部活の後輩と付き合ってみた

きりんのつばさ

センパイ・・・

皆さん大変お待たせしてしまい
申し訳ありません ︎



センパイが後ろ向きに倒れたのを見て
私は尻餅をついてしまった。
肝心のセンパイは倒れてから
ピクリとも動かない。
「センパイ・・・」
大好きなセンパイの元に行こうとしても
身体に力が入らない。
まるで身体からエネルギーが消えた感じだ。
「ち、ちょっと七海 ︎
ここは危ないから逃げるよ ︎」
凛子が私の手を必死に引っ張っているが私は
その場から動けなかった。
「私はいいよ・・・凛子だけで逃げて」
「七海 ︎何言ってるの ︎」
凛子は本気で怒っている様だった。
でも・・・
「もう嫌・・・嫌」
私にとってはもうどうでもよかった。
センパイが刺され、動けなくなったのを見て
何もかもがどうでもよくなった。
「・・・」
前にいる森先輩も動けていなかった。
・・・比較的に森先輩は何事にも動じないが
流石に今回の事には
かなり動揺しているようだった。
「これで終わりだな国木田ぁ〜 ︎
俺に喧嘩売るからこうなるんだよ ︎」
センパイを刺した張本人は
勝ち誇った様に叫んだ。
「・・・」
それを言われたセンパイは勿論何も言わない。
身体もピクリとも動かない。
「七海 ︎しっかりしてよ ︎」
凛子は必死に言うが
「もういいや・・・もうどうでも」
私は逃げることすら面倒になった。
すると常村はこちらを向き
「さて次は七海だよな〜 ︎
お前が素直に受け入れていれば
国木田は死なずに
済んだかもしれないけどなぁ〜 ︎」
と言いながらこちらに来た。
「私のせいなの・・・?」
「そうだろ ︎こいつが死んだのはお前が
俺と付き合わなかったからだろ ︎」
常村が発する言葉がナイフの様に私の胸を刺す。
・・・私のせい?
私がいたからセンパイがこうなったの?
「ごめんなさい・・・センパイ・・・ ︎」
私は今はもう届かない謝罪をしていた。
今さら謝ってもセンパイが返ってこない。
"君は1度落ち着こうか?"

"今のは理不尽だよね ︎"

"七海〜ご飯出来たよ〜"

"好きだよ、七海"

私が今までセンパイから言われてきた言葉が
頭の中で繰り返される。
そして改めて気づかされる。

ーー私が好きな人はもう話すことは無い。

ーー私が好きな声を聞くことは出来ない。

ーー私があの好きな笑顔も見れない。

ーーあの人のちょっと困った顔
照れてる顔も見れない。

ーーもうセンパイと会えない。

そう考えるとさっき以上にどうでもよくなる。
気がついたら常村は私の目の前にいた。
私は結局逃げることすらしなかった。
「死ね七海 ︎」
常村は私に向けてナイフを振りかぶった。
・・・ごめんなさいセンパイ。
















「ーー七海、君は少し落ち着こうか?」
え?
・・・今、何か聞き覚えのある声が
聞こえたんだけど?
多分幻聴だよね・・・?
と思っていたんだけど凛子や常村も
驚いているようだった。
「はい、そこで幻聴って思わない」
私はその声がした方を向いた。
そこには・・・
「全く・・・殺したと思うなら
しっかりと確認しなよ?
だから僕らに足元をすくわれるんだよ?
ーーなぁ常村?」
私の大好きな彼氏である国木田拓海がいた。
「センパイ ︎」
「国木田先輩 ︎」
「国木田 ︎」
「いや〜七海心配かけてすまないね。
大丈夫、もう全部終わらせるからさ」
とセンパイがニヤッと笑った。



次回は一時的に国木田視点に戻ります

コメント

  • 雪雨

    回想に出てくるくらい何回も出てきた、ネタ性も高いあの名言をここで使うなんて…!
    センパイカッコよすぎて惚れそう

    1
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