クラス転移キターっと思ったらクラス転生だったし転生を繰り返していたのでステータスがチートだった

名無しシャン

第64話「王城」

 家の中に入ると、様々な音や声が聞こえてくる。
 音のする方へと向かっていくと、リアとレナさんが厨房で料理していたり、母さんとセラさんが静かに談笑していたり、シャルルにお姉ちゃんと呼ばせて喜んでいる姉さんがいたりと、賑やかな光景が広がっていた。おそらく、俺と親父が外に出ている間に軽い自己紹介を済ませたのだろう。

「ルル、セリア、シャルル。もうすぐ飯だから、席座れよ」

 レナさんが出来上がった料理を皿に盛り付けながら、俺たちに席に座るように促す。
 シャルルは姉さんにいつの間にか抱えられ、席に座っている。リアを連れて帰って来た時もあんな感じだったと思う。抱えられたシャルルは抜けようと軽く抵抗するも、無駄に終わる。やがて抵抗はなくなり、シャルルは抜けようするのを諦める。
 その間にリアは、テキパキと作られた料理机に運んでいる。運ばれて来る料理はどれもこれもが、いつもより豪勢な気がするし、出てくる品数も数品多い。

「エミーがな、ルルが帰ってくる気配がする〜って張り切って買い物に行って、買いすぎたからな。まぁ、1人増えたことだしな」

 レナさんが心の中を覗いたような事を言ってくる。

「で、ルルの踏破祝いとシャルルの歓迎会的なのも一緒にやろうって事になってな」
「そうだったんだ」

 俺たちが席に座り、親父が最後に座り全員が揃うと少し豪勢な夕食が始まった。
 わいわいガヤガヤと賑やかに進み、ある程度料理がなくなってきた頃、親父が一つの封書を渡してくる。

「明日、城で渡すように。出すタイミングは向こうが教える筈だ」
「わかった」

 その後、風呂に入りさっさと出てくる。そして、さっさとベッドに横になるが、いつも通り人が入ってくる。いつもは2人だが、どうやら今日は.....今日から1人多いみたいだ。絶対に姉さんの入れ知恵だろう。まぁいい、いつもより暑いがさほど変わらない。これで寝れなくなるほどヤワではない。

 朝、時間にしたら6時頃。目が覚め、俺は周りで寝ている3人を起こさないようにしながら、ベッドを抜け出し、服を着替える。親父から城には私服でいいと言われている。体を動かすことになるのだとか。
 食卓に向かうと、レナさんが朝食を用意していてくれていたので、それを食べる。
 朝7時頃、家を出た。母さんとセリアさんはまだ寝ていると、レナさんが教えてくれた。なので、レナさんに「いってきます」と伝え、この前と同じように王国へと向かう。


 前回のようなイベントは起こらず、9時には王国へとたどり着いていた。城を中心にするように王国は形成されている。なので中心へと向かえば、城には普通にたどり着くことが可能なのである。
 城に着くと観音開きであろう金属製の巨大な格子の扉、おそらく門であろう。
 その門の前に立つと、自分の2〜3倍はありそうな事がわかる。

「ここに何の用だ。王の城である事は子供でもわかるだろう。用がないのであればさっさと去れ」

 門の内側から、警備兵であろう男がこちらに声を掛けてくる。

「呼ばれたので来ました。確認を取って貰えば分かると思います」
「そうか、名前は?」
「ルルシア・レビュートです」
「そうか、レビュートか。今開けるから通っていいぞ」
「えっ、そんなあっさり通していいんですか?」
「レビュートを名乗る奴なんて、本物か死にたい奴ぐらいだ。そもそも、ここにレビュート名乗って入ろうとする馬鹿はいない。最強の下っ端がいるからな」
「そうですか」

 話していると、門は重そうな音をさせながら内側に開いていく。

「城に入ってずっと直進していれば、豪華な扉がある。そこに誰かしらいるだろうから、そこからはそいつに聞けばいい」
「わかりました。ありがとうございます」

 教えられた通り中に入り、直進していると廊下の突き当たりに豪華な扉がある。そして、こちらが来るのを待っている様に佇む1人の男性がいた。
 男性は60代前半ぐらいに見えるが衰えは見えず、歳には不相応の引き締まった筋肉が、執事服に似た服の僅かな隙間や服越しに伺える。
 男性は一礼してから話し掛けてくる。

「国王陛下との対面していただきます。一応、刃物などを持っているのであれば、預からせていただきます。お持ちでしょうか」
「特には」
「わかりました。封書はお持ちでしょうか」

 昨日、親父から渡されたものを渡す。
 男性は中をさらっと確かめると、扉を開けて中に入る様に促す。
 促されるまま中に入ると、これまた扉が霞む程の豪華な空間が広がっていた。
 天井からは大きなシャンデリアが4つ、壁は白が基調で汚れはなく、床には部屋の奥へと向かって引かれたら赤く長い絨毯、絨毯の先には無装飾だが人の目を集める存在感のある椅子があり、その椅子には40〜50歳ぐらいであろう男、国王が座っている。
 また、絨毯の左右には兵や貴族、メイドや執事がおり、そのほぼ全員が開いた扉から入ってきた俺の方へ視線を向ける。

 何をすればいいかわからないが、頭を下げたら良さそうなので頭を下げようとする。

「頭を下げなくても良い。変な言葉遊びは面倒だから、本題から入る。未踏のダンジョン、それも報告によれば難易度がおかしいダンジョンの初踏破、おめでとう」
「ありがとうございます」
「何か褒美を与える。何を望む」
「望むもの、、ですか」
「なんでもは無理だが、ある程度は融通を効かせよう」
「.....では、通っている学院に『そこに通っている生徒のルルシアは課題をこなした』と伝えていただけますか」

 国王は俺が望みを伝えると「一瞬何言ってるんだ、こいつ」みたいな表情をしたが、直ぐに意味を察したのか、笑いを堪えながら答える。

「わかった、そのように伝えよう。しかし、夏休みの課題にダンジョン攻略を選んだというのか」
「はい。ついでに強くなってこいと父に言われまして」
「そうかそうか、課題にダンジョン攻略か」
「手頃なものが探して見つからなかったもので」
「ダンジョンが手頃なものとはぶっ飛んでいるが、まぁいい、家が家だからな。さて、こちらの要件は終わった事だし、次はそちらの要件を済ませようか」
「こちらの要件、ですか」
「聞いていないのか?封書の中身だが」
「聞いてませんね」
「そうか。スザキア、お前の友人からの頼みだ。手合わせの相手をせよ」

 国王が呼ぶと、昨日家に来た男が左側から出てくる。

「ハゾメの頼みなら仕方ないか。場所を変えようか。ここじゃ、お前を相手するには狭い」

 そう言いつつスザキアと呼ばれた男は、国王に一礼だけすると出俺が入ってきた扉からて行く。

「ついて行くがいい。私は観戦の出来る場所にいるからな」

 そう言い、国王はまた椅子から立ち上がり、右えと歩いて行く。そちらにも扉があり、その扉から出て行く。
 どうやら、今から1戦やる事になるらしい。

コメント

  • ペンギン

    待ってましたー!ありがとうございます!
    これからも、頑張ってください!応援しています!

    0
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