非リアの俺と学園アイドルが付き合った結果

井戸千尋

私の感謝と俺の怒り

嘘ですよ。








百四十八話





【新転勇人】





公園の塀のあたり、内側からは見えないような場所に左道さんはいた。
あいにく塀は高く外から状況を覗く事は出来ない。
俺は左道さんの元へ駆け寄り、しゃがみこむ。
「はぁ……はぁ……遅れてごめん」
「う、うん。それより……」
左道さんは背にしている塀の内側に向かって指をさす。
その指は明らかに震えており、いつもの、頼れる左道さん!の面影は一切なかった。
俺は内が見える位置に移動してのぞき込む。


「――やめて!離して!」
「いーや、ダメだ。君は新転勇人をおびき出す餌だからね」
そう言って結花を押さえつけてるのはやはり例の男。
その男以外にも取り巻きが数人。
たいしてこちらは俺一人。
多勢に無勢なのは明らかだった。
だけど、
「にぃ……ッ!」
ボロボロと涙を流す結花の姿をみたら、そんな事、計らずとも選択はひとつだった。

「結花を離せェッ!!」






【新天円香】






真結から送られてきたGPSの位置はここら辺なのですが……。
勇人くんが血相変えて飛び出していったってことは相当なことが起きたんでしょうけど。
中学校を過ぎ、中学校の裏のあたりへ到着すると笑顔を浮かべた真結がいました。
「真結ー!なんで笑顔なんですか!?」
真結の隣に駆け寄って事情を聞き出します。
…………それにしても勇人くんの姿が見えませんね。
「まぁまぁ。勇人くんかっこよかったよ」
「む!」
私の知らない勇人くんを……!
しかもかっこよかったって!
見たかったです!
なんで私を置いていってしまったんですか!
「そんな私も見たかったって顔してるけどさ」
真結はおじゃる〇の笏が少し短くなってボタンが付いた感じのものをポケットからだして私の耳元に寄せてきます。

『そんなんじゃ妹守れねぇぞ!』
『反撃してみろよ!!』

そんな荒い言葉と共に、微かに聞こえる鈍い音らそして呻くような声。
まさか……ッ!
私は公園の中へと急ぎます。

「勇人くん!!」

「ぁ……」
結花さんに背中を支えられながら地面に座り込んでいた勇人くん。
口元は切れ、切り傷、擦り傷で体はボロボロでした。
「わりぃ遅れた!大丈夫か勇人!」
後ろから聞こえたのは浅見さんの声。
振り向くと、両手に袋を持って駆け寄ってくる彼の姿が。
「えーっと……あーもうわかんねぇ!」
袋を逆さにして入っていたもの全てを散らすと、消毒液と絆創膏を選びとって勇人くんを治療します。
散らばってる中には包帯やガーゼ、なぜか子供が薬を飲む時に使うゼリーみたいなやつもありました。
「いてっ」
「やっぱ痛むか……新天頼んでいいか?」
「任せてください!」
浅見さんと場所を入れ替わり、消毒液の染みこませたガーゼを勇人くんの傷口にあてがいます。
「あ、痛くない」
「お!やっぱり愛ですね!!」
私はその位置に絆創膏を貼ります。
「良かった良かった。冗談言えるくらいにはなったか」
「冗談じゃなくて愛です!ですよね!!?」
「う、うん……」
勇人くんの手を見るとこれでもかというほど握りこまれて――
「頑張って痛くならない方法探します」
「う、うん。そうしてくれると助かるよ」
その会話を聞いて、浅見さんは結花さんの膝の擦り傷に大きめの絆創膏を貼ってあげました。
「ありがとうございます」
「気にすんなって、ごめんな遅れちゃって」
私は黙々と勇人くんの傷を絆創膏で塞ぐ作業を繰り返します。
「にぃ、ありがと。」
「ん、まぁこれでも兄ちゃんだからな。」
「にぃ、ゆいやっぱり……」
「んー、あー、なんだ。また頑張ろうよ、いづれ絶対運命の相手と出会えるからさ」
「うん。ありがと」
傷だらけですが、ほっこりします。
多分結花さんはまた勇人くん離れ出来なくなるでしょうけど、家族の絆が深まったと考えればよしとしましょう。

……ん?

…………待ってください?
なんで真結は録音を?
まぁ真結なら持ち歩いててもおかしくないかもですが、それならなんで結花さんが囚われた時点で証拠をとって警察を呼ばなかったんですか……?
「真結ー!ちょっと来てくださーい」
わざわざ勇人くんを呼んで、勇人くんに助けさせる。
自分は安全な位置で録音する……。

やっぱり。
「なにー?」

「ありがとうございます」
「ん?何のこと?」
知らん顔をする真結。
あくまでも“怖かった”という体でいくんですね。

最初っからこのつもりだったのに。
「真結はいつもそうです。私たちの知らないところで」
私たちのお願いを断った時から真結が思った通りになったってことですね。
だから怯えてるふりをして勇人くんを呼んで勇人くんに結花さんを助けさせたし、なにより結花さんのピンチに素早く気づけたというのが不思議です。
それに、多分浅見さんには私を呼ぶ前に絆創膏などを大量に買ってこさせたのでしょう。

「もし勇人くんが見つかってなかったらどうしてたんですか?」
「んー、どうするもこうするも、それは円香たちの作戦が成功して終わりでしょ?」
「二人ともなんの話してんの?」
結花さんと話していた勇人くんが、絆創膏のせいで開ききらない口をあんぐりと開けて聞いてきます。
「なんでもないですよ。えいっ」
勇人くんの傷口にガーゼを押し当てます。
「痛い痛いっ!!なに!?え!!?」
慌てふためく勇人くん。
かわいいです♡

このことは勇人くんに伝えなくてもいいでしょう。
伝えたら真結の気遣いが無駄になってしまいますからね。

「で、どうするんですか真結」
「いや、どうするもなにも警察に通報したら軽い刑で済んじゃうから一生結花ちゃんに逆らえないように彼らの家にデータ送り付けるよ」
「ひえっ」
満面の笑みを浮かべて悪魔のようなことをいう真結。
だから警察に通報しなかったんですね。
薄々そうだと思ってましたよ。


「勇人くん、今回は私たちの勝利です!結花さん!大舟に乗ったつもりで安心して大丈夫ですからね!!」
「ありがとう……義姉ちゃん」

う゛っ…………。


結花ちゃん……しゅき……。









もういいです。
やめます。
この話で最後にします。
井戸はみんなを楽しませたくてあとがき的なものを設けていたのに、それで楽しませようと書いたことに「頭おかしい」「精神科行け」などと書かれて、正直苦痛でしかありません。
モチベも下がってきて、書いてもコメントでバカにされる。
もう嫌です。
なので最後にします。

はい。

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コメント

  • 猫ネギ

    やめないでー

    1
  • アクノロギア

    ごめんなさい、申し訳ありませんでした

    1
  • ミラル ムカデ

    井戸さんそれはそれこれはこれです!
    少し自重します!

    1
  • 狼大好き野郎

    この小説最終回まで書いたら異世界転生して井戸ハーレム出来るから頑張って(嘘)

    3
  • A・L・I・C・E

    嘘です





    辛辣なコメントしてすいませんでした

    1
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