時代を越えてあの人に。~軍師は後に七人のチート家臣を仲間にします~

芒菫

それぞれの道。


ライトノベル?なんでやねん。

「作者はそう言っておられました。」

ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー

あの後、桶狭間の義元の本陣へ戻ると、殆どの敵が織田軍によって殲滅されていた。
4倍もあった今川軍に対し、大将の姿も消え、総崩れとなった本陣の様を見ると言うのも、少々悲しい気持ちが湧く。
と、考えつつも死体として転がっていた女の首を切り落とし、大声で「今川義元、討ち取ったりー!」と叫び、そのまま信長の下へ献上する。
手柄を横取りするかの如く、何気に一益と新助が脇に居たんだけど、いつからそこに居たんだよ彼奴ら・・・。
信長は馬に乗って戦っていたらしい。彼女の持っている刀には大量の血が地面へ垂れ落ちていっており、まさに一線の人殺しに値する姿であった。
勿論、それは周りの織田の兵士も変わらずであり、勝家、長秀だったりも同じである。
しかし、信長は周りとは全く違う威圧を放っており、少し満足していない様に思えた。
が、しかしそんな事はどうでもいいのさ。

「で、あるか・・・。そうであるか裕太よ。大儀であった。」

一瞬躊躇うも、俺を褒め称えてしんずる。
信長に切断部より垂れ落ちる血が付いた生首を献上すると、彼女は馬上で受け取る。
そのまま天に掲げて大声で叫んだ。

「天下は、わしの物じゃ!!」

周りに居た兵士達は大声でときの声を上げて、大喜びする。
事実上、事実上ではあるが、信長は義元を討ち取り、今川本家は滅亡したのだ・・・。

― 雪斎の陣

「もっと進め!このまま織田など一捻りよ!」

雪斎は最前線にて大声で指揮していた。唖然として、雪斎は義元の死を知らない。
ただし、それは数分前の話。

「雪斎様!」

一人の兵士が大声を張り上げ、雪斎の下へ駆け寄って来た。

「どうした?」

雪斎は問うと、兵士は自分が伝令だと答えて、呼吸を荒くしながらも、現在の状況を伝える。

「義元公が・・・。討ち死に致しました!その伝令を聞き、周りの部隊も悉く撤退を始め、今では形勢逆転の状態に・・・。雪斎様も、ここは御退きを!」

雪斎から、一滴の汗が零れ落ちた。
動揺する声が辺りから響き渡り、兵士達は不安に陥っている。
雪斎は目を瞑ると、何か考え事をしているように見えた。
この伝令は罠かもしれない・・・と。

「是非もない。この報は偽りの可能性があると見た。本当となれば、必ず三度報されるはずじゃからな。
となれば・・・。その時まで、我らは殿を務めよう。怯むな!うろたえるな!全軍、進め!!」

兵士達は、笑みをこみ上げらせ、大声で「おおおおおおおおおお!!!!!!!」と言うと、再び勢いよく織田軍と交戦を開始した。

(そうか・・・遂に義元公が。なんだかんだ言って、彼女に天下を取らせる事は私には無理だったようだ・・・。幼き頃より、義元公を育て上げ、私が天下を取らせてやると言う、二人三脚の人生も、終わりを告げるか。織田信長よ・・・。お主は一体何者なのだ・・・。あの男の言ったように、天下人であるのか・・・?)

彼女は進軍を止めなかった。

ー 松平元康の陣

「さて、三度目の報ですか・・・。」

大高城に兵糧を届け、未森城にて奮戦していた松平軍だったが、ここには既に「義元死す」の報が二度伝達されており、これが三度目の伝令となっていた。

「はい。となれば、殿。岡崎を取り返す準備は出来ておりまするな?」

元康の左側の椅子に座っている者がそう言った。

「正信、そう焦らなくても時期に時はやってきますよ。ほら、そろそろはんぞーちゃんだって・・・。」

元康は正信、と言う女の子にそう答えると、はんぞーちゃんと言う人物を呼名した。

「流石殿、家臣の動きを良く分かっていらっしゃりまする。ただ・・・些かはんぞーちゃんと言うのも。」

風の如くその場に現れた一人の忍者。その名を服部半蔵。
半蔵は元康の前で跪くと下を向いた。

「殿、道中問題ございませぬ。敵一人居合わせない様子。此処に居たっては、いくら遅くとも楽に岡崎に戻ることが可能となりましょう。」

「流石はんぞーちゃん。お手柄です。では全軍、これより岡崎へ参ります。準備は宜しいですか?」

元康は家臣達に声を掛けると、全員が頷き「勿論でございまする。」と話した。
元康はニコッと微笑むと、前へ歩き出し、そのまま本陣を出て馬へと乗りだす。

「さて、これより我々は岡崎で独立し、今川家に反旗を翻します。もし今此処で、松平家のやり方について来れないと言う烏合むごうの衆が居ると言うのならば・・・今すぐ此処で首を切り落とすぞ?」

辺りに沈黙が漂った。突然、元康の口調が敬語から暴言句に変わったのだ。
しかし、兵士や家臣達はそれに驚きもせず、しっかり背筋を伸ばして立っている。
そう、それは数少ないが、元康は大事な決断をする時、必ずこのようにして兵士達のやる気を出させるのだ。なんとも際どいやり方だが、正当かつ、大胆なやり方と言える。
結局、誰も手を挙げずに時間が流れたため、元康はニコッと笑うと、馬を前に向けた。

「さて、それではいきましょうか。岡崎へ!」

元康はそう言うと、馬を出した。
兵士達は「おおおおおおおおおお!!!!!!!」という掛け声と共にそれに続いていく。今此処に、今川から独立しようとする家が誕生していた。

隔して、それぞれの場所でそれぞれの人がこのようにして己に決断を強いらされていた。
どの女の子も強くて揺るがない。だから前に進める。そう思う。

そんな事を考えながらも、一日が経った今清州の城へ俺達は帰還しようとしている・・・。
清洲へと続く城門の開かれる音に快感を感じる程であった・・・。

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