非リアの俺と学園アイドルが付き合った結果
私のお金と俺の彼女(ネジなし)
百三十七話
【新転勇人】
「円香、なんて言ってるか聞こえる?」
「むぅ……ごにょごにょとしか聞こえないですねぇ」
「だよねぇ」
俺たちは壁に耳をつけたまま小声で会話する。
さっきの男の声らしきものはうっすらと聞こえるのだが、結花の声が全くと言っていいほど聞こえない。
「何してるんでしょうね」
「まったくだよ」
いくら寛容な勇人くんでも、妹が隣の部屋であんなことやこんなことしてたらブチギレ案件だからな!?
「勇人くんはどう思いますか?」
「何が?」
「あの男の人です。私ちょっと苦手なタイプです」
顔を俯かせた円香は申し訳なさそうな声色で言う。
別に構わないんだけど。
って言うと「私の妹の恋人なので悪く言うのは申し訳ないんです」とか言われそうで、話進まないだろうから言わないけどさ。
「まぁ確かにね、隣に男がいるのにナンパまがいのことされたもんね」
「本当ですよ!!なんですか!?私が勇人くんと一緒にいたらおかしいですか!?勇人くんの魅力に届いてないのは事実ですけど……」
世間一般からすればおかしいんだけどね?
それは虚構よ円香。
ここでふと、とある疑問が浮かんだ。
ほっといたら俺を崇め奉るための社とか作っちゃいそうな円香は、俺が言ったこと全てにYESと答えるんじゃないか?
いや別にやましい意味はなくてね?
オレオレ詐欺ならぬ、勇人勇人詐欺があったらいくらでも金渡しそうだなぁって思っただけだからね?
内なる勇人(悪魔)を押しとどめつつ、円香へ尋ねる。
「ま、円香さ、も、もし俺がお金ちょうだいって言ったら渡しちゃう?」
「え!?勇人くんお金に困ってるんですか!?いくらですか!いくら必要なんですか!」
「違う違う!もしだから、もし!困ってないから大丈夫だよ」
結果。
円香やべぇ。
秒で財布出したもん。
これ割とやばいんじゃないか?
いや、やばいよな!?
ほっとした顔で財布をしまう円香へ再度尋ねる。
「円香?もし俺が怪我とか病気で入院した、だから入院費をくれって言ったら信じる?」
この問いに対して円香は、明らかに半笑いで、まるで俺がおかしいことでも言ってるかのごとく声を出した。
「いや、信じるも何も、勇人くんが黒と言えば白でさえ黒なんですから、あ、カラスの方がわかりやすいですかね?勇人くんが――」
「あー……おーけおーけ、ありがとう。うん、ありがとう。」
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
え?
何?
ヤバくない?
いや、前々からやばいなぁ、ネジ飛んでるんじゃないかなぁって思ってたけどさ?
これはいよいよじゃない!?
なに?
俺がカラスを白だと言えば、円香は真っ黒なカラスを見ても真っ白だと思うってことでしょ?
………………え?
「私は勇人くんの彼女なんですよ?今更何を言ってるんですか」
いや、彼女ってそこまでするもんなの?
俺の経験が浅すぎて分からないだけ?
世間一般のカップルは相手のことをここまで想ってるの?
想ってるというかもはや崇拝だよね?
既に崇め奉られてるの俺?
「円香?電話とかでお金貸してほしいとか言われても貸しちゃダメだからね?いくら俺の名前が出てもダメだからね!?」
「ん?何言ってるんですか勇人くん。そんな焦り狂ったような顔しちゃって。大丈夫ですよ、私は勇人くん以外にお金渡したりしませんから♪」
「それなの!いいからね?俺にお金渡さなくても!大丈夫だから!!」
「そうですか?んー、分かりました……?」
納得いってない感じだけどここまでいえば大丈夫だろう。
さすがの円香も、詐欺的な電話が来たらおかしいとは思うだろ。
おっとぉっと、いけない。
今するべき話はこっちではなかった。
「円香、もうちょっと聞き耳立ててみよ?」
「そうですね、もし結花ちゃんの悲鳴が聞こえてきたら私が成敗しますから!」
張り切ってる円香を見て、なんでそれが出来るなら浅見くんにしなかったのかなぁと思う俺だったが、結花のことをそこまで想ってくれてると思うと微笑ましい気持ちになったのでこの言葉は胸の内にしまっておくとしよう。
【新転結花】
「なにしてるの?」
「いや……ね?なんか壁冷たいなぁと思って」
彼は私の部屋に入ってからというもの、ほぼずっと壁に顔の側面を当てている。
女の子の部屋なんだけどなぁ。
好きな人の部屋だったらみんなするものなのかな?
にぃも円香さんの部屋でやったことあるのかな……。
「おっかしいなぁ……」
「ん?なにが?」
「いやいやなんでもないよ!?それにしても私服かわいいね!」
かわいい……。
彼にかわいいって言われるのは慣れたと思ったんだけどなぁ。
胸の奥のほうがチクッてする。
にぃに初めて抱きしめられた時と一緒だ。
やっぱりゆい恋してるのかな。
「そ、それよりさ!隣にいるのって新天円香だよね?」
「う、うん。そうだけど?」
円香さんのことでテンション上がってる……にぃみたい……。
「すげー!なんで!?なんであの新天円香が!?」
……ゆいとはなしててこんなにテンション高くなったことないな……。
本当にゆいのこと好き、なのかな……。
「にぃ……兄貴の彼女なの。兄貴のどこがいいんだろうねぇ」
にぃにはいいところしかないんだけど、にぃのことが好きだったってバレたくないし。
にぃには申し訳ないけど……ね。
「確かにー!もっといい男いっぱいいるのにね!」
「そ、そうだね……」
なんでにぃのこと悪く言うの……?やめてよ……。
ゆいの好きな人がにぃを馬鹿にするのはなんかやだ。
「あ、結花ちゃんさ、他にどんな服持ってるの!?見せてよ!」
「ほかの服?」
この服かわいいって、
「そう!だってもっとかわいい結花ちゃん見たいしさ!」
もっとかわいい……。
また、かわいいって言ってくれるのかな……?
だったら……、
「分かった。じゃあ、部屋出てて?」
「分かった!じゃあ着替え終わったら呼んで!」
「う、うん。」
彼は私の部屋を出ていった。
私はそれを確認して服のボタンに手をかけた。
【新転勇人】
「あ。」
「どうしました?」
結花の部屋のドアが開く音がした直後、俺の携帯に来た一本のメールを見て思わず変な声が漏れてしまった。
「何かあったんですか!?」
円香は画面を覗き込もうとはせず、俺の顔を覗き込みながら尋ねてくる。
が、今はそんな円香と目を合わせている暇はない。
なぜなら――
「親父帰ってくる……」
そう。
こんな大変な時に、まるでどこかから見ていたかのようにメールが届いたのだ。
『親父こと親父だ。
なんか暇だから帰るわ。
てかもう日本だわ。
そういえば母さんいるか?
なんか先週に、洞窟なう☆ってコウモリとのツーショット写真付きでメールを送り付けてから連絡ないんだよな。
まぁいいわ、とりあえず今近くのバス停にいるから、もうちょっと待っててな
親父の仮面をかぶった親父より。』
みなさん。
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私からは以上です。
【新転勇人】
「円香、なんて言ってるか聞こえる?」
「むぅ……ごにょごにょとしか聞こえないですねぇ」
「だよねぇ」
俺たちは壁に耳をつけたまま小声で会話する。
さっきの男の声らしきものはうっすらと聞こえるのだが、結花の声が全くと言っていいほど聞こえない。
「何してるんでしょうね」
「まったくだよ」
いくら寛容な勇人くんでも、妹が隣の部屋であんなことやこんなことしてたらブチギレ案件だからな!?
「勇人くんはどう思いますか?」
「何が?」
「あの男の人です。私ちょっと苦手なタイプです」
顔を俯かせた円香は申し訳なさそうな声色で言う。
別に構わないんだけど。
って言うと「私の妹の恋人なので悪く言うのは申し訳ないんです」とか言われそうで、話進まないだろうから言わないけどさ。
「まぁ確かにね、隣に男がいるのにナンパまがいのことされたもんね」
「本当ですよ!!なんですか!?私が勇人くんと一緒にいたらおかしいですか!?勇人くんの魅力に届いてないのは事実ですけど……」
世間一般からすればおかしいんだけどね?
それは虚構よ円香。
ここでふと、とある疑問が浮かんだ。
ほっといたら俺を崇め奉るための社とか作っちゃいそうな円香は、俺が言ったこと全てにYESと答えるんじゃないか?
いや別にやましい意味はなくてね?
オレオレ詐欺ならぬ、勇人勇人詐欺があったらいくらでも金渡しそうだなぁって思っただけだからね?
内なる勇人(悪魔)を押しとどめつつ、円香へ尋ねる。
「ま、円香さ、も、もし俺がお金ちょうだいって言ったら渡しちゃう?」
「え!?勇人くんお金に困ってるんですか!?いくらですか!いくら必要なんですか!」
「違う違う!もしだから、もし!困ってないから大丈夫だよ」
結果。
円香やべぇ。
秒で財布出したもん。
これ割とやばいんじゃないか?
いや、やばいよな!?
ほっとした顔で財布をしまう円香へ再度尋ねる。
「円香?もし俺が怪我とか病気で入院した、だから入院費をくれって言ったら信じる?」
この問いに対して円香は、明らかに半笑いで、まるで俺がおかしいことでも言ってるかのごとく声を出した。
「いや、信じるも何も、勇人くんが黒と言えば白でさえ黒なんですから、あ、カラスの方がわかりやすいですかね?勇人くんが――」
「あー……おーけおーけ、ありがとう。うん、ありがとう。」
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え?
何?
ヤバくない?
いや、前々からやばいなぁ、ネジ飛んでるんじゃないかなぁって思ってたけどさ?
これはいよいよじゃない!?
なに?
俺がカラスを白だと言えば、円香は真っ黒なカラスを見ても真っ白だと思うってことでしょ?
………………え?
「私は勇人くんの彼女なんですよ?今更何を言ってるんですか」
いや、彼女ってそこまでするもんなの?
俺の経験が浅すぎて分からないだけ?
世間一般のカップルは相手のことをここまで想ってるの?
想ってるというかもはや崇拝だよね?
既に崇め奉られてるの俺?
「円香?電話とかでお金貸してほしいとか言われても貸しちゃダメだからね?いくら俺の名前が出てもダメだからね!?」
「ん?何言ってるんですか勇人くん。そんな焦り狂ったような顔しちゃって。大丈夫ですよ、私は勇人くん以外にお金渡したりしませんから♪」
「それなの!いいからね?俺にお金渡さなくても!大丈夫だから!!」
「そうですか?んー、分かりました……?」
納得いってない感じだけどここまでいえば大丈夫だろう。
さすがの円香も、詐欺的な電話が来たらおかしいとは思うだろ。
おっとぉっと、いけない。
今するべき話はこっちではなかった。
「円香、もうちょっと聞き耳立ててみよ?」
「そうですね、もし結花ちゃんの悲鳴が聞こえてきたら私が成敗しますから!」
張り切ってる円香を見て、なんでそれが出来るなら浅見くんにしなかったのかなぁと思う俺だったが、結花のことをそこまで想ってくれてると思うと微笑ましい気持ちになったのでこの言葉は胸の内にしまっておくとしよう。
【新転結花】
「なにしてるの?」
「いや……ね?なんか壁冷たいなぁと思って」
彼は私の部屋に入ってからというもの、ほぼずっと壁に顔の側面を当てている。
女の子の部屋なんだけどなぁ。
好きな人の部屋だったらみんなするものなのかな?
にぃも円香さんの部屋でやったことあるのかな……。
「おっかしいなぁ……」
「ん?なにが?」
「いやいやなんでもないよ!?それにしても私服かわいいね!」
かわいい……。
彼にかわいいって言われるのは慣れたと思ったんだけどなぁ。
胸の奥のほうがチクッてする。
にぃに初めて抱きしめられた時と一緒だ。
やっぱりゆい恋してるのかな。
「そ、それよりさ!隣にいるのって新天円香だよね?」
「う、うん。そうだけど?」
円香さんのことでテンション上がってる……にぃみたい……。
「すげー!なんで!?なんであの新天円香が!?」
……ゆいとはなしててこんなにテンション高くなったことないな……。
本当にゆいのこと好き、なのかな……。
「にぃ……兄貴の彼女なの。兄貴のどこがいいんだろうねぇ」
にぃにはいいところしかないんだけど、にぃのことが好きだったってバレたくないし。
にぃには申し訳ないけど……ね。
「確かにー!もっといい男いっぱいいるのにね!」
「そ、そうだね……」
なんでにぃのこと悪く言うの……?やめてよ……。
ゆいの好きな人がにぃを馬鹿にするのはなんかやだ。
「あ、結花ちゃんさ、他にどんな服持ってるの!?見せてよ!」
「ほかの服?」
この服かわいいって、
「そう!だってもっとかわいい結花ちゃん見たいしさ!」
もっとかわいい……。
また、かわいいって言ってくれるのかな……?
だったら……、
「分かった。じゃあ、部屋出てて?」
「分かった!じゃあ着替え終わったら呼んで!」
「う、うん。」
彼は私の部屋を出ていった。
私はそれを確認して服のボタンに手をかけた。
【新転勇人】
「あ。」
「どうしました?」
結花の部屋のドアが開く音がした直後、俺の携帯に来た一本のメールを見て思わず変な声が漏れてしまった。
「何かあったんですか!?」
円香は画面を覗き込もうとはせず、俺の顔を覗き込みながら尋ねてくる。
が、今はそんな円香と目を合わせている暇はない。
なぜなら――
「親父帰ってくる……」
そう。
こんな大変な時に、まるでどこかから見ていたかのようにメールが届いたのだ。
『親父こと親父だ。
なんか暇だから帰るわ。
てかもう日本だわ。
そういえば母さんいるか?
なんか先週に、洞窟なう☆ってコウモリとのツーショット写真付きでメールを送り付けてから連絡ないんだよな。
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ミリオン
これは罠だ!
影の住人
その調子で是非頑張ってください!
yuuking
なんかオバロにもあったような発言が...w
ミラル ムカデ
すげえ!
作品だけは、おもろいですからねぇー
ノベルバユーザー170248
おめでとうございます㊗️