従妹に懐かれすぎてる件

きり抹茶

三月二十一日「従妹と熱視線」

「ふっふふーん♪ ポテポテ太ったポ、テ、ト~♪」

 エプロンを身に纏って(もちろん衣服を着て)キッチンに立つ彩音の後ろ姿を俺は頬杖をつきながらぼーっと見つめる。

「にんにん人参の人事はシンジ君~♪」

 彩音は即興曲のリズムに合わせて具材を包丁で丁寧に切っていく。
 なんだか凄く楽しそうだが、料理ってそんなに面白いのだろうか。少なくとも俺はそんな風に思ったことはない。寧ろ面倒臭いって思ってる。

「うむ……これは美学……」

 一方俺は彩音の明るい声を頭に入れつつも、ある一点に視線を集中させていた。
 エプロンのフリルからはみ出た白く美しい脚。
 そして身に着けているホットパンツがエプロンに隠れ、まるで『はいてない』ような男のロマンをくすぐる構図になっている。
 くるぶしまでしか届かない短めの靴下も露出度を上げるという点で高ポイント。熊のイラストが描かれたもこもこのスリッパも女の子らしくてGOOD。
 そして何よりも注目していただきたいのが彼女の裏ももである。
 先に述べた要素が重なり合って生まれた究極の美しさ。何時間見てても飽きない。
 もうこれは芸術と呼んでも過言ではないだろう。
 そして俺はこの場に立ち会えた事を祝福するべきだ。
 ありがとう、マイペアレンツ!
 ありがとう、マイアンクル、マイアーント!

 無言で頷いて思いふけっていると、彩音が突然こちらに振り向いた。

「ゆうにぃ、なんか脚がムズムズするんだけど、もしかしてずっと見てた?」
「げっ……何故バレた……」
「それはゆうにぃの愛のまなざしを浴びたら私の身体が反応する仕様になっているからだよ。えへへ」
「何それ怖っ!」

 満更でもないような表情を浮かべる彩音。
 普通なら「どこ見てんの! エッチ!」とか言われて怒られるはずなのだが、彩音の場合は何故か顔を赤くして照れるのだ。
 まあ俺にダメージが無いから別にいいけど。
 つか仕様って何だよ。しかも俺限定なのか。

「私を見てくれるのは嬉しいけど、身体がビクビク感じちゃって集中できなくなるから控えめにねっ!」
「おい、意味深に聞こえるような発言はやめてくれ」

 料理の完成にはまだ時間がかかりそうである。

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