現代知識で異世界無双したかったよ……

リン

転生者達の笑顔

俺は1人、訓練場に立っていた。訓練などやる気になれない。

アスカからあの話を聞いてから1ヶ月が経った。俺は正直悩んでいる。

どうすればいいのか。

もちろん、俺が強くなればそれだけ転生者狩りを倒せる可能性は高くなる。
でも、転生者狩りは強者を求めてる。強くなればなるほど転生者狩りが早く来る。

だからと言ってクレイやエリックさんに護衛でも依頼して勝てなかったらどうする?
俺には責任が取れない。

ディーノとファントムは俺の事情を知ってはいるが巻き込みたくはない。

そんなことを考えて、答えが出ないまま時間が過ぎていく。

「相変わらず、辛気臭い顔してるなぁ。もうちょっと笑顔しようぜ」

「ひっ!」

いつの間にか目の前にアスカが居た。

「い、いつからそこに?」

「少し前から居たけど、全然俺に気づいてくれないんだもんな。傷ついちゃうぜ」

「今日はどんな用で来たんですか?」

「いや、特に用はないんだけど心配でなぁ。んで、何悩んでたの?」

……まぁ、こいつになら言っていいか

「これからどうすればいいのかについて…です」

「なるほどなぁ、俺もあのこと知った時は悩んだよ」

「アスカさんはどう思ってるんですか?」

こいつはいつも能天気に見える。何を考えてるか分からない。

「まぁ、死んだら、それはそれで仕方ないって感じだな」

!?…何を言ってるんだこいつは……?

「死ぬのが…怖くないんですか?」

「いやいや、もちろん怖いぜ。でもよ、人間生きてりゃいつか死ぬんだよ。それにここは日本じゃないからな。寿命で死ねる方が可能性低いだろ」

そりゃ俺は比較的安全なところに転生させてもらったから無事だったけど、この世界は危険なことがたくさんある。

「それに俺は冒険者稼業だからいつ死んでもおかしくない生活をしてる。それでもよ、死ぬことに怯えてなんもしないくらいなら、怖くても精一杯生きた方が俺はいいと思うぜ」

俺はただすごいと思った。1ヶ月も悩み続けていたのが馬鹿らしくなった。

俺は死にたくない。だから強くなろう。

「アスカさん、私の事鍛えてくれませんか?」

「なんだよ、笑顔も出来るじゃねぇか!」

俺とアスカは互いに笑みを浮かべていた。

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