俺が転生した世界はどうやら男女比がおかしいらしい
お久しぶり
「...よし、これで送信っと」
こんにちは前原仁です。
あの事故から早1ヶ月、俺は相変わらずの平穏な日常を満喫している。
そろそろ「月刊スポーツ男子」の発売日が近づいて来た。もうどんな記事になるのかは予め知らされてはいるのだが、やはりとても楽しみである。
突然だが、俺は今自室のベッドでゴロゴロしながらある人に連絡をしているところだ。
その人とはかなり前に連絡をする約束をしていたのだが、こんなにも遅くなってしまった。
わ、忘れていたわけじゃないぞ?忙しかったんだ。本当の本当だ。
その人は、近藤恵令奈さんという名前なのだが、母さんとデートの待ち合わせをしている時にナンパされて知り合った。見た目は美人な金髪ギャルなんだが、その派手な見た目とは裏腹にその心は正に大和撫子と言った感じだ。自らの欲望より相手の想いを優先する、人として大事なことをきちんと分かっている。いや、俺が人を語るなって感じなんだけどそれは置いといて。とにかく俺は恵令奈さんの心意気をとても気に入ってしまったのだ。是非仲良くなりたい。
ピコン
「おっ」
スマホから何かの通知が届いた音が。これは恵令奈さんから返ってきたかな?
俺は逸る気持ちを呼吸を整えることによって緩和させ、慎重にスマホの画面をつける。
女性と連絡を取り合うってのは何回経験してみてもいいもんだ。ましてや恵令奈さんは年上、何かとても緊張してしまう。
しっかりしろ俺!
俺はハーレムを作るんだ。
Be coolだぞ。
目標を再確認することにより己を鼓舞する。
よし、いざ。
やはり、返信は恵令奈さんからだったようだ。
俺は恵令奈さんとの個人チャットルームを開く。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
仁:お久しぶりです恵令奈さん。連絡遅くなってすみません。唐突なんですけど今度の日曜日どっか遊びに行きません?
恵令奈:久しぶり。男の子からのお誘い嬉しいなあ。もちろん行くけど、連絡遅くないかなー?忘れてたとか言わないよね?
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ゔっ....わ、忘れてませんよー?
俺はスマホの電源をそっと消した。
と、とにかくOKは貰った。日曜日まで時間はあるけどさっそく今から服装を決めるとしよう。
こういう時は往々にして現実逃避をするに限る。うん。
時が過ぎるのはあっという間というもので、気付けば日曜日になっていた。
「よし、おっけー」
姿見で今日のファッションをチェック。前世ではファッションになんて興味は微塵もなかったけど、転生してからは意欲的に学ぶようにしている。今日は年上のお姉さんとのデートということで、ワンサイズ上のフード付きカーディガンにチノパンという可愛い系のスタイルで行ってみよう。萌え袖をする男なんてきめぇって前世では思ってたけど、いざやってみるとこれが中々しっくりくるのだ。
「いってきま〜す」
今日は家族みんな休みであり、リビングでゴロゴロしている姉の茄林と妹の心愛、洗濯物を畳んでいる母さんに元気良くそう伝える。
「....はーい」
事前に今日出掛けることを伝えていた母さんはとても不満げに唇を尖らせる。
「えっ!お兄ちゃん出掛けるの!」
対して伝えていなかった心愛は読んでいた雑誌をグシャっと握りしめながら悲しそうに叫ぶ。
姉さんも何か言いたげな目でこちらを見ている。
うっ...みんなにそんな反応をされたらとても行きづらいじゃないか。
「う、うんごめんね?遊びに行ってくるよ」
しかしそれでも男には行かねばならぬ時があるのだ!許せ!
女性との約束を破るほど俺は腐ってないぜ。
「遊びに...。女の子とじゃない、よね?」
我が妹が今にも溢れんばかりの涙を目に貯めて、体を震わせながら不安げに問うてくる。
心愛の問いに、心なしか空間に緊張が走る。母さんと姉さんも俺の返答に注目しているようだ。
やめてくれ!!心が痛いよ!
これがハーレムを目指す者の宿命なのか?茨の道すぎるだろう!だが俺は皆を平等に愛したいのだ!
かくなる上は...!
「違うよ?クラスの男の子だよ」
ダラダラと冷や汗をかく俺の内面とは正反対に顔は和かに保ちながらそう答える。
「あ、そうだよね!!ごめんね変なこと聞いちゃって。いってらっしゃいお兄ちゃん!」
心愛は安心したみたいで、堰を切ったように捲したてる。手を止めていた母さんは再び洗濯物を畳む作業を開始し、姉さんはホッと一息ついて体の力を抜いたみたいだ。
...罪悪感に押し潰されそうだ。
しかし、これはついても良い嘘だったのではないだろうか。この世の中はなんでもかんでも正直に言って上手くいくほど単純には作られていないのだ。俺が真実を言うことによって家族の悲しむ顔を見るくらいなら、俺が噓つきにでもなんでもなった方がマシだ。
そう自分を無理やり正当化させながら俺は家を出る。
しかし、ハーレムを志すならばいつか伝える日が来るだろう。覚悟はしておかねばな。
その日の陽射しは何時もよりも少しばかり強い気がした。
今は梅雨の季節であるのだが、今日は運良く空は快晴。最高のデート日和だ。
鼻歌を口ずさみながら俺は足を動かす。
恵令奈さんとの待ち合わせ場所は、前回俺がナンパされた場所である駅の時計塔の下だ。
俺がするデートの待ち合わせ場所はいつも同じだな。
俺は今日待ち合わせ時間の1時間半前に着くように向かっている。何故そんなイカれた早さなのかというと、前回の莉央ちゃんとのデートの時の失態を繰り返さないためだ。俺は1時間前に待ち合わせ場所に行ったのだが、情けないことに女の子を待たせてしまっていた。次こそは....!!
そう意気込んでいると駅に着いたようだ。
時計塔の下に恵令奈さんは....
ーーーいない!!
よしっ!俺の勝ち(?)だ!
得意げに時計塔の下のベンチに座る。
ふふふ。やっぱり男とはこうあるべきだ!
俺が鼻息荒く勝ち誇っていると、件の如く周りの視線が俺に一極集中する。
「あの子無茶苦茶可愛いんだけど?」「知らないの?最近この辺りでは話題になってるんだよ」「「えっ、そうなの?」」「この駅に度々出没する謎の美少年ってね」「あのスイッターの弓道の動画の子と同一人物じゃないかって噂もあるのよ」「へぇ〜」「というかベンチになりたい」
何回経験しても慣れないものだ。
周りの人はコソコソ話しているので何と言っているのかは分からないけど、俺の事が話題なのは分かる。
その後数十分ほど、俺は好奇の視線に晒された。
その間ナンパがなかったのが幸いだった。女性は男性に飢えているといっても、俺のような超絶美少年をナンパする気概がある人はほとんどいないのだろう。いや自分で言うな。
うぅ...居心地が悪い。
早く来て下さい恵令奈さん。
早く来すぎた自分のことは棚に上げて俺はそんなことを考える。
「恵令奈さぁん.....」
ついつい心の中に留めていた願望が、実現したい気持ちが強く声という実体を伴って口から出てしまった。
と、その時。
「だ〜れだっ」
「わわっ!?」
背後から突然何かに視界を遮られた。
その何かは少し汗ばんでいる感触があり、何かの隙間から光が少し入ってきている。
これは...手か。
まさかリアルだ〜れだをしてくれる人がいるとは....。これは声と状況からして...恵令奈さん?少なくとも女性であることは間違いない。前世で男友達にやられた時はイラっとしたものだが、女性にされるとなんというか、とてもドキドキしてしまう。
「え、恵令奈さん...ですか?」
「おっピンポンピンポーン!!」
軽快な声色と共に解放される俺の視界。
すぐさま振り返り、久しぶりの恵令奈さんの姿を確認する。
そこには、悪戯が成功した子供みたいに無邪気な笑顔を浮かべた茶髪ロングの美人さん。そんな笑顔も様になっていて、やっぱりこの人はとても綺麗だなとぼんやりと思った。
しかし茶髪か...前回は金髪だったと記憶しているのだが、髪を染めたのかな?
茶髪もお似合いです恵令奈さん!
俺が改めて恵令奈さんの美しさを再確認していると、
「恵令奈さぁん.....だっけー?」
それはそれは楽しそうにニヤニヤしながら、先ほどの俺の言葉を繰り返す悪女。
「〜〜ッ!?ち、ちがっ、それは!周りの視線が!別に変な意味じゃ!」
顔の熱が一気に高まるのが分かる。
無茶苦茶恥ずかしい。
「へぇ〜〜?」
尚もニヤニヤを止めない恵令奈さん。
....誰か助けてくれ......。
こんにちは前原仁です。
あの事故から早1ヶ月、俺は相変わらずの平穏な日常を満喫している。
そろそろ「月刊スポーツ男子」の発売日が近づいて来た。もうどんな記事になるのかは予め知らされてはいるのだが、やはりとても楽しみである。
突然だが、俺は今自室のベッドでゴロゴロしながらある人に連絡をしているところだ。
その人とはかなり前に連絡をする約束をしていたのだが、こんなにも遅くなってしまった。
わ、忘れていたわけじゃないぞ?忙しかったんだ。本当の本当だ。
その人は、近藤恵令奈さんという名前なのだが、母さんとデートの待ち合わせをしている時にナンパされて知り合った。見た目は美人な金髪ギャルなんだが、その派手な見た目とは裏腹にその心は正に大和撫子と言った感じだ。自らの欲望より相手の想いを優先する、人として大事なことをきちんと分かっている。いや、俺が人を語るなって感じなんだけどそれは置いといて。とにかく俺は恵令奈さんの心意気をとても気に入ってしまったのだ。是非仲良くなりたい。
ピコン
「おっ」
スマホから何かの通知が届いた音が。これは恵令奈さんから返ってきたかな?
俺は逸る気持ちを呼吸を整えることによって緩和させ、慎重にスマホの画面をつける。
女性と連絡を取り合うってのは何回経験してみてもいいもんだ。ましてや恵令奈さんは年上、何かとても緊張してしまう。
しっかりしろ俺!
俺はハーレムを作るんだ。
Be coolだぞ。
目標を再確認することにより己を鼓舞する。
よし、いざ。
やはり、返信は恵令奈さんからだったようだ。
俺は恵令奈さんとの個人チャットルームを開く。
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仁:お久しぶりです恵令奈さん。連絡遅くなってすみません。唐突なんですけど今度の日曜日どっか遊びに行きません?
恵令奈:久しぶり。男の子からのお誘い嬉しいなあ。もちろん行くけど、連絡遅くないかなー?忘れてたとか言わないよね?
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ゔっ....わ、忘れてませんよー?
俺はスマホの電源をそっと消した。
と、とにかくOKは貰った。日曜日まで時間はあるけどさっそく今から服装を決めるとしよう。
こういう時は往々にして現実逃避をするに限る。うん。
時が過ぎるのはあっという間というもので、気付けば日曜日になっていた。
「よし、おっけー」
姿見で今日のファッションをチェック。前世ではファッションになんて興味は微塵もなかったけど、転生してからは意欲的に学ぶようにしている。今日は年上のお姉さんとのデートということで、ワンサイズ上のフード付きカーディガンにチノパンという可愛い系のスタイルで行ってみよう。萌え袖をする男なんてきめぇって前世では思ってたけど、いざやってみるとこれが中々しっくりくるのだ。
「いってきま〜す」
今日は家族みんな休みであり、リビングでゴロゴロしている姉の茄林と妹の心愛、洗濯物を畳んでいる母さんに元気良くそう伝える。
「....はーい」
事前に今日出掛けることを伝えていた母さんはとても不満げに唇を尖らせる。
「えっ!お兄ちゃん出掛けるの!」
対して伝えていなかった心愛は読んでいた雑誌をグシャっと握りしめながら悲しそうに叫ぶ。
姉さんも何か言いたげな目でこちらを見ている。
うっ...みんなにそんな反応をされたらとても行きづらいじゃないか。
「う、うんごめんね?遊びに行ってくるよ」
しかしそれでも男には行かねばならぬ時があるのだ!許せ!
女性との約束を破るほど俺は腐ってないぜ。
「遊びに...。女の子とじゃない、よね?」
我が妹が今にも溢れんばかりの涙を目に貯めて、体を震わせながら不安げに問うてくる。
心愛の問いに、心なしか空間に緊張が走る。母さんと姉さんも俺の返答に注目しているようだ。
やめてくれ!!心が痛いよ!
これがハーレムを目指す者の宿命なのか?茨の道すぎるだろう!だが俺は皆を平等に愛したいのだ!
かくなる上は...!
「違うよ?クラスの男の子だよ」
ダラダラと冷や汗をかく俺の内面とは正反対に顔は和かに保ちながらそう答える。
「あ、そうだよね!!ごめんね変なこと聞いちゃって。いってらっしゃいお兄ちゃん!」
心愛は安心したみたいで、堰を切ったように捲したてる。手を止めていた母さんは再び洗濯物を畳む作業を開始し、姉さんはホッと一息ついて体の力を抜いたみたいだ。
...罪悪感に押し潰されそうだ。
しかし、これはついても良い嘘だったのではないだろうか。この世の中はなんでもかんでも正直に言って上手くいくほど単純には作られていないのだ。俺が真実を言うことによって家族の悲しむ顔を見るくらいなら、俺が噓つきにでもなんでもなった方がマシだ。
そう自分を無理やり正当化させながら俺は家を出る。
しかし、ハーレムを志すならばいつか伝える日が来るだろう。覚悟はしておかねばな。
その日の陽射しは何時もよりも少しばかり強い気がした。
今は梅雨の季節であるのだが、今日は運良く空は快晴。最高のデート日和だ。
鼻歌を口ずさみながら俺は足を動かす。
恵令奈さんとの待ち合わせ場所は、前回俺がナンパされた場所である駅の時計塔の下だ。
俺がするデートの待ち合わせ場所はいつも同じだな。
俺は今日待ち合わせ時間の1時間半前に着くように向かっている。何故そんなイカれた早さなのかというと、前回の莉央ちゃんとのデートの時の失態を繰り返さないためだ。俺は1時間前に待ち合わせ場所に行ったのだが、情けないことに女の子を待たせてしまっていた。次こそは....!!
そう意気込んでいると駅に着いたようだ。
時計塔の下に恵令奈さんは....
ーーーいない!!
よしっ!俺の勝ち(?)だ!
得意げに時計塔の下のベンチに座る。
ふふふ。やっぱり男とはこうあるべきだ!
俺が鼻息荒く勝ち誇っていると、件の如く周りの視線が俺に一極集中する。
「あの子無茶苦茶可愛いんだけど?」「知らないの?最近この辺りでは話題になってるんだよ」「「えっ、そうなの?」」「この駅に度々出没する謎の美少年ってね」「あのスイッターの弓道の動画の子と同一人物じゃないかって噂もあるのよ」「へぇ〜」「というかベンチになりたい」
何回経験しても慣れないものだ。
周りの人はコソコソ話しているので何と言っているのかは分からないけど、俺の事が話題なのは分かる。
その後数十分ほど、俺は好奇の視線に晒された。
その間ナンパがなかったのが幸いだった。女性は男性に飢えているといっても、俺のような超絶美少年をナンパする気概がある人はほとんどいないのだろう。いや自分で言うな。
うぅ...居心地が悪い。
早く来て下さい恵令奈さん。
早く来すぎた自分のことは棚に上げて俺はそんなことを考える。
「恵令奈さぁん.....」
ついつい心の中に留めていた願望が、実現したい気持ちが強く声という実体を伴って口から出てしまった。
と、その時。
「だ〜れだっ」
「わわっ!?」
背後から突然何かに視界を遮られた。
その何かは少し汗ばんでいる感触があり、何かの隙間から光が少し入ってきている。
これは...手か。
まさかリアルだ〜れだをしてくれる人がいるとは....。これは声と状況からして...恵令奈さん?少なくとも女性であることは間違いない。前世で男友達にやられた時はイラっとしたものだが、女性にされるとなんというか、とてもドキドキしてしまう。
「え、恵令奈さん...ですか?」
「おっピンポンピンポーン!!」
軽快な声色と共に解放される俺の視界。
すぐさま振り返り、久しぶりの恵令奈さんの姿を確認する。
そこには、悪戯が成功した子供みたいに無邪気な笑顔を浮かべた茶髪ロングの美人さん。そんな笑顔も様になっていて、やっぱりこの人はとても綺麗だなとぼんやりと思った。
しかし茶髪か...前回は金髪だったと記憶しているのだが、髪を染めたのかな?
茶髪もお似合いです恵令奈さん!
俺が改めて恵令奈さんの美しさを再確認していると、
「恵令奈さぁん.....だっけー?」
それはそれは楽しそうにニヤニヤしながら、先ほどの俺の言葉を繰り返す悪女。
「〜〜ッ!?ち、ちがっ、それは!周りの視線が!別に変な意味じゃ!」
顔の熱が一気に高まるのが分かる。
無茶苦茶恥ずかしい。
「へぇ〜〜?」
尚もニヤニヤを止めない恵令奈さん。
....誰か助けてくれ......。
コメント
ノベルバユーザー330604
見ていて幸せだからいーじゃん( * ॑˘ ॑* ) ⁾⁾
かオース⤴︎
(・∀・)
清水 裕斗
萌えたらいいじゃないか!!
君は妹達の反応に萌えなかったのかい!!
今すぐ人生を子宮までやり直せ!!!
名無しさん@ノベルバ
私たちの心理的には一緒かもしれませんが
そもそも一夫多妻制という設定で、男が希少である世界で、女を誤魔化して別の女性と会うということを
私たちの暮らす世界でのルールや常識で推し量るのは違うのでは?
あのこ
1つ助言を。
主人公が家族(女性)に男友達に会うと嘘をついて新しい女の子とデートする。
バレなきゃいいという論理は浮気や不倫と変わりません。読者に不信感与えますよ。