クラウンクレイド

さたけまさたけ/茶竹抹茶竹

『あとがき withツチメイロウ』


表紙絵を描いてくれた「ツチメイロウ」さんと作品についてお喋りをしました。


―――【対談 茶竹抹茶竹&ツチメイロウ】―――


茶竹(以下【茶】)『今回は表紙絵を描いて頂いたツチメイロウさんをお招きしまして、この作品についてお喋りしていこうかなと思います』
ツチメイロウ(以下【土】)「よろしくお願いします」
茶『というわけで、こんばんは』
土「こんばんはです」
茶『最終話まで迎えたので、ぼく的には色々思う所ばっかりなんですけど。ツチメイロウさん的には如何でしたでしょうか』
土「まずは最終話、完結ということでおつかれさまです。思う所が色々あるとのことですが、僕は読者の方が色々思ってるんじゃないかとおもいますね……」
茶『みんな納得のハッピーエンドだったのでは……?』
土「それはないんじゃないですかね(真顔)。 おおざっぱな感想をいえば、茶竹さんが好きなように描いたんだなぁとは思います」
茶『最初は小説家になろうでウケる話を書こう、と思って考えてたのがこんな形になってしまってましたね……。チート能力で俺TUEEEを書かなきゃと思って、じゃあ敵を何にしようって考えてたんですよね。そこでゾンビをふと思い付いて、ゾンビを薙ぎ倒していくなら面白いんじゃないかなーと思って。ファンタジーとしてのアンデッドモンスターじゃなく、リアルな世界でゾンビを魔法を倒すっていう作品を聞いた事無かったし良いアイディアだと思いまして。そこまでは良かったんですけど、ストーリー作っていく段階で段々と……。ツチメイロウさん的には、このストーリーをどういう風に感じたのか気になります』
土「ゾンビを魔法で倒すというアイディア、僕は面白いとおもいますね。僕は前作【魔法少女は虚無に生きるか】からさたけさんの小説を読んでいて、次はどんな風に変えてくるのかとわくわくしたものです。当時は」
茶『「当時」は』
土「そこから『もうやめてあげてくれ……』と思うようになりましたね」
茶『(笑)』


―――【魔女にはその力に暗示という制約が掛かっているし、それを解除する為の鍵を受け取ってるんです】―――


土「そういえばこれを読んでいる人が勘違いしそうなので言っておくと、僕は表紙の段階ではプロットしか見てなくて大体の流れしか聞いていなかったです。僕には凄惨なストーリーについての責任はありません」
茶『全部ぼくがやりました』
土「よろしい。で、その当時のプロットと実際の本編を見比べると、主人公達がかなり精神的に参る展開が多かったようにおもいます。『何を食べたらそんなの思いつくんだ……』みたいな」
茶『人肉かなー(笑)。展開として、ショッキングな話をどんどん出していこうと思ってたんですよ。ほら、ゾンビって映像だと怖いけど文章だと別に怖くないんですよね。ゾンビってやっぱり絵面的なインパクトが大事ですから。ホラーとして文章で書いても映像には勝てないので、出来るだけ話の展開や設定、グロテスクな描写とかで読者を驚かせていこうかなぁと。ただ、精神的に来る展開はぼくの趣味の部分が大きいかな……。』
土「ショッキングな映像に負けない表現をしないといけない、というのは連載開始前から気にされてましたね」
茶『そうなんですよ。それと、悲惨な展開の中でも、それでも進む主人公っていうのを描きたかったんです。あんな状況だからこそ常識のタガが外れていく姿も描きたかったし。本作のテーマとしてもそこらへんは絡んでくる要素かな、って』
土「さたけさんが気にされていた読者を驚かせることには、成功したんじゃないでしょうか。僕自身、一読者としてはここまでやるのかよと引いていたくらいなので」
茶『読者を殺しに行かなきゃと思って……』
土「ほんと(読者とキャラ)殺すの好きだな……こわっ。茶竹さんのスパルタに、祷ちゃんがかなり頑張っていたように思います。本作のテーマと絡むとのことですけど……」
茶『えーっとですね、気を遣ってる部分というか、大事な設定があって。悲劇的な状況の原因が主要人物の行動に依るものにならないようにしてます。なんていうかな、祷ちゃんとかが何かミスをしたから誰かが死んだ。みたいな事にはならないようにしてます。例えば、矢野ちゃんが死んだ時とか、葉山君達のグループが壊滅した時とか、祷ちゃんがその最たる原因を創っているわけではないんですよ』
土「たしかに祷ちゃんは周りで起こっていることに翻弄されている感じを強く受けますね。祷ちゃん自身のやりたいことははっきりしているけど、それを邪魔してくるような運命の意図を感じます」
茶『祷ちゃんの行動指針は「明瀬ちゃんLOVE、他はどうでも良い」ですからね、分かりやすいし覚悟も決まってる。でも上手くいかない。このクラウンクレイドという話の根底にあるのが震災の話なんですよ』
土「それは、人が干渉できない事象に対してどう抗うかみたい感じですか?」
茶『それプラス、生き残った人間はどうすべきか、って言う話ですね。3.11の後の世間の反応に、ぼく的にはすごい違和感があって、それについて書きたいな、っていうのがテーマとしてあってこういう話に膨らんでいったんですよ。この作品のゾンビって天災扱いなんですよね。突然現れて、人を殺して。その原因は分からないまま(今の時点では)。 ゾンビの対策は考えるけど、みんなの思惑とは全く関係なく表れて壊していく。じゃあ、そんな世界を前にして、人はどうすうべきかっていうのが話の根底です。それは度々作中で、祷ちゃんに対して諭すという形で語られているんですけど、樹村氏とか、加賀野恭子とか、あと三奈瀬優子とかね。みんなメッセージが共通してるんです。自分の為に好きに生きろ、ってことなんですよ』
土「人が関与できない事象に対して、人間はどうすべきなのだろうか。という事だったんですね。にしても、心を折りにくるシーンが多かったような? 一読者としては、作者という神の鉄槌で死んで欲しいという意図しか感じ取れなかったのは感性の乏しさのせいですかね……」
茶『刺激的な話を書かないとみんな飽きちゃうから……。言うなれば、読者が殺したといっても過言ではない』
土「過言だと思います」
茶『(笑) まぁそんな絶望的な状況でも、祷ちゃんは強く生きているって事で……。震災の話に戻るんですけど、震災後、被災者を語るときに全て美談に仕立ててしまおうというメディアのあり方にぼくは違和感があったんです。「人それぞれの人生に他人が意味を付け加える必要なんてないし、生きている事とか生き残ってた事に無理に意味を見出す必要なんてない。だから、君は君の為に生きろ」って何度も祷ちゃんは言われるのはそういう意図でもあります。だから、魔女にはその力に暗示という制約が掛かっているし、それを解除する為の鍵を受け取ってるんです』


―――【本当はもっとガッツリえっちなシーンを入れたかった】―――


土「自分の道について諭してくるキャラクターを多く配置しているようですが、祷ちゃんはどのようなキャラクターにしたいと考えましたか」
茶『祷ちゃんは作品のテーマを体現していくキャラなので、やっぱり自分の目的の為に生きていこうというキャラにしました。明瀬ちゃんさえいれば良い、っていう感じに。テーマにそぐわないキャラだって別に構わないよ、ってことで弘人君をもう一人の主人公にしました』
土「祷ちゃんは、かなり冷たいキャラクターになるよう意識しているようにおもいますが」
茶『祷ちゃんは別に冷たいキャラじゃないですよ』
土「???」
茶『いや、冷たいわ』
土「1人でなんとかしよう。他を見捨てても良い。とか、一匹狼のような感じかなぁと思ってました。ダブル主人公である弘人とは正反対のような気がします。ついでに言うと、茶竹さんの作品の主人公って、基本全部冷たくて他人に興味がないことが多いなって思ってますけど!?」
茶『祷ちゃんは冷たいというよりも不器用というか、逆に器用すぎるというか。明瀬ちゃんとそれ以外で割り切りが良すぎるんですよね。あと、あんまり他人を信用してないので、行動にも一匹狼感が。でも根は良い子なんです』
土「明瀬ちゃん中心すぎて周りが見えてない、見ていない感じなんですね。杖が折れて明瀬ちゃんがピンチの時にも、自分がなんとかしなきゃとなっていましたし」
茶『世界を敵に回しても良い、って感じの百合がぼくが大好きなので……』
土「百合は入れたいって言ってましたもんね。前作の【魔法少女は虚無に生きるか】よりは百合要素が入ったのかなぁとおもいます。あの明瀬ちゃんとの朝チュンなども含めて主人公は思ったように動いてくれた感じですか?」
茶『イチャイチャした百合を入れたかったわけではないので、話の根底にはなりつつ要素は控えめにしました。祷ちゃんはあれだけ明瀬ちゃんに入れ込んでるのに、故に明瀬ちゃんに一歩踏み込めてなかったんですよ。だから、恭子さんに背中を押されて遂に、って感じなので、上手い事やったという事になるんじゃないですかね。あと、本当はもっとガッツリえっちなシーンを入れたかったのですが、R18じゃなくてR15なので泣く泣くカットしました』
土「そういえばたしかに15でしたね(笑)。百合っくすのところは本当に楽しそうにしてましたから、R18ならどんなことになっていたのやら。お互いを思って踏み込めない百合の尊さはわかりますけど、その過程でのゾンビがショッキングすぎて目立ってなかった印象が……。その点で恭子さんは良い仕事したのかなとおもいます」


―――【この路線でそのままハッピーエンドにしてくれ】―――


土「祷ちゃんと桜ちゃんは同じ魔女ということで親近感がわくのかなと思っていたのですが、思ったほど仲良くなれなかったなぁと。僕は炎と雷とのコンビネーション技でアダプターをねじ伏せてほしかったりしましたね」
茶『二人はビジネスパートナー的な感じですかね……。ただ桜の方は祷を理解していたし、祷の方も信用はしている位の間柄でしょうか。時間も足りなかったし、いろいろ互いに抱え込みすぎてたので』
土「ビジネスパートナーだとしっくりきます。お互いの実力は認め合っていたように思いますし」
茶『魔法のコンビネーション技は正直やりたかったですね。明瀬ちゃんとのコンビネーション技「遠隔放火魔」しか出来なかった』
土「名前はともかく、最後の明瀬ちゃんとのコンビネーション技はよかったなぁと思います。自分だけでなんとかしようとしていた祷ちゃんに、新たな道を与えた明瀬ちゃんはやっぱ明瀬ちゃんだなぁと思います。」
茶『明瀬ちゃん、メインヒロインですから。変な趣味ですけど、賢くてかわいい。』
土「ゾンビオタクって設定でしたけど、最後の方オタク感が出てなかったような? 容姿端麗知識人キャラになってしまってたような気がします」
茶『メタな話をすると、序盤はゾンビの説明の為に既存のゾンビ作品について語る必要があって、後半はクラウンクレイドのゾンビについて考察しないといけなかったので。そもそも明瀬ちゃんのゾンビオタク設定って、2-1を書き出した時に急に作った設定なんですよね。1章で人間が破裂!のヒキから2章に繋ぐ時にゾンビの話出しとかないと、読者逃げちゃうかな、って。あと、今後ゾンビが出現する前フリにしたくて。そうやって考えた時に、ゾンビの動画を見ている友達がいたらどうかな、って』
土「この設定のおかげで序盤はかなりキャラ立ってたと思います。たしかに前振りがよかったですし。僕としては2-1で三人が女子女子した展開を読んで、『聞いてた話と違う!?』&『この路線でそのままハッピーエンドにしてくれ』って思いましたね。ダークな感じを聞いていだけに複雑な心境でした。なつかしい」
茶『まぁ、その三人のやり取りは全部前フリだったんですけど』
土「三人の中だとに明瀬ちゃんの人懐っこさは目立ちましたね。三人の中心が明瀬ちゃんでしたし、弘人の合流でも明瀬ちゃんがいたからうまくいってたように思います。それを思うと、ゾンビオタクキャラは、祷ちゃんと仲良くなるために意図的に作ってたキャラのようにも感じました」
茶『というと?』
土「祷ちゃんが壁をつくるキャラなので、仲良くなろうとした明瀬ちゃんが、近寄るために作ったキャラのようにも感じました。明瀬ちゃんが梨絵ちゃんと仲良くなる時に明るいキャラを演じていたので 祷ちゃんと仲良くなるためにも、親しみやすいようにしていたのかなぁと、昔を振り返るシーンあたりで思いました」
茶『あーなるほど。明瀬ちゃんが祷ちゃんを特別に扱っているというよりも、明瀬ちゃんは誰にでも親しみやすく接する事の出来る人なんですよ。明瀬ちゃんは梨絵ちゃんとのシーンとかでもうまい事立ち回ってたので、その対比として祷ちゃんがその後の話で梨絵ちゃん相手に苦戦してますね』
土「たしかに祷ちゃんと明瀬ちゃんとでの対比が二人の性格が見えるところだと思いました。ただ気になったのは、明瀬ちゃんと弘人くんと話した時に「梨絵ちゃんと話すときには元気に振舞わないといけない」という無理をして、人気者キャラになっているように感じました」
茶『どっちかというと、梨絵ちゃんを不安がらせない様に頑張ってる明瀬ちゃんの台詞のつもりで書いたので根っこは無理してるとか、無いですよ。大丈夫です。無理してるのは祷ちゃんと桜だけですね』


――『某ゾンビゲームのオマージュですね』


茶『明瀬ちゃんと言えば、魔女になる展開は結構読めない部分だったと思うんですけどどうでした』
土「正直、魔法を使えるようになれるとは思っていませんでした。むしろ、最後のボスが明瀬ちゃんになって「この作者ふざけんな」みたいなコメントの嵐になると思ってました。
茶『それやると祷ちゃんに殺されちゃう……!』
土「いまさらな気もしません?」
茶『心当たりしかないですね。ラスボスといえば、プロットのタイミングで強いゾンビがボスみたいなことを言っていたような気がしましたけど……?』
茶『それがあれです、弘人くん茶『IDEのアダプターになっちゃう展開。魔女対魔女はやりたかったので、祷ちゃんは最後は人間相手にしました』
土「でもヘリコプターの辺りで他の魔女はでてくるのかなぁとは思いましたね。集めているようなことを言った割には出てこなかったような気もしましたけど。他の魔女が
茶『それはね、みんなね、血清の材料になっちゃったからだよ』
土「この作者は・・・」
茶『弘人の拾った手帳でそんなことが匂わせています。ラスボスが大きい人型のやつっていうのは、某ゾンビゲームのオマージュですね。あとはウィル・スミス主演の某映画とか、なんとかぐらしな某ゾンビアニメとかもオマージュを入れてます。みんなの名前とかもオマージュ入ってますね』
土「ゾンビゲームはやったことないのでわからないですけど、一度ゾンビを描いてくれと言われて某ゲームのタイなんとかラントは見ました。それがアダプターにそっくりだったような?」
茶『めっちゃパロってます……』
土「ゾンビ映画とかも見ておくと楽しめるようになっていたんですね」
茶『もし気が付いたらコメントに書いてもらえると作者が喜びますね』
土「がっこうなんとかぐらしの方はちょっと気が付かなかったですね。わかる人いたんでしょうか。」
茶『気付く人はすぐ気づける位露骨かなぁ。此処では言わないのでなんとかぐらしのWIKIと睨めっこしめてみてください』
土「わかった人は教えてください」


―――【殺すならこのタイミングしかねぇ! って思って】―――


土「ところで矢野ちゃんについてお聞きしてもよいですか?」
茶『え、構わないですけど、みんな矢野ちゃんの事覚えてます?』
土「さっくりやったせいで覚えてないなこの作者……。僕は結構衝撃的だったんで覚えていますね。作者の初犯みたいなところですし問い詰めておかないといけないかなって。」
茶『このタイミングしかねぇ! って思って。メタ的な話としては一章に一回、インパクトが欲しかったのであのタイミングかなって。……今回の座談会、ぼくの印象最悪になってない、これ。大丈夫かな』
土「大丈夫です。今が一番下なのであとはあがるだけですよ」
茶『あがる話題にしましょう』
土「あ……あがる? うーん。矢野ちゃんが序盤で死んでしまったことで、「人はゾンビによって簡単に死んでしまうんだ」という印象は与えられたのかなと思います。あと矢野ちゃんの死によって、祷ちゃんは冷たいだけではなく「自分がもっとうまく立ち回っていたらと」と悩む描写が、祷ちゃんが友達思いだと感じられました。……でも許されない、三人とも助かってもよかったよね?」
茶『許して……許して……みんなゾンビが悪い』
土「「ところで矢野ちゃんは「あのゾンビも魔法に関係してるとかじゃないよな」って言ってますけど、あれは……」
茶『あれは、その通りでもありミスリードでもありです台詞の意図としては、ゾンビを生み出す魔法がある、みたいなファンタジーものではないという世界観設定の暗示であり。実は魔女とゾンビは関係があったという後半の種明かしの為の前フリでもあります。魔法が出てくるけど何でも有りなファンタジーものとして捉えて欲しくなかったんですよね。ゾンビとかも誰かが操ってるんだろ、みたいに思われて作品に見切りをつけて欲しくなかったんです』
土「じゃあ、「お前は真実を知ってしまったな?」みたいな感じで消したとかではないんですね? 本当に快楽のために殺したんですね?」
茶『言い方が悪い。読者の皆さんをたのしませようとおもっての事です』


―――【祷ちゃんが進む道を示していて読者と表紙描く人には先がわからないってのを表しています。】―――


茶『ところで、表紙絵に関してですけども、とても力を入れて描いて頂きまして。有難う御座いました。作品の企画段階からお願いしたので、割とイメージしづらい、絵にしづらい部分も多かったと思うんですけど
どうでした?』
土「死ぬかと思いました」
茶『結構時間なかったですもんね』
土「依頼されてから、作業時間が約1か月しかなかったですからね」
茶『ちなみに、下書きアナログですよね? あれ、違う?』
土「下書きというか、案のメモの段階がアナログですね。表紙のイメージを思いついたときに、いち早く書き出せるのがアナログだったってだけですけど」


<a href="//17890.mitemin.net/i268110/" target="_blank"><img src="//17890.mitemin.net/userpageimage/viewimagebig/icode/i268110/" alt="挿絵(By みてみん)" border="0"></a>

茶『ラフはもうデジタルになるんですかね、アイディア固まった後の』
土「方向性にOKをもらった後はデジタルで描き始めましたね。ちなみにお絵かきソフトはFirealpaca使っています。無料のソフトの中で有名ですね。動作が軽いので僕は使いやすいです。レイヤー数が少ない時は」
茶『なんか含みのある言い方だ』
土「そこから表紙の完成像のすりあわせや作業の工数からどれだけ作業時間を取らないといけないかなど考えたりするのは苦労しました。表紙を担当するのが初めてだったのもあり、やってみて「こんなに大変なんだ」と思いました」
茶『ぼくの語彙力が無さすぎて説明もひどかったですしね』
土「語彙力もそうですけど。渡されたラフ画ありましたよね?」
茶『???』
土「こんな感じでお願いしますっていうイメージラフです」
茶『???』
土「しらばっくれようとしても無駄だぞ。これだよ」
茶『あー、ありましたね』
土「この時の仕様はビルが並んでいて、「真ん中」に魔法少女が立っていて、手前にフェンスがあるとお聞きしたんですけどね!?」
茶『いやまぁ、限界を越えてきて欲しかったな、って』
土「途中の仕様変更が何度かあって大変苦労致しました」
茶『なんかこう、しっくりこなくて』
土「希望通りに描いたら没くらうし…おかしくない!???」
茶『お前ならもっと出来る、って思って。とても素敵なイラストが上がってきて、とても良かったと思います』
土「こんな血反吐を吐きながら描いたのは初めてだよ…」
茶『強く生きてほしい。結構イメージとかについてはお任せしたんですけど、どの辺が大変でした?』
土「まず主人公の女の子の姿がまったくイメージできてなかったのが大変でした。「魔法少女であること、一人で闘わないといけないこと、苦難を乗り越えないといけないこと、あとゾンビと闘うこと」という情報からなんとかイメージを膨らませていきましたね。僕としては、表紙は主人公の祷がどのような女の子なのか、その子がどのように生きていくかを入れ込みたかったんですよ。それが完成後、うまくいっているのかわからない状態だったのを覚えています」
茶『作者もイマイチ分かってな……、いや、すごいイメージ通りですね。実際の所、中盤以降の展開を全て語ってしまうのは……って懸念があったので、あやふやな感じだったのは申し訳ない』
土「表紙を描きだす段階で、渡されたのが12話までのプロットまででした。内容もプロットなのでかなり淡々としていて、誰とどのように関わるのかが不明でしたね...」
茶『こっちも全然かけてなかったですからね』
土「ということで、自分の受けた印象を表紙へ落とし込む作業に切り替えていきました。まず、「主人公の祷ちゃんは炎の魔法を扱うことができる」ということと、「魔法があれば世界を救えると思った」という当初のキャッチコピーから考えて主人公の祷ちゃんはヒーローになりえたけど、ゾンビは思った以上に強いという展開になると考えました。魔法の行使は、強い炎、もしくは強い自分のイメージが必要なのだと考えて、
太陽、もしくは太陽の光を見つめる姿を入れることにしました。で、その太陽が危うくなるという展開を「暗い雲に覆われている」、「日は沈んでしまう」という暗喩を入れてみました。」
茶『なるほど。結構空の色が印象的ですよね』
土「次に、祷ちゃんの魔法には「帽子、マント、杖」が必要と聞きました。その持ち方をちょっとだけこだわっていて、祷にとって魔法は、「生きていくための術」となるはずなので体を支えるようにして杖を持っています。マントは炎から身を守るために必要だそうなので、肩に手を置いて身を案じています。」
茶『魔法の杖というよりも、杖そのものを強調している感じがする。杖に関しては詳しくイメージを聞かれた気がします』
土「杖は特に聞いた気がしますね。」
茶『凄い考えて描いてもらってるのを聞いて、改めて感謝と申し訳なさが……』
土「あと、目の前に見えている道ですけど、あれは祷ちゃんが進む道を示していて読者と表紙描く人には先がわからないってのを表しています。けど祷ちゃんには、自分がなにをするべきなのかがわかっているので、目の前に明確な道が存在するようになっています」
茶『構図としては正面に道がないけど、斜め奥を見ている祷ちゃんの視線の先には、斜め奥に道が走ってるってことですよね。作者も先が分かってない……。ぼくの方でざっくりとしたイメージで伝えてたので、全体的な色合いとかはどんな意図がありました?』
土「そうですね。その前にまずこの作品の最終話の方向性は、「ハッピーエンドなのか?」と聞きました」
茶『メリーバッドエンドかなぁって答えましたね。(「周囲からはバッドエンドに見えるが、当人たちにとってはハッピーエンド」であったり、逆に「周囲からはハッピーエンドに見えるが、当人たちにとってはバッドエンド」であったりするような物語の結末やジャンル、作劇手法。)byハテナキーワード』
土「それを聞いて、主人公の未来は明るいのものなのか、暗いものなのかかがわからないという印象を受けました。ただし、主人公の祷はゾンビという苦難を乗り越えないといけないことは明白でした。ですので、このゾンビのイメージを暗い何かの色として表紙に表現したいというのが僕の中にありました。で、その色を今回は紫と決めたので、表紙全体が暗い紫色になっています。ついでに、この紫色はゾンビを含めてトリプルミーイングなんですけどわかりますか?」
茶『えーっと、体表の色・・・・・・・? 皮膚がこう、ゾンビ顔色悪いから。違うか、個人的には魔法のミステリアスなイメージかなぁって思うんですけどね』
土「僕もたしかに魔法のイメージは紫ですね。今回は魔法使いを表しているのは帽子、マント、杖なので不正解としておきますね。僕が考えた2つ目は、前作の「魔法少女は虚無に生きるか(現在改稿中のため公開停止)」の表紙リスペクトです。さたけさんの過去の作品の中では、表紙を描き始める段階で唯一表紙がついている作品でした。そこから大きく逸脱しない、完成度を近づけるという考えがありました。3つ目は、僕のツチメイロウという名前に関係しています。どどめ色という色が存在していまして、それが濃い紫色なんですね。」
茶『ツチメイロウさんの名前の由来、どどめ色なんです?』
土「そうですね。僕の名前の由来の一つです。今回の表紙作成に合わせて「ツチメイロウ」という名前を考えたので、表紙に入れられたらと思っていました」
茶『表紙絵上がってきたの見て、結構イメージには近いかなって思ってて。ゾンビものって伝えた時にかなり悩んでいたんですけど、ゾンビものっていう枠に囚われない絵が上がってきたので、個人的にはすごい良かったかなぁと。あと作品のビジュアル的な部分は漠然としたイメージしかもってなかったので、表紙絵を見てから杖とかの描写を本文に落とし込んでいったので、割とその辺を作ったのはツチメイロウさんの功績ではあるかな、と思います。プロットでは、「なんか魔女の杖とか持ってる」しか書いてなかったのでやり取りしている内に、イメージが固まって執筆に入った部分はありますね』
土「けっこうざっくりで振りますよね…」
茶『さっきあった、杖の話とか太陽云々の話とか、そこまで色々イメージを膨らませてもらったおかげで読者の方に伝わるイメージもより印象的になったのではないかなぁと思います。そういった部分は中々言語化出来ないから表紙を入れて良かったかなと』


―――【決して投げっぱなしでも打ち切りでもないので安心してください】―――


茶『ところで、クラウンクレイドはこれで終わりじゃないんですよ。続編と言うか次回作に続くんですけど』
土「そうなんですか?!」
茶『最後の一文で「は?」ってなったと思うので。「は? 作者何言ってんの? は?」って』
土「まぁたしかにTo be continued.で「は?」ってなりましたよねみなさん。」
茶『そこは嬉しい悲鳴でしょ。そこじゃなくて、もう一個前の文ですね』
土「正直に言ってしまえば、たしかに謎の文章ですよね。これまでゾンビ化に関係する物事は、ウィルスによるものと統一してきたのに、文面がまるでプログラムのようでしたよね?」
茶『ねー、なんだろうねー(棒)』
土「振っておいて何も公開しないなこの作者・・・」
茶『というわけで、次回作の予告を此処でちょっとだけね?出そうかなと』


「あの日、みんな死んでいった事が、アキセちゃんが泣いた事が。全部嘘だったって、そう言いたいんですか。そんな風に言い切れるんですか!」
 私が目を覚ましたのは、何かの研究施設らしき場所。其処には大量のゾンビと、そして、ショットガンを持った少女「レベッカ」が居た。ゾンビによって崩壊した世界は、見覚えのない街並みばかりで。困惑する私に突き付けられたのは、この時代が西暦2080年であるという事実だった。
 あの日パンデミックが起きたワケ。あの言葉の真のイミ。魔女と魔法が意味するモノ。ゾンビが世界に生まれたリユウ。
 全ての謎を解き明かす、クラウンクレイド完結編。
【クラウンクレイド零和ゼロサム
近日連載開始。


茶『これが本邦初公開です』
土「え??????意味わからないんですけど、ただわかるのは。次もやばそう」
茶『読者もっと殺しに行こうと思います』
土「読者は大切にした方がいいと思います」
茶『正直、ラスト含めて。次回作についてもどんな反応されるのかすごい怖い。クラウンクレイドのラストもかなり冒険したので怖い』
土「なんだろう、意味わからんすぎるので色々聞いても良いですか? まず、この予告の「私」って僕たちが応援してきたあの祷ちゃんであってますか?」
茶『そうですね。とにかく名前は「祷」です』
土「え?とにかくってなんですか?」
茶『舞台が2019年頃から2080年にとんでるので、主人公がどういう状態になってるかは分かりませんが、祷ちゃんが主人公なのは間違いないです。ちなみにクラウンクレイドのときでは高校二年生です』
土「ということは、普通に生き続けていたら零和では78歳ということになりますけど・・・」
茶『零和でも祷りちゃんは可愛いままです。そこは安心してください。78歳にはなってないよ』
土「ってことはJKの姿で主人公と思ってよいんですか・・・」
茶『JKです』
土「なるほど。老婆の魔女が世界を救う話なのかと思いましたがそうではないんですね。次に祷ちゃんが「(クラウンクレイドのことは)全部嘘」だったのか?って言ってますが
茶『どういう事なんでしょうねぇ』
土「これは、「ゾンビによるパンデミックは現実に起こらなかった」という風に取れますが、ゾンビはいるんですよね?」
茶『ゾンビはいます。クラウンクレイド内で語られていた事が実は嘘があって、それに対して祷ちゃんが憤慨します』
土「というかまずこの零和では、祷ちゃんは魔法が使えるんですか?」
茶『魔法は当然登場しますね。魔女とゾンビという構図はそのままに2080年を舞台に移して新しい話が展開します。クラウンクレイド内で明かされなかった真実や、あの人の意味深なセリフや、辻褄が会わなかった部分とか全ての真相がこの零和で解決する予定です。この設定でなければならなかったと、読んで納得してもらえる話になると自信はあります』
土「まぁ投げっぱなしなところがありますし、落とし前はつけてほしいですよね。」
茶『そう、全部すっきり解決させますんで。決して投げっぱなしでも打ち切りでもないので安心してください』
土「さらっと零和って使っちゃってますけど、そもそも零和ってなんですか?」
茶『ゼロサムと読みます。ゼロサムゲームのゼロサムです。意味はほら、読んだら分かるので内緒で。』
土「あと解決編は、別ける必要がそもそもあったんですか?」
茶『解決編と銘打っていますが、作品自体はクラウンクレイドの続きとして書いていきますので、【このページの続きから】読むことが出来ます。分けた理由はですねー、全く違う話になるのと、クラウンクレイドとしての物語はここで一回終わるからですね。読めば納得する程度には、ガラッと話が変わってますので分けました』
土「「読んでからのお楽しみ」というわけですね。憎いですね~(真顔)」
茶『みんなを笑顔にしたい……』
土「じゃあ予想ですけど、眼を覚ましたと言っているのでなんらかの要因によって長期睡眠状態になった。それは「(MP切れになった)魔女もゾンビのように長期睡眠状態になる」からではないですか。で、祷ちゃんが目覚めたら2080年だった。」
茶『なるほど』
土「どうですか」
茶『んー、ノーコメントで! 一筋縄ではいかないと思ってもらえれば』
土「あ、違ってそう。じゃあ青色の狸型ロボットのもつ便利グッズを使って、未来から解決策を教えてもらいに行く感じですね」
茶『タイム風呂敷で矢野ちゃんを元気な頃に戻そう』
土「(無言)」
茶『と、というわけで。こんな感じでぼちぼち終わろうかと思います。お疲れさまでした』
土「お疲れ様でした。次回作もがんばってください。」
茶『まぁ、この後に零和の表紙絵の打ち合わせするんですけどね』
土「は?」
茶『地獄はこれからだ』



コメント

コメントを書く

「SF」の人気作品

書籍化作品