道化の悪魔再び

「もうクレールと結婚して20年も経つのか、時の流れは早いな」

クロウは18歳、クレイは15歳だ。ディラン王国では15歳で成人だから、クレイも今年で成人だ。そういうわけでクレイの成人を祝うべく旅行でもしようというクレールの意見を採用し、現在は馬車で移動している

「20年ねぇ……私はあんま実感がねぇな。結婚したって言ってもガキの頃から一緒だしな」

(20年か………俺が意識をバラバラにされて……)

「！？…」

「父様？どうしました？」

なんだ……今のは……

「あ、あぁ…なんでもないよクレイ」

(もうそろそろ……いいよなぁ？…)

これは……ま…ずい……

「クレール………」

「あ？どうした？」

「クロウとクレイを連れて逃げろ…今すぐ！」

……
………
…………

「はぁ？何言ってんだ？」

グレイスがいきなり変な事を言い始め……気持ち悪ぃ魔力！

「おい！今すぐ馬車止めろ！」

私が指示すると即座に馬車が止まる

「遅いぞ！クソ女がぁ！」

グレイスが勇者の聖剣を抜き、馬車を破壊する

「カラーズウォール！」

防御壁の魔法で子供は守れたが、御者は吹き飛ばされちまった……生きててくれよ

「クロウ！クレイ！…離れてろ。グレイスは悪魔に乗っ取られてる」

「で、でも…母様だけじゃ」

「クレイ！母様の言う通りにするんだ！僕たちじゃ足手まといだ」

よし……いい子だ。さて、私はどうしようかなぁ

「よぉ、久しぶりだなぁクソ女ぁ！お前のせいでこいつの体に完全に根をはるまで20年もかかっちまったよ」

「ふざけんなよクソ悪魔…こちとら息子の成人祝いの旅行だってのによ。前みてぇには行かねぇぞ？次は完全に消し飛ばしてやる」

災難すぎるよなこれは……

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