非リアの俺と学園アイドルが付き合った結果
私の侵入と俺の就寝
百二十九話
【新転勇人】
 「あ、あなたたち何してるの!?」
「コアラ飼ってます」
「旦那に抱きついてます」
先輩、その気持ちわかりますよ。
俺の腕に、さも平然とした顔でくっついてるこの子が不思議で仕方が無いんですよね?
「新天、ももちゃん高三の癖してイチャイチャしたりしたことないからそういうのは刺激が強すぎるよ」
「なっ!」
先輩の煽りにまんまと釣られてしまうももちゃん先輩。
「あ、あたしだって腕に抱きつくことの一つや二つくらいやってるから!」
顔を真っ赤にして先輩の言うことを否定する。
そんな必死に否定するから先輩が面白がってからかうと思うんですが……。
「本当?」
「え、えぇ。本当だけど?」
「ふ〜ん」
目が泳ぎまくってるももちゃん先輩とは対照的に、目を細めて疑うような素振りを見せた金霧先輩は緩い口調で浅見くんを呼んだ。
「なんですか?」
そして、浅見くんの手を取り、その手のひらを――自身の胸に押し当てた。
「な、なにしてんのッ!!?バカ!バカなの!?」
「はいダウト〜」
…………先輩が楽しければそれでいいんですけど……顔真っ赤で汗ダラダラな俺の親友も見てやってくださいな……。
「あ、浅見ありがと。」
「は、はい……こちらこそ……?」
うん!正解!その反応で正解だよ浅見くん!
「あんたたちいくら付き合ってるからってダメ!そういうことはまだ早い!」
「うんうん。で、そういうことって?」
からかい上手の金霧さんだ。
ももちゃん先輩が完全にお手玉状態だ。
完全に思うがままにされている。
その証拠に、カーッと先程よりも顔を赤らめた先輩は、
「そ、そういうことは、そういうことよ!言わないわよ!」
「あっそ、じゃあ寝よ」
金霧先輩はその言葉を聞くと途端興味を失くしたようにして敷いてある布団の方へ向かった。
激昂して何としてでも金霧先輩のお手玉にならないように頑張っていたももちゃん先輩もそれにはポカンだ。
一方的にからかわれて、飽きたらポイ。
ももちゃん先輩の表情がだんだんと捨てられた子犬のような、寂しそうな表情に変わった。
「も、もういいもん。勉強いっぱいさせるから。もう寝るもん」
実にかわいい言葉を残し、布団に潜っちゃった。
「勇人くん、私たちも寝ましょうか。」
「うん、円香はあっちね♪」
「ぶー」
こんな騒ぎの中でも小さな寝息を立てて眠っていた三郷さんと、まぁ十中八九寝たフリしてるであろう左道さんのあいだに誘導する。
「じゃあおやすみ。」
「おやすみなさーい。」
怖いくらいにすんなり布団に入ってくれた円香。
「俺らも寝ようぜ」
「そうだね」
逆に怖くてしばらく眺めていたが、浅見くんに呼ばれたためその場を離れて寝床へつく。
「んじゃおやすみ」
「おやすみ。」
こうして勉強合宿(仮)の夜を終えた。
□
はずだったんだが……。
俺は、みんなが寝静まっている中一人で目を覚ましていた。
多少の違和感によって目が覚めてしまったわけだが……。
「あと少し……あと少しです……」
案の定、円香が俺の腹あたりをモゾモゾとせり上がってきていた。
……うん。まぁそうなるだろうとは思ってたよ。
だって不自然なまでにすんなり寝てくれたじゃん。
「ん……やはり意外と筋肉あるんですよね……えへへ」
失礼ですよ円香さん。
意外と、は失礼ですよ。
(ゲーオタなのに)意外と、隠されているのがバレバレですよ。
「私の愛は止まらないのです」
マグロか何かなのかな?ん?
ホントはここで声出して円香を言いくるめたいんだけど、絶賛真夜中、人間どころか草木までぐっすりだ。
そんな中で声なんて出したら、ぐっすり寝てるみんなを起こしてしまいかねん。
さて、どうするべきか。
――そんな思考虚しく、円香がついに俺の胸の位置まで到着した。
「……んしょ、!足も入りましたしここまでですね。」
驚かれても困るので必死に目を閉じる。
さて、ここからどうするか。
「勇人くんの体あったかいです……♡」
抱きつかれはしないがすごいすりすり擦り寄ってくる。
甘えてる猫みたいだ。
だけど俺はこのかわいさに屈しないぞ!
まだ早いんだ。
高二なんだ俺たちは!
「ふふっ、幸せです♡」
・・・・・・。
「おやすみなさい、勇人くん♡」
・・・・・・みんなを起こすのも忍びないしこのままでいいか。
決して円香のかわいさに負けたわけじゃない。
そうだ。
あ、人の温もりってイイな、なんて思ってない。断じて思ってない。
「ふふっ、勇人くんったら甘えん坊さんですね……」
もう寝てるのか……。
………………俺も寝るか。
俺は再び目を瞑り、この状況がおかしいものではないと言い聞かせるようにして、眠りに落ちた。
この日夢を見ることなく、起きてから疲れがスッキリ取れていたのが、円香が隣で寝ていてくれたからとかそんなことは無いと信じたい。
くせになってしまうから。
それではここで、布団に入ったあとの金霧先輩の様子を覗いてみましょう。
「はぁぁぁぁぁはずい……思ってたよりドキドキしたぁ……」
と小声で供述しておりました。
以上、現場からお送り致しました。
【新転勇人】
 「あ、あなたたち何してるの!?」
「コアラ飼ってます」
「旦那に抱きついてます」
先輩、その気持ちわかりますよ。
俺の腕に、さも平然とした顔でくっついてるこの子が不思議で仕方が無いんですよね?
「新天、ももちゃん高三の癖してイチャイチャしたりしたことないからそういうのは刺激が強すぎるよ」
「なっ!」
先輩の煽りにまんまと釣られてしまうももちゃん先輩。
「あ、あたしだって腕に抱きつくことの一つや二つくらいやってるから!」
顔を真っ赤にして先輩の言うことを否定する。
そんな必死に否定するから先輩が面白がってからかうと思うんですが……。
「本当?」
「え、えぇ。本当だけど?」
「ふ〜ん」
目が泳ぎまくってるももちゃん先輩とは対照的に、目を細めて疑うような素振りを見せた金霧先輩は緩い口調で浅見くんを呼んだ。
「なんですか?」
そして、浅見くんの手を取り、その手のひらを――自身の胸に押し当てた。
「な、なにしてんのッ!!?バカ!バカなの!?」
「はいダウト〜」
…………先輩が楽しければそれでいいんですけど……顔真っ赤で汗ダラダラな俺の親友も見てやってくださいな……。
「あ、浅見ありがと。」
「は、はい……こちらこそ……?」
うん!正解!その反応で正解だよ浅見くん!
「あんたたちいくら付き合ってるからってダメ!そういうことはまだ早い!」
「うんうん。で、そういうことって?」
からかい上手の金霧さんだ。
ももちゃん先輩が完全にお手玉状態だ。
完全に思うがままにされている。
その証拠に、カーッと先程よりも顔を赤らめた先輩は、
「そ、そういうことは、そういうことよ!言わないわよ!」
「あっそ、じゃあ寝よ」
金霧先輩はその言葉を聞くと途端興味を失くしたようにして敷いてある布団の方へ向かった。
激昂して何としてでも金霧先輩のお手玉にならないように頑張っていたももちゃん先輩もそれにはポカンだ。
一方的にからかわれて、飽きたらポイ。
ももちゃん先輩の表情がだんだんと捨てられた子犬のような、寂しそうな表情に変わった。
「も、もういいもん。勉強いっぱいさせるから。もう寝るもん」
実にかわいい言葉を残し、布団に潜っちゃった。
「勇人くん、私たちも寝ましょうか。」
「うん、円香はあっちね♪」
「ぶー」
こんな騒ぎの中でも小さな寝息を立てて眠っていた三郷さんと、まぁ十中八九寝たフリしてるであろう左道さんのあいだに誘導する。
「じゃあおやすみ。」
「おやすみなさーい。」
怖いくらいにすんなり布団に入ってくれた円香。
「俺らも寝ようぜ」
「そうだね」
逆に怖くてしばらく眺めていたが、浅見くんに呼ばれたためその場を離れて寝床へつく。
「んじゃおやすみ」
「おやすみ。」
こうして勉強合宿(仮)の夜を終えた。
□
はずだったんだが……。
俺は、みんなが寝静まっている中一人で目を覚ましていた。
多少の違和感によって目が覚めてしまったわけだが……。
「あと少し……あと少しです……」
案の定、円香が俺の腹あたりをモゾモゾとせり上がってきていた。
……うん。まぁそうなるだろうとは思ってたよ。
だって不自然なまでにすんなり寝てくれたじゃん。
「ん……やはり意外と筋肉あるんですよね……えへへ」
失礼ですよ円香さん。
意外と、は失礼ですよ。
(ゲーオタなのに)意外と、隠されているのがバレバレですよ。
「私の愛は止まらないのです」
マグロか何かなのかな?ん?
ホントはここで声出して円香を言いくるめたいんだけど、絶賛真夜中、人間どころか草木までぐっすりだ。
そんな中で声なんて出したら、ぐっすり寝てるみんなを起こしてしまいかねん。
さて、どうするべきか。
――そんな思考虚しく、円香がついに俺の胸の位置まで到着した。
「……んしょ、!足も入りましたしここまでですね。」
驚かれても困るので必死に目を閉じる。
さて、ここからどうするか。
「勇人くんの体あったかいです……♡」
抱きつかれはしないがすごいすりすり擦り寄ってくる。
甘えてる猫みたいだ。
だけど俺はこのかわいさに屈しないぞ!
まだ早いんだ。
高二なんだ俺たちは!
「ふふっ、幸せです♡」
・・・・・・。
「おやすみなさい、勇人くん♡」
・・・・・・みんなを起こすのも忍びないしこのままでいいか。
決して円香のかわいさに負けたわけじゃない。
そうだ。
あ、人の温もりってイイな、なんて思ってない。断じて思ってない。
「ふふっ、勇人くんったら甘えん坊さんですね……」
もう寝てるのか……。
………………俺も寝るか。
俺は再び目を瞑り、この状況がおかしいものではないと言い聞かせるようにして、眠りに落ちた。
この日夢を見ることなく、起きてから疲れがスッキリ取れていたのが、円香が隣で寝ていてくれたからとかそんなことは無いと信じたい。
くせになってしまうから。
それではここで、布団に入ったあとの金霧先輩の様子を覗いてみましょう。
「はぁぁぁぁぁはずい……思ってたよりドキドキしたぁ……」
と小声で供述しておりました。
以上、現場からお送り致しました。
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