現代知識で異世界無双したかったよ……

リン

勇者シンヤと転生事情

「そういえば…クレイさんが助けてくれたんですけど、それも元から計画されてたんですか?」

いや、まぁものすごい良いタイミングで来てくれたもんだから計画のうちだと思っちゃうよな

「実はあれはイレギュラーなんだ。なんでここの異常を知ることが出来たかは知らないが、おそらく我が国の転送術使いにお願いしてここまで来たんだろうな」

危なっ!もしクレイがあのタイミングで来てなかったら俺死んでたのかよ!

「お姉様、転送術ってなんですか?」

「……私も分からないけど、多分物とか人を遠くに送る魔法?じゃないかな?」

確か魔国セイレーンの人もそんな感じの魔法が使えたからそうだと思う

「その通りだ。人間宝具ヴァンパイアが血を代償とした長距離移動の術が使える。クレイが後でどれだけ血を要求されるか心配でならないけどな」

なるほど、つまりディーノがちゃんとファントムに事件のことを伝えて、それがクレイまで伝わったわけか
 
『とにかくディラン王国に帰ろうぜ!今回の事は収まったんだし、俺としては今のディラン王国を見てみたいんだよ』

そうだ

「ちょっとシンヤさんとお話ししたい事があるんですけど」

……
………
…………

なんとか2人きりにしてもらった。と言っても俺がベランダで剣を持ってるだけだが

『それで、お話しってなんだ?まぁ大体察しはついてるけどな』

なら話は早い

「貴方、転生者なんですよね?」

『その通りだ。君は?あの有名なジャンヌ・ダルク?』

やっぱりバカなのか?

「いえ、それは偽名です。私も日本人なのでジャンヌは本名ではありません」

そもそも女にならなかったら偽名なんて使う必要ないんだけどな

『ちなみに聞くが年は?俺は華の男子高校生!』

男子高校生は男が一番バカな時期だな

「私は20歳で死にました」

『あとは転生時の状況は?』

めっちゃ聞いてくるな

「草原のど真ん中で全裸ですよ」

なんでこんな事言わなきゃならんのだ

『………どうやら君と俺は違うみたいだな』

「どういうことですか?」

『まず、年だ。俺の時代には転生者が8人居たけど全員年が18歳だった。そして時間差。俺と君の年の差は2つだけ、俺が生まれた年と君が生まれた年は違うだろうが大きくても30年くらいだろう。なのにも関わらずこの世界ではもうすでに凄まじいほど時が経ってる』

「…………」

『そして使命だ。俺は魔王を倒す使命を帯びて、いつの間にかにこの世界にいた。だが君は特に使命を受けた様子はなく、20歳の時に死んだと言った。状況がかけ離れてる。前世では同じ時代を生きた筈の人間通しなのに……俺を転生させた神と君を転生させた神は違う。おそらく君は……』

「……!」

外からいきなり剣が飛んで来たのを、デュランダル……シンヤが弾く

『はぁ……久しぶりだな。エクスカリバー』

エクスカリバー……飛んで来たのはクレイが持ってるはずの勇者の聖剣……みたいだな

『神々の制約……ねぇ。それに引っかかるから喋るのやめろってか?ふざけてるのか?』

エクスカリバーの声は俺には聞こえないの?

『ちっ!……分かったよ。これ以上は話さない。だが、お前にも全面的に協力してもらうからな……分かったらさっさと行け』

エクスカリバーがどこかに飛んでいく……クレイのところに戻るのか?

『思わぬ邪魔が入ったけど、俺と君は違う目的、理由、意思によって転生させられた事は覚えておいてくれ』

どうにもスッキリしないな……



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