現代知識で異世界無双したかったよ……

リン

面白こと言ったって思ってる奴はだいたい面白くないし痛い奴

俺は気になっていた。

何がって?

魔映機のことだ。いくら魔法技術が発達してるからといってカメラを作ろうって発想になるだろうか?魔動車とかもそうだ。

多分だけど、転生者が絡んでる……

「ファリテさん、魔映機の開発者はどんな人なんですか?」

「確かにそれは気になりますね!これは素晴らしいものです!」

「その人なら会えますよ。王都の南方にある研究所に年中居ますからね」

「ぜひ会ってみたいですねー」

「私も会いたいです!」

「では行きましょうか。文化を学ぶにあたって我が国の技術力を知ってもらうのもいいでしょう」

……
………
…………

「アポなしで来られると困っちゃうんですけど…………」

「申し訳ありませんマサヤ様。精霊様を始めとした大事なお客様ですので粗相のないように」

マサヤさんか……明らかに日本人だな。

「えー、初めまして皆様方。僕はマサヤ・カンザキと申します。精霊様がお持ちしてる魔映機や魔動車、最近だと遠方の人物と会話する機械を作ってます」

「私はヘルメスと言います!この魔映機という物は素晴らしいですね!」

「俺はアルラウネだ。よろしくぅ!」

「僕はクレイ・アルデバランと申します。今日は急に押し掛けて申し訳ありません」

俺が挨拶する番だが、どうにか俺が日本人だと気づいてもらえないか……

「…せ、拙者!ジャンヌと申す者でござる!」

俺が日本人だと分かるように挨拶するにはこれしか思いつかなかったんだよ……

「………………」

シーンとしないで!俺だってしたくてこんな恥ずかしい挨拶したわけじゃないから!

「ジャンヌさん、ちょっとこっち来てもらっていいですか?」

さすがに気がついたようだな!マサヤさん!

……
………
…………

部屋の端によってこそこそ話し始める。

「ジャンヌさんって転生者なんですか?」

「はい、そうです…」

気づいてもらえたのはいいが、代わりに大事な物を失った気がする。

「僕以外にも転生者って居たんですね。この場じゃ長く話せないので、明日またここに来てもらえますか?」

「分かりました」

と会話を終了してみんなのところに戻る。

「どうしたの?ジャンヌ」

「ちょっと私のユーモア溢れる挨拶が知り合いに似てたらしいです」

「う、うん。ユーモアあったね」

やめろぉ!そんな目で俺を見るな!

「長いこと生きてきたし、友達もたくさんいるけどあんな挨拶したのはジャンヌちゃんが初めてだよ」

「もう忘れて!」

……
………
…………

その日は研究所の見学を終え、謎の虚無感を感じたまま宿に帰った。

もう…なんか…恥ずかしすぎて死にそう


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