異世界に食事の文化が無かったので料理を作って成り上がる
6 うまい、もう一杯!(水道水)
クッキーを食べ終えた後、俺達はリーナの転移結晶を使って城下町へと戻る事にした。
「ちょっと待っててくださいね」
リーナが転移結晶を握って「起動」と一言呟いた瞬間、リーナを中心に半径2メートル程の魔法陣が展開された。
「すっげえ……すげえマジカルマジカルしてる」
「とりあえず荷物をこの上に。あ、半分私持ちます。なんなら全部持ちますよ」
「せめて半分くらい持たせてくれ」
多分魔術で身体能力跳ね上げたりできるんだろうけど、そこまでして貰うと、なんかこう……本当に申し訳ない。
そしてとりあえず二人で魔法陣の中にダンボールやクーラーボックスを運んで準備完了。
「さて、じゃあ飛びますよ」
「お、おう」
なんか凄く緊張する。だってこれから別の所にワープするんだ。
ナガシマスパー○ンドのジェットコースター(落下直前)位緊張するよね。
そして次の瞬間、魔法陣が眩い光を発した。
「うわッ!」
そして思わず瞑った目を開くと……目の前にはもう先程まで目に映っていた生い茂る木々はなくなっていて。
「本当に転移してる」
再び城下の街並みが視界に映っていた。
「その反応を見る限りだと、師匠の世界には魔術そのものがない感じなんですかね?」
「ああ。だから正直俺はお前が料理食って感じたのと同じぐらい驚いてるよ」
「なるほど……」
リーナはそう言った後、一拍明けてから言う。
「まあ別に転移結晶は魔術道具なので魔術が使えなくても使えるんですけど……もしよければ今度簡単な魔術でよければ教えますか?」
「え? いいのか!?」
思わずテンションが上がってくる。
俺の趣味は料理だ。料理が大好きだ! だけど別にそれに全てを掛けているような人間でもなければ、元々一時期異世界系ラノベに嵌っていた時期もある様な人だ。
普通にくっそ興味があります。教えてもらえたら第二の趣味にするレベルです!
「私あんまり教えるのうまくないですけど、師匠にならいいですよ」
「えーっと、受講料とかいくら払えばいい?」
「お金なんていいですよ。私はもうそれ以上の物を貰ってますから。あ、ところで料理教えてもらう受講料とかっていくら払えばいいですかね?」
「いやいらないから! 元々取る気無かったけどお前からはもう取れねえから!」
寧ろやはりお支払いしたい位。
まあ俺が料理教える。リーナに魔術を教わるでイーブンなのかもしれないけど、これ本当に釣り合ってるんですかね。趣味で料理やってる人がちょっと食材用意して料理教えるのと、戦乙女とか言われている10年に一人の魔術師に多大な負担まで負わせた上で魔術を教わる。本当に天秤は均等ですかね?
……でもまあとにかく。リーナがいらないって言ってるし、多分受け取ってくれないし、そもそも俺この世界のお金もってないし。
……俺はやれる事を全力でやるだけか。
改めてそう考えながら俺達はリーナの家へと向かった。
「着きました、此処が私の家です」
辿り着いたのはアパートだった。
うん、景観的には違和感のないデザインになっているけど、異世界にもアパートとかあったのね。
「どの部屋?」
「二階の一番奥の部屋です」
「……もう一頑張りだな」
そこそこ重い筈のダンボールを軽く運んでいく後ろを、クーラーボックスを持ちながらついていく。
そして部屋の前に辿り着き、鍵を開けて部屋の中に入るリーナの後に続く。
「おじゃまします」
そう言いながら入った部屋は、ぱっと見た感じ2LDK程の部屋だった。いや、Kはいらねえな。流し台はあるけどキッチンじゃねえか。素直に2LDです。俺んちより広いっす。
「……あ、荷物どこか適当な所に置いてください」
「おう」
リーナに促されて荷物を置き、一息付く。
「あ、お水でも飲みますか?」
「貰っていいか」
「ちょっと待っててください」
そう答えたリーナはコップに水道水を注ぎだす。
……というか流石に安心したけど水は普通に飲んでるんだな。確認取ってなかったけど、ちょっと水分までタブレットで摂取してるんじゃないか疑惑が俺の中にあったわけで少し安心した。
「どうぞ」
「どうも」
リーナから水の入ったコップを受け取る。
……さて、ここで気になってくるのは水の味だ。
日本だと最近になって不味い不味いと不評だった東京の水ですらそこそこ美味しい訳で、ミネラルウォータ程では無いにしても別に悪いイメージは沸かない。
だけど日本を離れれば水道水を飲料水として飲むなんて言語道断という国もあるわけで、果たして国外どころか世界が違うこの世界の水はどうなっているのだろうか。
……まあこうして出されているんだから飲料水ではあるんだろうけども。
とりあえず過度な期待は持たないようにして、水を飲み込んだ。
「……!?」
思わず衝撃が走った。
完結に感想を言うと旨かった。本当に旨かった。
それこそ衝撃が走るほどに。飲んだ瞬間この水うめえ! ってなるくらい。
「……どうしました?」
あまりの美味しさに固まっていたのかもしれない。リーナが顔を覗き込んでくる。
「……もしかしてあまり美味しく無かったですか?」
「いや、うまい。旨すぎるんだ」
……いや、ほんと。マジでうめえ。
えーうっそだろ。水ってこんなに旨かったんだ!
しゅげえええええええええええ!
「リーナ」
「は、はい!」
「もう一杯おかわりいいか?」
おかわり……まさかの水道水おかわり……ッ!
勿論本来これはあり得ない事……余程乾いていない限り……。
でも、だって仕方ない……美味しいんだもんッ……。
「そ、そんなにおいしいですか?」
「ああ、この世界の水最高に美味しい!」
「だったらもう一杯いきますか?」
が、しかし。
「いや、流石に三杯目はいいや」
流石にいらない……そこまで水分。
「しっかし余程環境いいんだろうな、こんだけ水が旨いってことは」
「特別いいですかね? 私には普通に見えますけど」
「少なくとも俺達の世界よりも環境問題とかは無さそうだ」
……ということは少し期待できる事があるな。
「もしかしたらこの世界の食材は俺の世界より質が良かったりするかもしれない」
「というと?」
「水の美味しさが特別作物に影響が出るかは分からねえけどよ、ここまで露骨に水が旨くなるような環境だと作物も良く育ってるんじゃないかなーって。まあ農業はよく知らないし憶測でしかないんだけども」
確かに品種改良を重ねた現代の食品と比べれば何か劣る点は多いかもしれないが、うまくは言えないけど違うベクトルで優れた点が沢山ありそうなイメージ。
まあ本当にただの憶測でしかないんだけれど。
「だったらその良い作物を無駄にしないように、はやく何か考えないといけないですね。タブレットにするのはやっぱり勿体ないです」
「あーいや、そんな急ぐ必要はねえよ」
さっき話してた食材を卸してもらう話を持ち出したリーナにそう言う。
だってそうだ。確かにそれは考えていかなければならない事だけれど、急ぐ事ではないんだ。
そりゃ何かしらを実行し始めたら資金的な意味でも早期決着させないとまずいけど、まだその前段階な今はもっとゆっくり事を進めてもいい。
「まずはお前が色々と基礎覚える所から始めねえと。その先はもう少し後でもいいだろ」
ゆっくりとリーナに料理……いや、食の事を教えてからでいい。
まずは最優先でそこからだ。
「まあ確かに言われてみればそうですね。まだ私が考えるような事じゃなかったかもしれません」
リーナは納得したようにそう言う。
「だったらまずは基礎的な事を覚えるのを頑張ります!」
「おう、頑張ろうぜ」
……さて、そうと決まれば早速始めるか。
俺がここに来たのはその為なんだし。
「じゃあまずは基礎的な事、始めるか」
「はい!」
こうしてリーナにとっての初めての料理と……俺にとっての初めての料理指導が幕を開けた。
「ちょっと待っててくださいね」
リーナが転移結晶を握って「起動」と一言呟いた瞬間、リーナを中心に半径2メートル程の魔法陣が展開された。
「すっげえ……すげえマジカルマジカルしてる」
「とりあえず荷物をこの上に。あ、半分私持ちます。なんなら全部持ちますよ」
「せめて半分くらい持たせてくれ」
多分魔術で身体能力跳ね上げたりできるんだろうけど、そこまでして貰うと、なんかこう……本当に申し訳ない。
そしてとりあえず二人で魔法陣の中にダンボールやクーラーボックスを運んで準備完了。
「さて、じゃあ飛びますよ」
「お、おう」
なんか凄く緊張する。だってこれから別の所にワープするんだ。
ナガシマスパー○ンドのジェットコースター(落下直前)位緊張するよね。
そして次の瞬間、魔法陣が眩い光を発した。
「うわッ!」
そして思わず瞑った目を開くと……目の前にはもう先程まで目に映っていた生い茂る木々はなくなっていて。
「本当に転移してる」
再び城下の街並みが視界に映っていた。
「その反応を見る限りだと、師匠の世界には魔術そのものがない感じなんですかね?」
「ああ。だから正直俺はお前が料理食って感じたのと同じぐらい驚いてるよ」
「なるほど……」
リーナはそう言った後、一拍明けてから言う。
「まあ別に転移結晶は魔術道具なので魔術が使えなくても使えるんですけど……もしよければ今度簡単な魔術でよければ教えますか?」
「え? いいのか!?」
思わずテンションが上がってくる。
俺の趣味は料理だ。料理が大好きだ! だけど別にそれに全てを掛けているような人間でもなければ、元々一時期異世界系ラノベに嵌っていた時期もある様な人だ。
普通にくっそ興味があります。教えてもらえたら第二の趣味にするレベルです!
「私あんまり教えるのうまくないですけど、師匠にならいいですよ」
「えーっと、受講料とかいくら払えばいい?」
「お金なんていいですよ。私はもうそれ以上の物を貰ってますから。あ、ところで料理教えてもらう受講料とかっていくら払えばいいですかね?」
「いやいらないから! 元々取る気無かったけどお前からはもう取れねえから!」
寧ろやはりお支払いしたい位。
まあ俺が料理教える。リーナに魔術を教わるでイーブンなのかもしれないけど、これ本当に釣り合ってるんですかね。趣味で料理やってる人がちょっと食材用意して料理教えるのと、戦乙女とか言われている10年に一人の魔術師に多大な負担まで負わせた上で魔術を教わる。本当に天秤は均等ですかね?
……でもまあとにかく。リーナがいらないって言ってるし、多分受け取ってくれないし、そもそも俺この世界のお金もってないし。
……俺はやれる事を全力でやるだけか。
改めてそう考えながら俺達はリーナの家へと向かった。
「着きました、此処が私の家です」
辿り着いたのはアパートだった。
うん、景観的には違和感のないデザインになっているけど、異世界にもアパートとかあったのね。
「どの部屋?」
「二階の一番奥の部屋です」
「……もう一頑張りだな」
そこそこ重い筈のダンボールを軽く運んでいく後ろを、クーラーボックスを持ちながらついていく。
そして部屋の前に辿り着き、鍵を開けて部屋の中に入るリーナの後に続く。
「おじゃまします」
そう言いながら入った部屋は、ぱっと見た感じ2LDK程の部屋だった。いや、Kはいらねえな。流し台はあるけどキッチンじゃねえか。素直に2LDです。俺んちより広いっす。
「……あ、荷物どこか適当な所に置いてください」
「おう」
リーナに促されて荷物を置き、一息付く。
「あ、お水でも飲みますか?」
「貰っていいか」
「ちょっと待っててください」
そう答えたリーナはコップに水道水を注ぎだす。
……というか流石に安心したけど水は普通に飲んでるんだな。確認取ってなかったけど、ちょっと水分までタブレットで摂取してるんじゃないか疑惑が俺の中にあったわけで少し安心した。
「どうぞ」
「どうも」
リーナから水の入ったコップを受け取る。
……さて、ここで気になってくるのは水の味だ。
日本だと最近になって不味い不味いと不評だった東京の水ですらそこそこ美味しい訳で、ミネラルウォータ程では無いにしても別に悪いイメージは沸かない。
だけど日本を離れれば水道水を飲料水として飲むなんて言語道断という国もあるわけで、果たして国外どころか世界が違うこの世界の水はどうなっているのだろうか。
……まあこうして出されているんだから飲料水ではあるんだろうけども。
とりあえず過度な期待は持たないようにして、水を飲み込んだ。
「……!?」
思わず衝撃が走った。
完結に感想を言うと旨かった。本当に旨かった。
それこそ衝撃が走るほどに。飲んだ瞬間この水うめえ! ってなるくらい。
「……どうしました?」
あまりの美味しさに固まっていたのかもしれない。リーナが顔を覗き込んでくる。
「……もしかしてあまり美味しく無かったですか?」
「いや、うまい。旨すぎるんだ」
……いや、ほんと。マジでうめえ。
えーうっそだろ。水ってこんなに旨かったんだ!
しゅげえええええええええええ!
「リーナ」
「は、はい!」
「もう一杯おかわりいいか?」
おかわり……まさかの水道水おかわり……ッ!
勿論本来これはあり得ない事……余程乾いていない限り……。
でも、だって仕方ない……美味しいんだもんッ……。
「そ、そんなにおいしいですか?」
「ああ、この世界の水最高に美味しい!」
「だったらもう一杯いきますか?」
が、しかし。
「いや、流石に三杯目はいいや」
流石にいらない……そこまで水分。
「しっかし余程環境いいんだろうな、こんだけ水が旨いってことは」
「特別いいですかね? 私には普通に見えますけど」
「少なくとも俺達の世界よりも環境問題とかは無さそうだ」
……ということは少し期待できる事があるな。
「もしかしたらこの世界の食材は俺の世界より質が良かったりするかもしれない」
「というと?」
「水の美味しさが特別作物に影響が出るかは分からねえけどよ、ここまで露骨に水が旨くなるような環境だと作物も良く育ってるんじゃないかなーって。まあ農業はよく知らないし憶測でしかないんだけども」
確かに品種改良を重ねた現代の食品と比べれば何か劣る点は多いかもしれないが、うまくは言えないけど違うベクトルで優れた点が沢山ありそうなイメージ。
まあ本当にただの憶測でしかないんだけれど。
「だったらその良い作物を無駄にしないように、はやく何か考えないといけないですね。タブレットにするのはやっぱり勿体ないです」
「あーいや、そんな急ぐ必要はねえよ」
さっき話してた食材を卸してもらう話を持ち出したリーナにそう言う。
だってそうだ。確かにそれは考えていかなければならない事だけれど、急ぐ事ではないんだ。
そりゃ何かしらを実行し始めたら資金的な意味でも早期決着させないとまずいけど、まだその前段階な今はもっとゆっくり事を進めてもいい。
「まずはお前が色々と基礎覚える所から始めねえと。その先はもう少し後でもいいだろ」
ゆっくりとリーナに料理……いや、食の事を教えてからでいい。
まずは最優先でそこからだ。
「まあ確かに言われてみればそうですね。まだ私が考えるような事じゃなかったかもしれません」
リーナは納得したようにそう言う。
「だったらまずは基礎的な事を覚えるのを頑張ります!」
「おう、頑張ろうぜ」
……さて、そうと決まれば早速始めるか。
俺がここに来たのはその為なんだし。
「じゃあまずは基礎的な事、始めるか」
「はい!」
こうしてリーナにとっての初めての料理と……俺にとっての初めての料理指導が幕を開けた。
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