僕と彼女たちのありきたりなようで、ありきたりではない日常。

きりんのつばさ

ゆーちゃんが好きだから

「そ、それってどういうこと・・・?」
「意味分からないかな?」
「いや、意味は分かっているよ
・・・ただなんでだろう」
「そりゃ私がゆーちゃんのことが好きだから。
10年前私は何もしなかった。
でも今はゆーちゃんが帰ってきたんだ。
せっかく帰ってきたのなら
好きな人を手に入れるため頑張っても
いいんじゃないの・・・?」
「あーちゃん・・・」
10年前
それは僕にとってかなり大きな事件があった。
それが起こったせいで僕は緒原町を
去らなければいけなかった。
・・・勿論あーちゃんとも別れた。
「だから、せっかく再会出来たんだから
今度こそ私から離れなくしてあげるよ‼︎」
「そうなの?」
と言うと、真面目な顔になり
「そうだよ。だからこれからも全力で
ゆーちゃん、筧優希を落としに行くよ。
ーーだから覚悟してね‼︎」
そのあーちゃんの真っ直ぐな覚悟を見て
僕は・・・
「うん、分かったよ」
としか言えなかった。
理由は真っ直ぐなあーちゃんの思いに
答えられなかったからだ。
・・・あーちゃん、僕はそんな
真っ直ぐな好意を持たれる様な
人間じゃないよ。
「どうしたの、ゆーちゃん?」
「いや、なんでもないよ。
さて次はどこに行こうか?」
「次はあそこに行こうよ‼︎」
とまたまたあーちゃんに手を引っ張られ
走り出す僕。
・・・ところで僕はあと何店付き合えばいいんだ?
と思いながらもあーちゃんの買い物に
付き合った。


「いや〜楽しかったね〜‼︎」
「うへ・・・」
とフードコートでジュースを
元気に飲みあーちゃんと
疲労困憊の僕。
・・・あの後、店を何店見たか覚えてない。
そして途中から僕が着せ替え人形
みたいな扱いをされた気がする。
というか疲れた。
「ゆーちゃんはもう体力切れ?」
「僕は逆に疲れないのかと
聞きたいんだけど・・・」
「私?全然疲れてないよ‼︎」
「す、すごいな・・・僕無理」
「何か飲み物いる?
私買ってくるよ?」
「それはダメ」
「なんでよ〜
今日のお礼だと思って」
「前回僕らが映画見に行った後
あーちゃん、ガラの悪い奴らに
絡まれたの忘れたの?」
「覚えてるよ〜
あの時のゆーちゃん
かっこよかったよ‼︎」
と興奮気味に話すあーちゃん。
「そうじゃなくて
またそうなるかも
しれないってこと。
あーちゃんはもう少し
自分の容姿を自覚しなさい」
「容姿?普通でしょ?」
「あーちゃんは一般的に見て
可愛いんだから気をつけてよ・・・」
「え、可愛い・・・?」
と少し顔が赤くなった。
「ゆ、ゆ、ゆーちゃんが
か、か、か、可愛いって・・・」
ポンッ‼︎
「あーちゃん⁉︎」
なんか一気に顔が赤くなり
あーちゃんの身体から力が
抜けた。
「えへへ・・・
ゆーちゃんが可愛いって・・・
わ〜い、嬉しいな〜」
とよく分からないうわ言を
言っていた。
・・・その後あーちゃんが復活するまで
フードコートで休んでいき、
その後はあーちゃんが住んでいるアパート前
まで送って解散となった。

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