部活の後輩と付き合ってみた

きりんのつばさ

なりふりかまっていられない!

「あっ」
「どうした国木田君?」
「いえ、やっと自分なりに答えが出たので」
・・・悩む必要は無かったじゃないか。
僕は最初から答えが決まっていたのだから。
「ほう、なら聞かせてもらおうか」
「僕は・・・
ーー平塚さんとは別れません」
これが僕の出した答えだった。
「君はそうくるか。
・・・ちなみに理由を聞こうかな」
「僕は確かに平塚さんと部員達には
秘密で付き合っていました。
それに関しては悪いと思います」
「そこの非は認めるのかい」
「はい、部活の規則を幹部が破ったので
そこに関しては謝罪をします。
ですが今回僕らが付き合ったことで
誰かが不利益を被ったでしょうか?」
「まぁ確かにそうだな」
「誰かに不利益を被らしたのなら
僕らが別れるべきなのでしょう。
ですが僕らは部員がいる前では
部活の先輩と後輩として接して
いました。もちろん織田や与謝野も
同じようにしてしました。
流石に誰も被害を被っていないなら
僕らが別れても別れなくても
変わらないと思います」
・・・と我ながらすごいぶっ飛んでる
理論だと思うが、この際そんなこと
言ってられないだろう。
それを聞いた先生は苦笑しながら
「まぁ他の部員達に気づかれていないなら
存在してないのと同じだろうね」
と言った。そして続けて
「でもなら別れても同じだよね。
国木田君が別れない理由は何だい?」
聞いてきた。
「それは僕にとって部活をやる上で
大事な存在だからです。
平塚さんがいるから僕は会計として
幹部としてやっていけています。
あの笑顔のおかげで今も僕は
ここにいることができます」
・・・この言葉に偽りはない。
彼女がいるから僕は幹部として
どんなことがあってもへこたれずに
ここまでやれた。
もし七海と別れたら僕は今まで通りに
幹部としてやってこれないだろう。
「国木田君がそこまで言うか・・・」
というと先生がいきなり笑い出した。
「せ、先生・・・?」
「こりゃ面白い!まさか私の前で
あの国木田君が彼女の自慢をするとは!」
「はい?」
・・・ん待てよ?
今僕なんて言っていた・・・?
ーー平塚さんがいるから僕は会計として
幹部としてやっていけています。
あの笑顔のおかげで今も僕は
ここにいることができますーー
・・・・・
・・・・
・・・やってしまった~!
あろうことか先生の前でノロけて
しまった・・・
「すいませんでした!」
と僕はその場で土下座をした。
「おいおいなんで土下座をするんだい?」
「まさか先生の前で彼女の自慢をしてしまい
誠に申し訳ありません!」
・・・つい勢いで彼女へのノロケが
入ってしまったんです!
悪気しかないのかもしれませんが・・・
「いやいやいいよ。まさかあの国木田君が
こんな風になるなんてな・・・
ーーどう思う監督?」
「へ?」
・・・今監督って言った?
いや、まさか僕の聞き間違いだろう・・・
ガラ
「そうですね。国木田も
変わりましたね」
と僕の後ろのふすまから出てきたのは
部活の監督であった。
・・・この部活での監督というのは
先生に次ぐ偉い人である。
性格は冷静で優しい。
・・・と監督の説明をしている場合では無かった!
「か、か、か、監督!?」
僕はとても驚くと同時に
とてつもない後悔に襲われた。
まさか部活の2大トップの前で
ノロけるという大失態を犯してしまった。
「本当にすみませんでした!!」
と歴代で一番綺麗だと思う土下座をした。
・・・いやしなきゃいけないだろう。
「先生どうしますか?」
「私個人としては無罪放免でいいと
思うのだが監督はいかが?」
「私もそれで構いません」
・・・あれ?
おかしいな~今無罪放免っていう言葉が
聞こえたぞ~。
「今、なんとおっしゃいましたか・・・」
「ん?だから今回の件はお咎めなし。
そのまま平塚と付き合ってくれて
構わないよ」
と先生。そして
「そして織田と与謝野の件もお咎めなし。
引き続き稽古に取り組んでくれ」
と監督が言っていた。
「あの・・・大変申し訳ないのですが
状況が全く読み取れないのですが・・・」
・・・なんせ目の前でノロケるという
史上稀に見る大失態を犯したのだから
軽くて大説教だと思っていたが・・・
お咎め無しだって・・・?
ナニソレイミワカラナイ。
「実は今回国木田と織田が停部になった時に
私の元に”それはおかしい”っていのが
沢山来て、国木田達好かれているんだなと思った」
と監督が1呼吸おいて
「そして私の権限で処分停止にしようとしたのだが
・・・先生が激怒なされて処分は無くなったがな」
「そうなんですか・・・」
「あと国木田、私から1つ伝えておこう」
「はい、なんですか?」
「国木田と平塚が付き合っているの
ーーー部員一同全員知っているぞ?」
「はい?」
・・・その瞬間世界が止まったような気がした。

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