気出しているんだもん。
「僕は火中の栗を拾うなんてしない主義なんで」
「大嘘つけ!? あんたが一番それをする主義の人間
ですよね!?
ーーじ、じゃあ織田は!? 頼む助け」
「吉晴〜はい、あ〜ん」
「……あ〜ん」
「お〜い同期!? 2人でカップルの世界に入らないで
もらえませんかね!? 同期のピンチだよ!?」
「ーー今度、作ってもらえるか?」
「うん!!吉晴のためなら頑張っちゃうよ!!」
「……もう、遺書書くか」
「今婚姻届って言いましたか!?
ーーここに用意してあります!!」
「準備早っ!? というか婚姻届じゃなくて
俺が書こうとしていたのは遺書だーー!!
ーーてかいつものツッコミ役どこにいった!?
俺確かボケ担当のはずですよね!?」
「ほら、七海、口開けて」
「あ〜ん。
うん、美味しいです!!」
「ツッコミーー!! あぁーーもうなんなんだよーー!!」


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