部活の後輩と付き合ってみた

きりんのつばさ

やれやれ

僕ら男性陣が彼女達に連れていかれたのは
駅近くにあるファーストフード店だ。
なんでも話があるそうだ。
……まぁロクな予感がしないが。
「パクパクモグモグ
あっ、吉晴追加で頼んできて〜」
「はいはい……」
と織田は今日だけで何度目かのパシリにされていた。
「というかなんで七海達がここにいるのさ?
確か選手じゃなかったよね?」
そうだ。
七海、与謝野さん、凛子さんは選手じゃなかった為
本来は都内にいるはずだった。
だが、何故か今3人は目の前にいる……
「それはですね〜某とある人物のリークが始まりで……」
「もうそれって樋口さんだよね? 絶対そうだよね?」
「そしてその人物は言いました
"国木田、織田、森の3人がなんか企んでるよ〜"と」
「……今のって樋口さんの真似かい?」
「シャラップですよセンパイ〜。
私達は思いました。"浮気しているな"」
「「「してねぇ!?」」」
いきなり彼女に浮気を疑われた僕ら。
……いくらなんでも理不尽すぎないか?
「というのは半分嘘で、凛子を森先輩が頑張っている
試合を見せてあげたかったのもあります」
「そうなのか、凛子……?」
「べ、べ、べ、別にそ、そ、そ、そんな訳
あ、あ、あるわけな、無いじゃないですか!!」
完全にその理由なんだな。
「……凛子、君は嘘をつけないんだよな」
「ま、ま、待ってください!! 私はそんな理由
で来るはずが無いじゃないですか!!
先輩方もそうですよね!?」
「「「「……」」」」
と僕らは一斉に凛子さんを疑いの目で見る。
「……はい、すみません。嘘つきました。
結城先輩の試合を見にきました」
「まぁそういう感じで、凛子が行くなら私や与謝野先輩も
一緒に試合を見ようかな〜と思いまして
……浮気の現場を抑えるために」
「いやいや僕ら浮気してないし
ただ旅行だけだって。
ーー森は違うけど」
僕はそういうと織田にアイコンタクトをした。
「ち、ちょっと先輩!?」
森が何か文句言っているが、織田は僕の合図の意味を
察したらしく
「そうだ桜。
俺らはただ純粋に旅行を楽しみなだけだ。
ーー森は違うが」
僕と同じ様に森を貶めることにした。
「織田ーー!? お前も裏切るのかーー!?」
「……結城先輩、どこに行くつもりだったんですか?」
「り、凛子? 落ち着いて……」
「森は祇園に行きたがっていたよ」
僕は森を売った。
「またあんたか先輩!?」
「へぇ〜祇園ですか、祇園ですねぇ〜」
「……あっ、これ暴走する前触れだ。
ーー鎮圧に疲れるパターンの」
と森がそう呟くとすぐに
「結城先輩!? 私じゃダメなんです!?
私が着物着てはダメなんですか!?」
毎度恒例の凛子さんの暴走が始まった。
「い、いやそういう訳ではないからな!?」
「何か不満ですか!? 身長? 髪型? スタイル?
なんなら触りますか!?」
「いやいや触らないからな!?」
「さ、触らないんですか……私に興味が無いんですね……
そうですよね……ですよね……」
「……この場合、どれを言えば正解なのか
誰でもいいから教えてくれ」
といつものようにイチャイチャしている2人は放っておき
僕は隣の織田の方を向いて
「まぁバレたら仕方ないね。今回は帰ろうか」
「そうですね。また別の機会に是非行きましょう」
今回野郎3人だったの近くの漫喫で泊まろうと
していたが、女性陣がいるとなると安全面などで
不安が出てくる。
そのため今回は帰る事にした。
「センパイは何を言っているんですか?」
「はい?」
「旅行しますよ?
ーー私達も同行して」

やれやれ、どうやらまだ始まってもいないようだ。

コメント

  • ペンギン

    やっぱりそうなりますよねw
    このメンツがいて帰るはずがない!w

    3
  • A・L・I・C・E

    あぁ、読む前にラング・ド・シャ食べるんじゃなかった!
    口の中が甘ったるい。










    あ、食べても食べなくても変わらんか。

    4
  • Yori

    このくだり結構好き!

    5
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