現代知識で異世界無双したかったよ……

リン

裏話。働くおっさん、影の努力

「勇者シンヤとか招待客の保護とか、仕事は多いのに人員は俺1人なんだもんなぁ……嫌になっちまうよ……」

今回の俺の任務は2つ。まず新王バルギアの暴走を阻止し、招待客を保護すること。そして恐らく召喚されるだろう勇者シンヤをこの世に存命させ続けるための処置をすること……

明らかに俺だけじゃ人手不足なもんで、なんとか頼んで娘の参加を許してもらった。とは言っても娘は何も知らせずに特殊な刀を渡しただけだが……あとは生殺与奪ソウルリーパーに期待かな

……
………
…………

「遠すぎだろ……錬金術師の国アヴァロン」

あいつらは馬車だからいいかもしれんが、俺は完全に徒歩だぞ!徒歩!

馬車の下に張り付いてようかなーって最初は計画してたけど、生殺与奪ソウルリーパーは感知の魔法を使うらしいし、その従者も魔力感知に長けてるらしいからバレる可能性を考慮して、300mくらい離れて走った……マジで疲れた。これはボーナス弾んでもらわないとな

「お姉様、気になっていたのですが服はどうなさるのですか?正装などは用意してますか?」

「あっ……じゃねぇよ!遠方への旅だから準備を怠るなって!だから俺が荷物を確認しようかどうか聞いたんだ!」

なにぃ!?正装を忘れただと!?

勘弁してくれよ……そもそも勇者が入れなかったら俺のミスだと思われちまうじゃねぇか!

「大丈夫ですお姉様!こういうこともあろうかと、私がお姉様に似合うドレスを選んで持ってきてます!」

「ナイスだ!メリル!最悪俺の幻視でなんとかしようと思ってたぜ……」
「ナイスだ!」

おっと危ねぇ!あの犬の少年と声が被ったからバレなかったが、今のはやばかったな……

俺は仕事だって言うのに楽しそうにしやがって……

「俺も娘と仲良くしてたいんだけどなー」

愚痴をもらすこの男は、ディラン王国最強の剣士で、任務を完遂し事件を阻止する者には見えなかった

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