現代知識で異世界無双したかったよ……

リン

運動会の直前はテンション上がってても開会式で萎えるよね

俺たちは魔国セイレーンの王都にある闘技場の中心に立っている。
開会式とルール説明を行うらしい。

「……にしても、人が多すぎませんか?」

巨大な闘技場の半分を埋め尽くすほどの選手がここに集まっている。

「だよねぇ、私もそれ思ってた!」

「400人だな。ちょうど400人の熱を感じる」

「ふむ、勝ち残るのは容易ではないかもしれんの」

俺もやれるって気持ちで来たけど、やっぱ不安になってきた。

少しみんなと話していると、闘技場の北門から2人の戦士を左右に連れたクレア様が歩いてきた。

「皆様、今日はこの魔国セイレーンが誇る魔闘会に参加してくださり、誠にありがとうございます!」

声が響くな。音響の魔法とかあるのか?魔国は魔法技術?が進んでるみたいだし

「では、早速今年の魔闘会のルールをご説明させていただきます」

そこで、前からガチャのカプセルのような物が送られてきた。

「今皆様にお配りしているカプセルに、1から8までの数字が書かれた紙が入っています。それが皆様のブロックナンバーになります」

なるほど、まずはバトルロイヤルってことか…俺は8番だな

「1ブロックにつき50人で魔法を駆使して戦っていただき、最後まで残った1人が本戦に進むことができます。
そして、勝ち残った8名でトーナメント形式で試合を行い優勝者を決定します」

シンプルで分かりやすくていいな。
どこまで行けるか…やるだけやろう

「それではこの後すぐに第1ブロックを開始します。皆様優勝目指して頑張ってください!」

「「「おぉ!!!」」

……
………
…………

「私は8番でした」

みんなとかぶらないといいけど…

「私は1番、最初か〜」

「俺も1番だ。最初は手を組んで、他を片付けてから決着をつけようぜ」

「それいいねぇ」

アルカさんとヘビさんは同じブロックか、ちょっと残念だけどランダムだから仕方ないな。

「わしは4番じゃな」

エリックさんとかぶらなくてよかった。未だに勝てる気がしないからな…

「じゃあ、行ってくるねー」
「絶対本戦に進んでやる」

2人ともやる気満々だな。俺とエリックさんの出番はまだだからメリル達のいる観客席に行こう。

……
………
…………

「お姉様!私の隣空いてますよ!」
「ジャンヌ、僕の隣空いてるよ」

う、うん…2人の真ん中が空いてるね。エリックさんはちゃっかりもうディーノの隣座っちゃってるし……
俺はここに座るしかないのか……

「お姉様の出番はいつなのですか?」

「私は最後、8番目」

「ジャンヌの勇姿を記録するために光景を紙に焼き付ける魔道具を昨日買っておいたんだ」

カメラなんてあるのか!?

「俺もそんなもんがあるなんて初めて知って驚いたわ」

そこそこ旅してるっぽいアスカも知らなかったのか、じゃあ魔国でしか知られてないのかな?

「そろそろ始まるみたいだぞ。ご主人」

……
………
…………

結果から言おう、第1ブロックはアルカさんとヘビさんの圧勝だった。
ヘビさんが灼熱の空間を作り出してアルカさんを守って、アルカさんが敵対意思を持つ者を気絶させる魔法を歌うっていうかなりエグい戦法で全滅させてた。
ヘビさんとアルカさんの戦いは歌を邪魔し続けてヘビさんが勝って、本戦に進んだ。

……
………
…………

「ヘビのバーカ!女の子に全力で攻撃するとか最低!」

「試合なんだから全力出すのは当たり前だろうが!」

アルカさんとヘビさんが喧嘩しながら観客席に戻ってきた。

「おめでとうございます、ヘビさん」

「ありがとうジャンヌ、本戦で当たっても手加減しないからな」

「まだ本戦に進めるかも分かりませんよ」

本戦でヘビさんと当たったら勝てるのか?微妙だなぁ……

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