非リアの俺と学園アイドルが付き合った結果

井戸千尋

私の自立と俺の自立

百四十三話





【新転勇人】





「それは勇人くんたちで解決しなよ」
「え?」
放課後、二人で左道へあの男についてを説明し協力を煽ったのだがあっさりと断られてしまった。
円香も目を丸くさせて驚いた様子だった。
「ほら、二人の妹なんでしょ?もしダメだった場合は助けるからさ」
「まぁ、正論だね。でもさ、」
円香に目を向けてひとつ尋ねる。
「円香はどうしたい?」
「二度と女性に対して変な気を起こさないようにちょんぎってやります!!」
「ほら」
予想通りの答えを返され、左道さんへ目をやり、呆れたような素振りをする。
呆れたっていうか、うんうん知ってる揺るぎないねって感じだ。
隣でチョキをしながら「ザクンザクンッ!」と物騒で生々しいことを言っている円香はほっといて、左道さんへ目を向ける。
確かに自分たちで恨みを晴らすのが一番いいけど、仲間にバーサーカーがいるから……。
「…………まぁがんば!」
左道さんは手をひらひらさせ部室から出ていってしまった。
「ちょっとがんばっ!って……これじゃあ本当にちょんぎるしかないじゃないですかぁ……」
ちょん切られるのを想像してしまうと、俺が切られるわけじゃないと分かっていてもさすがに震えるわ。
「――あ!いいこと思いつきました!!」
さっきまでチョキだった手を握り、グーの形にして手のひらにポンと。
万人が思い浮かべるような「閃いた!」のポーズで目を輝かせる円香。
そのままの流れで“いいこと”の内容を事細かに耳打ちしてくれる。
なんで耳打ちなんだろう。
まぁ円香の囁き声に嫌な感じはしないからいいけどさ。









「いやだ」
「でもこれくらいしか思いつきません!」
「演技だとしても嫌だ!」
そんな提案すぐに頷けるわけないじゃん!
嫌だ!絶対に嫌だぞ!
今の俺は初期のシンジくんくらい拒絶してるからな!
「大丈夫です!自分の身は自分で守れますら安心してください!」
「絶対ちょんぎる気でしょそれ!」
「ふふっ、冗談ですよ冗談。」
冗談に聞こえないんだよぅ……。
変にリアルなオーラ出てるから。
「でも、本当に大丈夫ですから!任せてください!」
…………心配すぎるんだけど、こうなった円香はテコでも動かないからなぁ。
でもなぁ……こんな作戦……。
「結花さんのためなら、妹のためならなんだってしますから!!」
「じゃあ約束して、危ないと思ったらすぐ逃げて?」
「分かりました!逃げ足の円香と呼ばれた私の速さを思い知らせますよ!!」
いつ呼ばれてたんだろうなぁ。
すごい胸張ってるけど迫力ないなぁ……。
これなら大丈夫かな(遠い目)
「じゃあとりあえず……帰ろっか」
「はい!夜の街を勇人くんと歩くのも乙なものですけどね!」
「補導されちゃうから大人になったらね」
「はーい!」
手を上げ元気よく返事をした円香。
俺はそんな円香の手を握り、作戦が無事成功することを祈るのであった。









ナイテルヨ
イマワシイヨ
ムキリョクダヨ
ネガティブダヨ
サイテイダヨ
イフシテイルヨ
コエガキキタイヨ
ウシロニイルヨ


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コメント

  • ノベルバユーザー81968

    ビバ!!貧乳!!

    2
  • クロエル

    通知が来ない…

    1
  • 狼大好き野郎

    本編も面白いけど井戸さんのあとがきが楽しみになりつつある

    1
  • 井戸千尋

    二人目の賢者が現れたな。井戸は嬉しいぞ

    1
  • ケンティン

    ナイムネサイコウとよめるのはたまたま?

    4
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