非リアの俺と学園アイドルが付き合った結果

井戸千尋

私のお母さんアイデアと俺の嫌な予感

八十話






【新転勇人】







「えちょっと待って?なにこれ?」
なんで今朝はあんなに修羅場してたのに今こんなに仲良くやってるの?
昨日の敵は今日の友的なこと?にしても早くない!?
「勇人くん、どうしてしまったんですか?」
俺は少し前の君に同じことを言いたいなっ!
でもかわいいから許しちゃう。
「多分、昨日の敵は今日の友的なことだと思います……」
浅見くんが「勇人!勇人!この二人止めて!」と言っているが面白いのでこのままにしておこう。
…………それにしてもこの二人……
「あたしは浅見の目も好き!」
「わ!わ、分かります!」
「やっぱし!」
今朝の面影がないな……。
今朝は私の方が好き対決だったのに。
……今考えるとさっきの円香は二人に影響されてたってことかな。
そうと分かればもっと影響してください!
「あと、一途なところとかもいいよね」
あ、なんか嫌な予感がする。

幾多ものギャルゲをプレイしてきた俺の勘がそう訴えていた。
「で、でも、私は諦めません……から……ッ!」
弱気なのに強気。
なんか普段弱気な女の子が強気に必死になってる姿って良いよね。胸も揺れてるし。
「勇人くん、三郷さんをえっちな目で見るのはやめてください」
「アッハイ」
円香さんは何でもわかっちゃうのね!
でも耳元で小声で「えっちな――」って言うのも…………うん、イイネ!
「ま、せっかく出来たフレ……友達だしね、あたしも鬼じゃないし、喋ってて楽しいからこれからも仲良くやろ!」
「と、友達…………はぃ!」
俺がそんなことしてる間に何やら解決したようだった。
でも俺は聞き逃してませんよ?先輩が友達のことフレンドって言いかけたことを。
「お、終わりましたか……?」
浅見くんは借りてきた猫状態で怯えたように二人へ尋ねる。
可哀想に……トラウマになってしまったのね……。

「あ、うん終わったよ、てかいたんだ」
「て   か   い   た   ん   だ   ?」
あ、魂が抜けていってる。
先輩の無意識Sの力で魂がバイバイしてる。
ホントに浅見くんのこと好きなのかな。
「……せ、先輩……私、またここ来て……いいですか……?」
「お、おう!むしろ来いよ!人が多い方が楽しいしな!」
三郷さんの可愛らしい質問に頼られたことでやっとこいつもの浅見くんに戻ってくれた。
「なぁ勇人!」
「うん、なんかもうどんな活動をするか分からなくなってきたけど、それでもいいならおいでよ」
三郷さんは目尻に小さな涙を浮かべて胸の前でキュッと手を握り、
「はい!ありがとうございます!」
と、透き通るような純白の笑顔で言った。








【新天円香】








 「勇人くんの、おいでよ。ってかっこよかったぁ♡」
私は真結に貰った勇人くんの写真を眺めながらかっこいい彼を思い出します。
「私も言われたいです……」
私は勇人くんの写真を抱きしめ――
「円香、そろそろ勇人くんを…………へぇ」
その瞬間、お母さんが部屋に入ってきました。
私はびっくりして体が動かず、つまりは写真を抱きしめているところを見られたわけで、
「円香もそういうことするんだぁ……いいもの見ちゃったあ〜」
「忘れろ!忘れろ!忘れろ!です!」
私は手元にあったクッションでお母さんをぽかぽか殴ります。
忘れてください本当に!!
「わかったからわかったから!」
「本当に?」
「本当よ、ところでさっきは何してたの?」
ぽかぽかぽかぽか。
「ごめんごめん、そろそろ本題に移りたいんだけどいい?」
……叩くたびに胸が揺れているが鼻につくのでここらでやめておきましょう。
別に許した訳ではありませんからね!
「じゃあ。」
お母さんは一つ咳払いをすると、ゆっくりと口を開きました。
「今度の休みに勇人くんを連れて来なさいな」
それを聞いて、ゆっくりと加速し始める私の思考の中ではたくさんの予想が立てられていました。

勇人くんが私の家に……。

しかも休みってことはお父さんもいて……。

もちろんお母さんもいる……。

そして私たちは付き合ってる……。



両親への挨拶……!!

「ナイスアイデアです!さすがお母さんです!」
私は天にも登る気持ちでした。
次のお休みが楽しみで仕方がありません♡






【新転勇人】






「あ、なんか嫌な予感がするぞ?なんか近々大変なことが起こりそうだな」
「兄貴、アイス買ってきて!」
アイスか……てか嫌な予感ってこれか?
めんどくさいけど……まぁ俺も食いたいしいいか。
「りょーかい」
「あたしダッツねダッツ!ハーゲンのダッツね!」
「了解ソーダ味のガリガリ君ね」
「ちがーう!」
俺はそんな妹の叫びを背中で聞きながら家を出た。

さっきの嫌な予感はこれじゃない気がするんだよなぁ…………。
俺は足を速め、コンビニへと向かった。







【新転結花】







「ふふふ……にぃが出ていった。ということは……」
私はにぃの部屋にダッシュで向かって――
「どーーんッ!」
ベッドにダイブした。
「作戦せーこー!にぃは不用心ですなぁ」
私はその後、にぃが帰ってくるまでにぃのベッドでごろごろと幸せな時間を過ごした。

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