ダンジョン潜って1000年、LVの限界を越えちゃいました

花鳥月下

クロナの本気と十階層到達

「やっと9階層だな……」
キリガ一行一人と一個は現在9階層にいた。あの戦闘の後にも様々な魔物達と(クロナが)戦い、
キリガは退屈で精神的に参っていた。
普通ダンジョンで退屈するようなことはない。
むしろ退屈が欲しいくらいなのに、キリガはのんびり欠伸をしている。

本当に何なんだこの男。

一方クロナの方はかなり弱体化しているために、テラの残量が著しく減少していた。

現在キリガ達は、A-の魔物、嘔吐小竜ゲロトカゲの群と戦っていた。このトカゲ、攻撃手段に溶解性
ゲロブレスを吐いてくるのだ。

しかもコレがなかなかに臭く、キモい。

そのため‘‘冒険者が嫌いな魔物ランキング,,
という15銅貨の人気雑誌で毎回上位をキープしている。

見た目も気持ち悪く、赤いプニプニとした皮膚に黄色と青と紫の斑があり、黄色い瞳をしている。


正直絶対出会いたくない。
だからこそキリガはクロナに戦闘を任せているのだ。

『なぁ、まさか戦闘を僕に全部任せる気なのだ?いい加減疲れたのだ……』

クロナはこれまでの戦闘をキリガに任されており、
疲労から悲痛な声を上げる。

「…はぁ、そうだよな……所詮お前は精霊と言う名前の駄々っ子なんだよな……ハンッ、まぁ、やっぱり駄々っ子の精霊様には荷が重いよなぁ?あ~あ、期待した俺がバカだったよ、ごぉめぇん~ねぇ???」

そんなクロナに対して、キリガは嘲笑を交え言い放つ。

『な、何を言うのだ!!僕にそんなことが出来ない筈が無いだろう!?いいのだ、やってやるのだ!!闇魔法極技『ブラックホール』!!死に晒しちゃらぁぁぁ!!のだ!!』

何かキャラかわってね!?
というツッコミを心に静かに押し止めつつ、キリガは少しにやける。
最近分かったことだが、クロナには子供らしい所が沢山ある。
だから、ちょいと煽るとすぐムキになる。

扱いやすい阿呆だな、チョロインめ。



………あれでも精霊なんだよな?本当に七柱セブンスの一柱なのか?
いや、あれは子供だ。きっと見た目も子供なんだろう。 
昔見た本の中ではボインだったけど、絶対幼女ボディーだ。絶対。

とまぁクロナがボインなフラグを立てた所で、当のキリガはゴロンと横になる。

「クロナまだか?」
キリガは階層の部屋の壁にもたれ掛かっている。しかし、
キリガ自身も油断している訳ではなく、今すぐにでも臨戦態勢には入れる状態を創り出している。

『えぇい!どんだけ偉そうなのだ!!おまえ!!もうおわるのだ!!』

それに気付くことなく、クロナは寝そべって欠伸をしているキリガに、悪態と呼ぶより子供の逆ギレのような態度でキリガに一喝いれ、表情を強ばらせる。

そして、クロナは詠唱をはじめる。キリガは、伝説上の架空と呼ばれる存在の大精霊、それも神話に出てくる七柱の本気を、この時垣間見る。

深淵暗黒しんえんあんくの漆黒よ、我は此処に無慈悲なる闇の一撃を所望する。世界の理を無に帰す程の一撃を、邪神の力の片鱗よ、我が世界元素テラを喰らい今現こんげん,せよ,,!』

クロナの詠唱と共に、巨大な紫色の魔法陣が複数出現する。
詠唱が進むにつれて、魔法陣の数も、輝きも、大きさも、何より秘めるテラの量が増大する。

クロナの詠唱の終わる頃、彼女の生み出した魔法陣はこの階層を埋め尽くす程の数とサイズに達していた。 

魔物達は、逃げようとするも、身体が震えて動けなくなっている。正にこれこそ‘‘蛇に睨まれた蛙,,だろう。


彼等の瞳からはすでに戦意は消え去り、それと真逆の感情が沸き起こっていた。それはーーー

ーー死への恐怖ーー

黄色に輝いていた彼等の瞳から光が消えた所で察しがつく。 
しかし尚も彼等の視線は、クロナの創り出した魔法陣に釘付けとなっている。

それも当然、それ程までにクロナの創り出した魔法陣のテラが
美しく、神秘的だったから───


見惚れている魔物をよそに、魔法陣は更に輝きを増した。
心無しか、ダンジョンそのものが輝いている。
恐らく膨大なテラに共鳴したのだろう。

『神級暗黒魔法『無限虚無インフィニティ•アナザー』』

そして、魔法陣が一つにまとまる。黒くもどこか神々しい光を放ち、極限まで凝縮されたりテラを放出する。
そして、階層全てを闇が覆い尽くす。嘔吐小竜の断末魔をよそに、相変わらずのキリガ。

魔法発動から、僅かコンマ6秒の間の出来事だ。

コンマ7秒、階層の闇が消えた、そしてそこに魔物の気配は無い。

コンマ8秒、魔物達は、一センチ大の球体に閉じ込められている。
その虚無の空間の内部では、世界の数百倍の速さで時が流れている。
コンマ9秒、球体から嘔吐小竜の残骸か吐き出される。
『無限虚無』の力により、肉体の見た目は干からびたミイラのような姿に変化している。
ーーーーそして、一秒ーーーー
灰の塊とかした嘔吐小竜達、しかし死ぬことは無く干からびたまま永遠に生き長らえる

そう、この魔法はジャスト一秒で『永遠の虚無』、生き地獄を作り出す魔法なのだ。

『終わったのだ……』

そして、術者のクロナの可愛らしい声が階層全域に広がる。

「これまた……えげつねぇな」

キリガの眼前に広がる光景は、反射する薄い緑の鏡のような
空間に相対的な、黒一色と化した嘔吐小竜の残骸ーーーいや、
灰の塊が数十と並ぶ地獄絵図だったーー

キリガはクロナを凝視し、身震いを覚える。
それはクロナに対しての畏怖ーーーー

「いつか、手合わせしてもらいたいもんだな……!」

ーーーでは無く、キリガの強さに対する貪欲な欲望から沸き起こる、武者震いーーー

そして、キリガ達は次へ進む。キリガは強さ、クロナは自分の肉体を求めてーーー

キリガ達は今、巨大な扉の前に居る。
扉の外見は主な色は赤で、所々紫色の宝石が埋め込まれている。

扉には古代文字が刻まれており、今はもう解読することは
出来ないだろう。

部屋の内部からは、膨大な量のテラが溢れ出している。キリガは自身のスキルで空間のテラを操作し、濃度の濃すぎるテラから身体を守っている。

此処は、ミスクリアの1/10に値する階層、第十階層。
いよいよ初のボス戦だ。ここからはモンスターのレベルも
大きく変化してくる。

「いよいよ初ボスだ、準備はいいか?クロナ」


『大丈夫なのだ。さっきまでゆっくり休んでたし』

キリガの問いに、何時もの調子で、でも少し緊張した声色で
返す。

「じゃあ、いくぞ!」

ギィィィィ……

そして、キリガはボス部屋の巨大な古ぼけた扉を開いた。
そこで行われるであろう死闘を予感しながらーー





────────────────────────────
[side???]




「………………クシシッ♪」

キリガ達は気付かない、自分達を見る謎の影が蠢いていることにーーーー




はいっ!どうも、花鳥月下です!
次回は遂にボス戦です!!
感想、ご指摘があればコメント宜しくお願いします!
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お待ちしております!!
では、さようなら。

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