デフォが棒読み・無表情の少年は何故旅に出るのか【凍結】

決事

8 もうすぐ着きそう 道のりⅥ


………

まだ…?
まだだ。

いつ着く?
もう暫し待て。

あとどのくらい?

「ああもう!フーク!いい加減にせぬか!」
「だって。昨日、明日には着くだろうって」
もう、夜じゃないか。
「日が落ちてからまだ少ししか回っていない」
「え。そんな感じなのか」
「ええい、うるさい!今度の今度こそもう少しで着く!早く歩け!」
うう〜ん。
何だろう。
今日の間にゴルテの性格が変わった気がする。
「…学び舎の場所は分かっているのだな」
幾分か真剣味を帯びた声。
「うん。寮もあるって」
「今日はそこに泊まれるのが最善だな」
「今日はじゃなくて、暫らく、だよ」
出来たらな。
ゴルテはこちらを見ずにずんずん歩く。
「ほら、前を見ろ」
彼が顎で示した先。
「ま、ち…?」
この時間、俺の村は真っ暗になる。
けど、街は、
「明るいな」
「そうだな。人間の努力の結晶らしいぞ」
「そうなんだ」
「さあ。学び舎へ最短距離で」
「ゴルテ、無理。そんなの分からない…」
「もう疲れて眠いだろう。人の睡眠時間は大切なものだ」

「ゴルテ、走ろう」

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