従妹に懐かれすぎてる件
三月二十一日「従妹と手料理」
「かんせーいっ!」
「お、旨そうだな」
テーブルに作られた料理が並べられていく。
白米に肉じゃがと味噌汁。
豪勢とは言えまいが、彩音が心を込めて作ってくれた手料理だ。美味しくいただくとしよう。
「そういえば彩音の作った料理を食べるのは初めてだな」
「あれ、そうだっけ?」
彩音の家で遊んだついでにご飯をご馳走してもらう事も多かったが、その時はいつも伯母の梨恵さんの手料理だった。
第一、彩音が料理をしている姿自体初めて見たしな。
「よし、じゃあいただきます!」
「いただきまーすっ!」
箸を手に取り肉じゃがの方へ伸ばす。
すると彩音に「待って!」と止められる。
「私からやるから、ちょっと待ってて」
「ん、何がだ?」
まだ準備する事でもあるのだろうか。
だが彩音は一切れのじゃがいもを掴むだけで今にも食べ始めそうな感じだ。
--と思ったのも束の間。
「はい、あーんっ?」
「ちょ、マジかよ!?」
口を開けろとせがむ彩音。
はぁ……。食事ぐらい普通にさせてくれ……。
「あーんして?」
「あぁもう分かったよ。……あー」
ぱくっ。
生暖かい塊が口の中に入った。
彩音は満足そうな笑顔で大きく頷く。
「どう? 美味しい?」
「うーん……」
咀嚼しながら返す言葉を考える。
が、内容が思いつかない。
詰まるところ--美味しくないのだ。
煮る時間が足りてない気がする。硬い部分があり、噛むと野菜独特の臭みが広がるし。
それに味付けも薄い。醤油入れたのかこれ……?
でもストレートに言ったら傷付くだろうし、お世辞でもいいから美味しいと言った方がいいか……?
いやだがそれも返って失礼かも……。
中々答えない俺の顔を見た彩音が凄く悲しそうな顔になる。
マズい……何か言わないと……。
「うん、食べれなくはない、かな」
「本当に? 無理しなくても大丈夫だよ?」
「……え?」
「美味しくないんでしょ? 分かってるよ。私料理下手だから……」
明るく振る舞おうとするも、落ち込んでいるのが目に見えていた。
彩音はきっとこうなると理解した上で料理を作ってくれたのだろう。
俺に食べさせたいという一心で。
なら俺はその気持ちを無駄にする訳にはいかない。
「ありがとうな、彩音」
言いながら、彼女の頭を優しく撫でる。
さわり心地の良いさらさらの黒髪。ローズマリーの香りが広がり、俺は途端に恥ずかしくなった。
親族とはいえ、年頃の女の子の身体に触れるのはドキドキする。
それでも彩音は喜ぶのだろうかと俺は彼女の顔色をうかがう。
すると……
「ひゅー……」
「ちょ、彩音!? 大丈夫か!?」
目が上を向いている。これは……まさか気絶!?
「しっかりしろ彩音!」
肩を揺すってみるものの反応は無い。完全に意識を失っているようだ。
「大丈夫なら返事してくれ!」
「…………」
「こういう時はきゅ、救急車だ! えっと……何番だっけ……」
「…………ひゃく、とうばん、だよ」
微かに聞こえた彼女の声。
「彩音! 目が覚めたか!?」
「えへへ、私嬉しすぎて気絶しちゃったよ」
「はぁ……取り敢えず良かった……」
やたらな事はしないようにしよう。
「お、旨そうだな」
テーブルに作られた料理が並べられていく。
白米に肉じゃがと味噌汁。
豪勢とは言えまいが、彩音が心を込めて作ってくれた手料理だ。美味しくいただくとしよう。
「そういえば彩音の作った料理を食べるのは初めてだな」
「あれ、そうだっけ?」
彩音の家で遊んだついでにご飯をご馳走してもらう事も多かったが、その時はいつも伯母の梨恵さんの手料理だった。
第一、彩音が料理をしている姿自体初めて見たしな。
「よし、じゃあいただきます!」
「いただきまーすっ!」
箸を手に取り肉じゃがの方へ伸ばす。
すると彩音に「待って!」と止められる。
「私からやるから、ちょっと待ってて」
「ん、何がだ?」
まだ準備する事でもあるのだろうか。
だが彩音は一切れのじゃがいもを掴むだけで今にも食べ始めそうな感じだ。
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「はい、あーんっ?」
「ちょ、マジかよ!?」
口を開けろとせがむ彩音。
はぁ……。食事ぐらい普通にさせてくれ……。
「あーんして?」
「あぁもう分かったよ。……あー」
ぱくっ。
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「どう? 美味しい?」
「うーん……」
咀嚼しながら返す言葉を考える。
が、内容が思いつかない。
詰まるところ--美味しくないのだ。
煮る時間が足りてない気がする。硬い部分があり、噛むと野菜独特の臭みが広がるし。
それに味付けも薄い。醤油入れたのかこれ……?
でもストレートに言ったら傷付くだろうし、お世辞でもいいから美味しいと言った方がいいか……?
いやだがそれも返って失礼かも……。
中々答えない俺の顔を見た彩音が凄く悲しそうな顔になる。
マズい……何か言わないと……。
「うん、食べれなくはない、かな」
「本当に? 無理しなくても大丈夫だよ?」
「……え?」
「美味しくないんでしょ? 分かってるよ。私料理下手だから……」
明るく振る舞おうとするも、落ち込んでいるのが目に見えていた。
彩音はきっとこうなると理解した上で料理を作ってくれたのだろう。
俺に食べさせたいという一心で。
なら俺はその気持ちを無駄にする訳にはいかない。
「ありがとうな、彩音」
言いながら、彼女の頭を優しく撫でる。
さわり心地の良いさらさらの黒髪。ローズマリーの香りが広がり、俺は途端に恥ずかしくなった。
親族とはいえ、年頃の女の子の身体に触れるのはドキドキする。
それでも彩音は喜ぶのだろうかと俺は彼女の顔色をうかがう。
すると……
「ひゅー……」
「ちょ、彩音!? 大丈夫か!?」
目が上を向いている。これは……まさか気絶!?
「しっかりしろ彩音!」
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