俺が転生した世界はどうやら男女比がおかしいらしい
SNSの恐怖
あぁ〜まさか昨日の俺が撮られてたなんてなあ...
俺は頭を掻きながら教室のドアを開ける。
「よっ、どこ行ってたんだよ仁。昼飯食おうぜ」
すると目の前には俺より頭一つ分ほど身長の高い男がいた。
聖也だ。
「あぁごめんね?ちょっと福岡先生に呼び出されちゃって」
「呼び出しって...一体何やらかしたんだよ〜」
俺と聖也は喋りながらいつも昼食を一緒に食べる俺の席へと向かう。
「何もやってないよ。ただ、ね...」
「どうした?煮え切らないな」
「んー、実はね....」
席に着き、俺は取材のことや昨日の動画が拡散されている事などについて話した。
「...ってことなんだ」
「...うぇえーマジかよ。確かに昨日は活躍したみたいなことを小耳にはさんだけどよ。取材に動画拡散か....。これから大変になるんじゃねぇか?世間の仁の認知度が一気に高くなるぞ?むしろその容姿で今までそんなに高くなかったことの方が俺は驚きだったけどな」
「そうだよねぇ...」
有名になってしまうのもこの容姿で生まれ変わった俺の宿命かな...
そんな話を昼休みに聖也とし、その後の授業を終えた俺は部活へ行く準備をしていた。
あ、そういえば莉央ちゃんのところにも俺の動画って回ってるのかな?
朝から色々あってまだ今日は喋れてなかったからなあ。
俺は唐突にそんなことを思い、莉央ちゃんの元へ向かう。幸い莉央ちゃんもまだ部活へは行ってなかったみたいだ。というより、座りながらこっちをチラチラ見てる。
莉央も俺と喋りたかったのかな。だとしたら嬉しいな。
「莉央ちゃん」
「こんにちは仁くん!えへへやっと喋れます」
嬉しそうにはにかむ莉央ちゃん。う〜ん守りたい、この笑顔。
「ごめんね?朝からごたごたしてて」
「いえ私は大丈夫です!ごたごたっていうのは、やっぱり動画のことですか?」
莉央ちゃんがやや声を控えめに聞いてくる。
「あー、やっぱり莉央ちゃんの所にもいってる?」
「もちろんですよ、今SNS上で話題なってますからね。あの動画の仁くん無茶苦茶かっこいいですし...。あ、もちろん普段もかっこいいですよ?仁くんは四六時中どんな時でも最高です...」
「あはは、照れるな。ありがと莉央ちゃん。莉央ちゃんもいつも可愛いよ?」
「はわわ!あ、ありがとうございます...」
俺がそう莉央ちゃんとプチイチャイチャしてると、
ジーーッと少し離れた席から美沙がこちらを見つめているのに気付いた。
「どうしたの?美沙」
とりあえず声をかけてみる。
「...はわっ!?い、いや何でもない!じゃ、じゃああたし部活行くから!また!」
美沙は、俺が声をかけた瞬間ビクっと肩を震わせ、いそいそと仕度を始めたかと思えば慌ただしく教室から出て行ってしまった。
うーん...昨日の大会終わったあたりから向こうから話しかけてくれないしこっちから話しかけてもあからさまに避けられてるんだよねえ。
「まったくもうみさみさちゃんは...」
莉央ちゃんは嘆息しながら美沙が出て行った方向を見つめながらそう言う。
「そ、そろそろ部活行こっか」
「そうですね。みさみさちゃんには私から言っておきます」
俺たちは美沙のことはひとまず置いておき、とりあえず部活に向かった。
部活の時も、専ら部員たちの話題は昨日の大会優勝のことや俺の動画の事であった。
その日の的中率はいつもよりも心なし低いような気がした。取材や動画のこと、美沙のことなど色々あったから少し精神状態が乱れていたのかもしれない。
そして俺は今1人で電車に揺られている。もちろん一般車両だ。少し空いているので痴姦はないだろう。残念ながら。
それにしても視線を感じるのはいつも通りなのだが、動画のことを思うと少し意味合いが違う視線のような気がしてくる。まあそんな事を気にしても仕方がないのでもう考えないようにするが。
あといつもは莉央ちゃんと美沙と3人で帰ることが多いのだが、今の美沙に俺と帰るというのも少し気の毒な気がするので、美沙には莉央ちゃんについてもらっている。だから、今日は俺1人というわけだ。
降りる駅に着き、俺は家に向かう。
ふぅ...と息を吐きながら、逢魔時と言われる少し薄暗い夕方の雲1つない空を見上げる。前世もそうだったが、俺はこういう1人の帰り道で空を見上げるのが好きだ。落ち着くのだ。夕方に空を見上げれば、オレンジ色の世界が俺に落ち着きと安寧をくれるような気がする。また夜の空を見上げれば、暗い世界に輝く星々がどうしようもなく圧倒的な存在に思えて、まるで足元が浮き上がっていくような不思議な感覚を感じられる。
昔から、何かあった時はこうして空を見上げるのがクセみたいなもんだ。
そうして俺がすっかり感傷に浸りながら帰路をとぼとぼ歩いていると、少し前に見覚えのあるちびっ子3人衆が。
相変わらずチョコチョコして可愛いな。
声をかけてみようか。
「心愛、愛菜ちゃん、ののちゃん」
背後にそーっと忍び寄り至近距離からいきなり声をかけてみた。
「「「にょあ!?」」」
3人衆は三者三様...ではなく三者一様に同じリアクションをしながらこちらに勢いよく振り向いた。
う〜ん良いリアクション。お兄ちゃんは誇らしいです。
「あっ!?お兄ちゃん!」
「はえ!?おひ、お久しぶりっす!」
「あわわ...こんばんは!ボクびっくりしたよ...」
上から順に、心愛、速水愛菜ちゃん、早乙女ののちゃんだ。
うーん相変わらずの、〜っす娘にアホ毛ボクっ娘だな。最高。
「こんばんは。3人とも今帰り?」
「そうだよっお兄ちゃんも?」
「うん僕も今帰りだよ」
「やった!お兄ちゃんと一緒に帰れる!」
心愛はガッツポーズをする。
「でも、愛菜ちゃんとののちゃんと帰ってたんじゃないの?僕がいると邪魔になっちゃうよ」
「愛菜ちゃんもののちゃんも別にお兄ちゃんいても大丈夫でしょ?ていうか、この前2人ともお兄ちゃんとまた会いたいって言ってたもんね〜?」
心愛がニヤニヤしながら2人にそう言う。
「ちょっ!?そう言うことは本人の前では言わないで欲しいっす!!」
「そ、そうだよ!心愛ちゃんのバカ!わぁあ...恥ずかしい...」
顔を真っ赤に染め叫ぶ2人。
かなり焦っているようだ。
俺は大丈夫だよ、寧ろ大歓迎だ。
「そうなんだ?ありがとう2人とも。そんな事を思ってくれててとても嬉しいよ」
必殺!普通の微笑み!
「「きゅう....」」
ふっ...他愛も無い。
「...むぅ」
そんなやり取りをしていると心愛が頬を膨らませてしまった。自分から話を振っておいてしょうがない奴だ。
「僕も心愛と帰れてとても嬉しいよ。さ、帰ろう?」
そう言いながら心愛の頭をなでなでしてあげる。
「ふへへ...よし、帰ろっ!」
我が妹ながらチョロすぎるぞ心愛よ。悪い男に引っかからないか将来が心配だ。
その後、4人で並び立ちながら雑談を交わしていると、おもむろにののちゃんがスマホを取り出した。
「あの、お兄さん」
「ん?どうしたの、ののちゃん」
「これなんですけど....」
そう言ってスマホの画面を見せてくる。
どうやら何かの動画のようだ。
.....動画か。
嫌な予感しかしないんだが?
『キィイイン!
ズパァンッ!!』
そこには、やはり俺。紛う事なき俺。もれなく俺。
「これ今話題なんですけど...お兄さんに似てたから心愛ちゃんに聞いたら、本人だって」
「あ!そうそう昨日のお兄ちゃんの勇姿がすごい勢いで広まってるんだよ!」
「それ私も見ましたっす。あり得ないくらいかっこよかったっすね〜」
....動画よ。君は一体どこまで進撃を続けるつもりなんだい?
そろそろ止まってくれ....
俺は頭を掻きながら教室のドアを開ける。
「よっ、どこ行ってたんだよ仁。昼飯食おうぜ」
すると目の前には俺より頭一つ分ほど身長の高い男がいた。
聖也だ。
「あぁごめんね?ちょっと福岡先生に呼び出されちゃって」
「呼び出しって...一体何やらかしたんだよ〜」
俺と聖也は喋りながらいつも昼食を一緒に食べる俺の席へと向かう。
「何もやってないよ。ただ、ね...」
「どうした?煮え切らないな」
「んー、実はね....」
席に着き、俺は取材のことや昨日の動画が拡散されている事などについて話した。
「...ってことなんだ」
「...うぇえーマジかよ。確かに昨日は活躍したみたいなことを小耳にはさんだけどよ。取材に動画拡散か....。これから大変になるんじゃねぇか?世間の仁の認知度が一気に高くなるぞ?むしろその容姿で今までそんなに高くなかったことの方が俺は驚きだったけどな」
「そうだよねぇ...」
有名になってしまうのもこの容姿で生まれ変わった俺の宿命かな...
そんな話を昼休みに聖也とし、その後の授業を終えた俺は部活へ行く準備をしていた。
あ、そういえば莉央ちゃんのところにも俺の動画って回ってるのかな?
朝から色々あってまだ今日は喋れてなかったからなあ。
俺は唐突にそんなことを思い、莉央ちゃんの元へ向かう。幸い莉央ちゃんもまだ部活へは行ってなかったみたいだ。というより、座りながらこっちをチラチラ見てる。
莉央も俺と喋りたかったのかな。だとしたら嬉しいな。
「莉央ちゃん」
「こんにちは仁くん!えへへやっと喋れます」
嬉しそうにはにかむ莉央ちゃん。う〜ん守りたい、この笑顔。
「ごめんね?朝からごたごたしてて」
「いえ私は大丈夫です!ごたごたっていうのは、やっぱり動画のことですか?」
莉央ちゃんがやや声を控えめに聞いてくる。
「あー、やっぱり莉央ちゃんの所にもいってる?」
「もちろんですよ、今SNS上で話題なってますからね。あの動画の仁くん無茶苦茶かっこいいですし...。あ、もちろん普段もかっこいいですよ?仁くんは四六時中どんな時でも最高です...」
「あはは、照れるな。ありがと莉央ちゃん。莉央ちゃんもいつも可愛いよ?」
「はわわ!あ、ありがとうございます...」
俺がそう莉央ちゃんとプチイチャイチャしてると、
ジーーッと少し離れた席から美沙がこちらを見つめているのに気付いた。
「どうしたの?美沙」
とりあえず声をかけてみる。
「...はわっ!?い、いや何でもない!じゃ、じゃああたし部活行くから!また!」
美沙は、俺が声をかけた瞬間ビクっと肩を震わせ、いそいそと仕度を始めたかと思えば慌ただしく教室から出て行ってしまった。
うーん...昨日の大会終わったあたりから向こうから話しかけてくれないしこっちから話しかけてもあからさまに避けられてるんだよねえ。
「まったくもうみさみさちゃんは...」
莉央ちゃんは嘆息しながら美沙が出て行った方向を見つめながらそう言う。
「そ、そろそろ部活行こっか」
「そうですね。みさみさちゃんには私から言っておきます」
俺たちは美沙のことはひとまず置いておき、とりあえず部活に向かった。
部活の時も、専ら部員たちの話題は昨日の大会優勝のことや俺の動画の事であった。
その日の的中率はいつもよりも心なし低いような気がした。取材や動画のこと、美沙のことなど色々あったから少し精神状態が乱れていたのかもしれない。
そして俺は今1人で電車に揺られている。もちろん一般車両だ。少し空いているので痴姦はないだろう。残念ながら。
それにしても視線を感じるのはいつも通りなのだが、動画のことを思うと少し意味合いが違う視線のような気がしてくる。まあそんな事を気にしても仕方がないのでもう考えないようにするが。
あといつもは莉央ちゃんと美沙と3人で帰ることが多いのだが、今の美沙に俺と帰るというのも少し気の毒な気がするので、美沙には莉央ちゃんについてもらっている。だから、今日は俺1人というわけだ。
降りる駅に着き、俺は家に向かう。
ふぅ...と息を吐きながら、逢魔時と言われる少し薄暗い夕方の雲1つない空を見上げる。前世もそうだったが、俺はこういう1人の帰り道で空を見上げるのが好きだ。落ち着くのだ。夕方に空を見上げれば、オレンジ色の世界が俺に落ち着きと安寧をくれるような気がする。また夜の空を見上げれば、暗い世界に輝く星々がどうしようもなく圧倒的な存在に思えて、まるで足元が浮き上がっていくような不思議な感覚を感じられる。
昔から、何かあった時はこうして空を見上げるのがクセみたいなもんだ。
そうして俺がすっかり感傷に浸りながら帰路をとぼとぼ歩いていると、少し前に見覚えのあるちびっ子3人衆が。
相変わらずチョコチョコして可愛いな。
声をかけてみようか。
「心愛、愛菜ちゃん、ののちゃん」
背後にそーっと忍び寄り至近距離からいきなり声をかけてみた。
「「「にょあ!?」」」
3人衆は三者三様...ではなく三者一様に同じリアクションをしながらこちらに勢いよく振り向いた。
う〜ん良いリアクション。お兄ちゃんは誇らしいです。
「あっ!?お兄ちゃん!」
「はえ!?おひ、お久しぶりっす!」
「あわわ...こんばんは!ボクびっくりしたよ...」
上から順に、心愛、速水愛菜ちゃん、早乙女ののちゃんだ。
うーん相変わらずの、〜っす娘にアホ毛ボクっ娘だな。最高。
「こんばんは。3人とも今帰り?」
「そうだよっお兄ちゃんも?」
「うん僕も今帰りだよ」
「やった!お兄ちゃんと一緒に帰れる!」
心愛はガッツポーズをする。
「でも、愛菜ちゃんとののちゃんと帰ってたんじゃないの?僕がいると邪魔になっちゃうよ」
「愛菜ちゃんもののちゃんも別にお兄ちゃんいても大丈夫でしょ?ていうか、この前2人ともお兄ちゃんとまた会いたいって言ってたもんね〜?」
心愛がニヤニヤしながら2人にそう言う。
「ちょっ!?そう言うことは本人の前では言わないで欲しいっす!!」
「そ、そうだよ!心愛ちゃんのバカ!わぁあ...恥ずかしい...」
顔を真っ赤に染め叫ぶ2人。
かなり焦っているようだ。
俺は大丈夫だよ、寧ろ大歓迎だ。
「そうなんだ?ありがとう2人とも。そんな事を思ってくれててとても嬉しいよ」
必殺!普通の微笑み!
「「きゅう....」」
ふっ...他愛も無い。
「...むぅ」
そんなやり取りをしていると心愛が頬を膨らませてしまった。自分から話を振っておいてしょうがない奴だ。
「僕も心愛と帰れてとても嬉しいよ。さ、帰ろう?」
そう言いながら心愛の頭をなでなでしてあげる。
「ふへへ...よし、帰ろっ!」
我が妹ながらチョロすぎるぞ心愛よ。悪い男に引っかからないか将来が心配だ。
その後、4人で並び立ちながら雑談を交わしていると、おもむろにののちゃんがスマホを取り出した。
「あの、お兄さん」
「ん?どうしたの、ののちゃん」
「これなんですけど....」
そう言ってスマホの画面を見せてくる。
どうやら何かの動画のようだ。
.....動画か。
嫌な予感しかしないんだが?
『キィイイン!
ズパァンッ!!』
そこには、やはり俺。紛う事なき俺。もれなく俺。
「これ今話題なんですけど...お兄さんに似てたから心愛ちゃんに聞いたら、本人だって」
「あ!そうそう昨日のお兄ちゃんの勇姿がすごい勢いで広まってるんだよ!」
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