現代知識で異世界無双したかったよ……

リン

おじいちゃんは常に孫に飢えている獣なのさ☆

「なるほどのう……家出か……」

「ええ!ですから泊めてください!今日だけでいいですから!」

たくましいなクレア様

「いや、泊めるだけなら何泊でもいいんじゃが……わしは魔国が心配じゃのう」

その時、俺のポケットの中にある魔導通信機が振動し始める。

俺は部屋の隅に移動して、クレア様に聞こえないように小声で電話に出る。

「もしもし」

「あっ、ジャンヌさん!クレア様がそちらに行ってませんか!?ファリテさんがいきなりクレア様が出て行ってしまったと連絡があって」

もう若干場所バレてるじゃないか……

「はい…クレア様ならディラン王国に来てますよ。しかも私のすぐ近くにいます」

仕方ないから、正直に言おう。クレア様は王様なわけだし、ここに長居するわけにはいかないだろう。

「あー…やっぱりですか……ではそちらに迎えの魔導車を向かわせるので、しばらく預かっておいてもらっていいですか?」

「あ、はい。分かりました。それでは」

と言って電話を切る。

「クレアさ……ま?」

クレア様にこのことを伝えようとしたら、クレア様はソファに座っているエリックさんの膝の上にすっぽり収まって寝ている。

「ジャンヌよ。わしはこの子の祖父になる。もう決めた!異論は認めん!」

何言っちゃてんの!?エリックさん

「なに騒いでんだ?って帰ってきてたのか、ご主人………」

ややこしいタイミングでディーノきた!

「………確か、俺の記憶が正しければそのエリックの上で寝てるその子供は魔国セイレーンの王じゃなかったか?」

また説明しないと……

「お姉様の気配がします!私がおつかいに行ってる間に帰ってきてくださったのですか!?」

ここでメリルも登場かよ!

「ん?…その子供って魔国の王じゃないですか?」

これ以上面倒なことになら…

「ジャンヌよ。帰ってきたならば真っ先に私の元に来い。お前の魔力が食いたい」

ファントムまで!

「む?その小娘、あの時出会った魔国の王ではないか?」

おいおい

「どういうことだ?」
「どういうことですか?」
「どういうことなのだ?」

素直に事情を話すしかないか……

「実は…」
「この子はわしの孫じゃ」

ちょっと!俺が今から説明しようとしてるのに余計なこと言うな!

「ええ!?エリックって王族だったのか!?」

「なんだ、そうでしたの」

「いや、嘘に決まっているだろう。なぜ納得している」 

もうめんどくせぇええ!!!

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