部活の後輩と付き合ってみた

きりんのつばさ

君は発言に気をつけようか?

電車に揺られること小1時間。まず着いたのは上野
だった。
「先輩、アメ横ですよ⁉︎アメ横‼︎」
「そうだね、チョコの叩き売りでも見に行く?」
・・・と僕は毎年年末に食品をまとめて買いに来る為
アメ横は毎年訪れていた。その為、どこの店がどこに
あるかは大体把握していた。
「本当ですか‼︎是非みたいです‼︎」
ととっても乗り気で愉快な後輩平塚さんを連れ
チョコ叩き売りの店に向かった。

「いや〜これで暫くはチョコに困りませんね〜〜」
と両手には沢山のチョコを持っていた。
「太るよ?」
「くっ・・・また動けばいいです」
「そう言ってられるのも今のうち。だんだんと・・」
「やめて〜〜聞きたくない〜〜」
「はいはい。次はどこに行く?」
「次はですね・・・西郷さん見たいです」
「はいよ」
平塚さんのお父さんが西郷さんを大好きらしく是非
写真を、と平塚さんに頼んだらしい。そして僕らは
西郷さんを写真で撮った後、浅草に向かった。

「コレガ〜〜カミナリモ〜〜ン‼︎」
「何故カタコト?」
「いや雷門に来たらやってみたかったですよ〜
・・・私の父が」
「君じゃいないんかい⁉︎」
じゃあ何故やった?
「ほら、人がやりたいっていう事を先に横取りして
やるって妙な背徳感ありませんか?」
「君って歪んでるな・・」
「多分、私の父がやりたかった事を私がやったと
言えば、父は大泣きでしょう」
「肉親だろうよ・・容赦ないな」
「肉親だと更に背徳感上がりますね‼︎」
「本当に歪んでるな⁉︎」
・・・何この子、恐ろしい。
「じゃあ浅草寺いきましょうか」
「切り替わるの早いな〜」

僕らは雷門を通過し、暫く歩いた後、浅草寺に着いた。
「本物は大きいですね〜」
「まぁ何事も百間は一見に如かずだよね」
・・何事もただ人や本から情報を集めるのでは無く
実際に現場に行ってみることが重要だという事は
昔から変わっていないのだろう。
「ですよね、何事も体験です。という事で先輩
デートをしましょう。先輩に彼女が出来た際の
予行練習として」
「いや、君は何を言っているんだい?」
「はい?」
「今、僕らがやってる事ってデートと言わない?」
「・・言われてみれば確かに。先輩は私みたいな
美少女と休日デートですよ‼︎男たちが知ったら
嫉妬で殺されますよ〜」
「まぁ確かに1人は思いつくさ」
・・・夏目だろうな。
「わぉ、もうすでに私の虜になっている男子が
いたんですね〜ですが先輩大丈夫です。私は
先輩のモノですから」
・・・この子は自分が何を言っているのか
分かっていないのかな?
今ここで注意しないと彼女のこれからの
人生がとても不安だ。
「・・・君は自分の発言に気をつけなさい。あまり
男性の前で言わない方がいいよ」
「先輩だから言ったんですけどね・・・」
「つまり僕はヘタレだから大丈夫だろうと・・・
後輩から思われる僕ってなんなんだ?」
いや〜前、森にも言われたんだけど僕ってそこまで
ヘタレかな?後輩から言われるって結構凹むよ・・
「そこまで言ってもないですが、思っていますね」
「思ってるの⁉︎」
ここ最近1番のショックだよ‼︎
「そりゃ色々と先輩の生活見てますからね・・」
「さ、さぁ次どこ行こうか‼︎平塚さん‼︎」
「話逸らすの下手ですね〜」
・・・君には言われたくないね。
「そうですね〜多少早いですがお台場行きませんか?」
「うん、いいよ」
と僕らは次の目的地に向かった。

お台場という場所が僕らの関係が大きく変わる場所に
なる事を僕はまだ予想してなかった。
そして裏での平塚さんの思いと2年生の暗躍も考える
余地はなかったんだ。

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