部活の後輩と付き合ってみた

きりんのつばさ

両親と対面

僕らは両親の車で目的地の旅館まで向かった。
「どうだ拓海、学業は順調か」
「まぁね・・・そっちは?」
「俺か?最近やっと海外拠点の工場が復活して
平常に動き出したところだ」
「拓海さんのお父さんってどんな仕事を
してらっしゃるのですか?」
「俺は商社に勤めていて、主に
海外製品の受注を請け負っているな」
「すごいですね!」
「だろだろ!もっと褒めてくれても
いいんだぞ?」
と七海に親父がグイグイ迫ってきた。
「・・・七海、あまり親父を調子に
乗らせるな。調子に乗ってくると
かなり面倒だから・・・
そして親父も初対面の人間にそんなに
グイグイいくなよ。七海だから
いいのかもしれないが、普通はひくぞ?」
「ははっ!こうでもしないと
商談は成立しないからな!」
・・・まぁ確かに親父はかなり商談には
強いほうだと聞いている。
こんな性格で本当に商談をとってくるのだから
すごいもんである。
ただ・・・
「今、この場では商談してないだろ・・・」
「細かいことは気にすんな!
ハゲるぞ!」
「まだ親父よりふた回り以上若いわ!
まだ二十歳過ぎたばっかだ!」
「たくちゃん、あなた。七海さんがいる前で
喧嘩はやめたら?」
「おう、確かに七海さんがいたんだったな!
忘れてた、すまん!」
「い、いえ!私は構いません!」
「てか母さん、”たくちゃん”は
やめてくれって言ったよね・・・」
「えぇ~どうして~」
「子供っぽいからに決まって
いるからだよ・・・」
「だってたくちゃんって私たちの
子どもでしょ?」
「そういう意味じゃない~!
子ども扱いされているって
ことだよ!」
「えぇ~ダメ?
たくちゃん、お母さんのこと
嫌いかしら?」
「いやいや嫌いとは誰もいってないよね!?
どうなったらそういう解釈になるんだい!?」
・・・本当僕の両親はめんどくさい。

「ほら、着いたぞ」
と親父が指を指したところにあったのは
小さい白いコテージだった。
「おしゃれですね〜‼︎」
「あら、七海さん。貴方もそう思う?」
「あ、はい!」
「たくちゃん‼︎貴方、随分いい子を選んだわね?」
「まぁそれには否定しないけど・・・」
「も、もぅセンパイったら・・・」
と毎度の様に顔を赤らめ照れる七海。
「七海って照れ屋だね〜改めて思うけどさ」
「それはセンパイだからです‼︎
好きな人から言われるのは慣れないんですよ‼︎」
「そ、そうか・・・」
七海からの真っ直ぐな思いを受けた僕は珍しく
照れた。
「若いな〜拓海達‼︎心配するな、部屋は
同じ部屋にしといたからな‼︎」
「そこに気を回すな‼︎他に気を回せ‼︎」
何故か親父は気を回すところがズレている。
・・・ただもう慣れたが。
「せ、センパイと、お、お、同じ部屋・・・
私大丈夫かな・・・」
「七海、落ち着け?ただ同じ部屋で寝るだけだ。
何をそこまで緊張するんだ?」
「ああ、拓海よ‼︎部屋は2階だから声を出しても
大丈夫だ‼︎」
と親指を立てる親父。
「だ・か・らそこじゃねぇ〜〜‼︎」
・・・こいつにデリカシーはないのか⁉︎
「こ、こ、声⁉︎わ、わ、わ」
さっきよりも顔を赤くして慌てる七海。
「七海、落ち着け?そして親父‼︎
七海は照れ屋なんだからそれ以上は禁止な‼︎」
「七海さん、ならしょうがないな‼︎
やめるとしよう」
「僕でもやめてくれ・・・」
「だが断る‼︎」
「断わんな‼︎」


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