現代知識で異世界無双したかったよ……

リン

敵襲。神、精霊、人間

ディラン王城の周辺。ディーノとファントムはとある気配を感じていた

「ファントム……この気持ちの悪い魔力は」

「だろうな……十中八九、死神だ。まだ魔物の視認範囲に入っていないゆえに距離はあるが…準備をせねばならない」

この事を知らせようと思い、ディーノが歩き出した瞬間。先程まで微かにしか感じなかった魔力がすぐ近くに移動した

「やぁ、君たちが監視役かな?厄介だから死んでね」

一瞬で目の前に現れた死神の手に持つ鎌がファントムの首に向かって振り下ろされる

「ファントム!」

……
………
…………

「はぁい!王様のみなさーん!今宵は私の殺戮ショーに来ていただき誠にありがとうございまぁす!」

王たちが集う豪華な部屋。そこに突如現れたのは謎の女

「貴様、何者だ」

ディラン王が問うと女はくねくねと体を動かしながら口を開く

「貴方達に言ったところで私のことなんて分からないと思うんですけどねぇ…まぁ一応言っておきますか!私はエルア!予知の精霊エルアでぇす!残念だと思うんですけど、貴方達は今からぶっ殺しまぁす!」

予知の精霊?……なぜ精霊がここに……

「エレメンタルフォレストの精霊が死神に味方しているとは思えん。ソロモン、こやつは本当に精霊か?」

精霊と言えど見た目は人だ。見ただけでは区別などつかない

「王よ、アレは本物です。全身が魔力で構成されています。魔力生命体など世界広しと言えど精霊か宝具のみです」

「まっさか私が精霊を語る偽物だと思われるなんてぇ……心外ですねぇ。偽物は貴方達でしょう?ディラン王。ユイ・タカナシさんとソロモン。レイジ・シジマさん?」

!?…

「なぜ……それを……」

ありえない!なんで本名を知っている?

「予知ってのは……こぉんな感じでぇ秘密だって暴けちゃうんですよねぇ!」

予知の精霊は高らかに嗤う

……
………
…………

(クレイ!敵襲だ!数は3人。1人はもうすでに王様達の部屋にいる。1人は外壁、最後の1人は一直線にこっちに向かって……)

聖剣デュランダルに精神を移した勇者シンヤからの言葉が脳に響く

「みんな!敵が来たらしい。戦闘の…」

廊下の壁が爆発し、クレイの言葉を遮る

「言っておくが……あくまで俺は言いなりであって、自分の意思でこんなことしてるわけじゃないからな?」

爆発した壁の先から、男の声が聞こえてくる

(こいつ……とんでもなく強いぞ。多分だが…生前の俺ともいい勝負が出来そうだ。もちろん俺が勝つが)

そんな悠長な……

「流石のお前らでも俺を食い止めることは難しい。最悪殺して貰っても構わない」

土煙が晴れ、男の姿が露わになる

「………こ、この人って…俺でも知ってるっス」

「ちっ!死神が、厄介な奴操りやがってよ」

シェストとベリアルはその男を知っているようでそれぞれ反応を示している

「まさかこの時代でも戦う事になるとは思いませんでしたよ……大陸唯一のSSランク冒険者…ファング・ドレイク」

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