BioGraphyOnline

ツリー

第八十六章 一難去ってまた一難

無限に広がる大海原でプカプカ浮かぶ小型船
オクトリアでの用事を済ませたアズは船旅を満喫・・・してはいなかった

「オロロロロロロロ」

船旅で何度目かになるリバースをして船の上に大の字になる
無表情で青空を見上げていると視界の端のかぴかぴになったアルがキキッ!とこちらに飛び込んでくる
あれ?デジャヴを感じる?

「まさかもう着いたのか!?」

急ぎ船から起き上がり外を見る
そこには巨大なガレオン船、帆にはドクロのマークが描かれている
海賊・・・?ああ!ここって海賊の住処の近くじゃん!

どうやら向こうもこちらに気づいたようでいくつかの小型のパイレーツシップが飛び出してくる
やばいやばい!?ただでさえ慣れない船旅でグロッキーなのに戦闘なんてしてられるか!
急いで船のモーターに精霊を注ぎ込み加速させるが小型のパイレーツシップとの距離は全然広がらない

「どうやったらあの船であんな速度が出るんだよ!?」

急加速の波による揺れで更に吐き気が増す

「うっぷ・・・このままじゃ・・・」

追いつかれる・・・そう思いながら追手を確認するとパイレーツシップは反対方向に走り出していた
・・・?なんだ?
不思議な出来事に頭を傾げているとガタン!という音と共に船が揺れ
大きな揺れに背を押されるように海面に向かってリバースする

「オロロロロロロロ!!!」

どうやらどこかの大型船にぶつかってしまったらしい
まったく・・・船旅は最悪だぜ・・・
そう思いながら海面をのぞいていると上から声を掛けられる

「あら?アズさん?」

へ?
呆けた顔で大型船に視線を向けると†断罪者†のメアリーが不思議そうにこちらを見ていた
メアリーが小首を傾げて大型船に姿を消すとロープが落ちてくる

「登ってこいって事だろうな・・・」

ロープを掴みアイテムストレージに船をしまい大型船に乗り込む

「やっぱりアズさんじゃないですか!」

メアリーが笑顔で俺を抱きしめようと近づこうとして足を止める

「アズさん・・・申し上げにくいのですが・・・」

俺はメアリーさんの視線に気づき自分の体を確認して納得する
船旅で体を拭く事しかできなかったうえに先ほどまで絶賛嘔吐中だったのだ

「とりあえずお風呂に入ってから話をしましょう!」
     
        ◇

風呂で体を綺麗にした俺はメアリーさん先導のもと客室に通されていた
豪華な客室にわくわくしながら俺は周りを見渡してメアリーさんの様子を伺う

「それにしてもどうしてこんな所におられたのですか?」

頬に指をあてかわいらしく首を傾げるメアリーさん
しかしその眼光は鋭く、嘘を言ってもすぐに見破られそうだ
ここで嘘をついても仕方ないし・・・

「この海域で海賊に襲われたんです」
「海賊!?なるほど・・・この近辺には海賊が出るのですね・・・」

メアリーさんは顎に手を当てると険しい顔で「であればそのまま準備も無しに行くのは危険か」と呟くと俺に視線を向ける

「私はこれからシアンフォールドに戻ります、アズさんはどうされます?」
「是非ご一緒させてください!」

シアンフォールドまで辿り着ければネクロニアまで転移ポータルでひとっとびだ

「ではせっかくなのでシアンフォールドまでお話でもしましょうか・・・アズさんには聞きたい事が沢山あるんです」

メアリーさんが興味深そうにこちらの服を見てニコリとほほ笑む

「随分と可愛らしい服ですね?」

は?服?
俺は自分の着ている服を確認する
そう、学園初等部の服を
俺が急ぎローブに服を切り替えると、メアリーさんが残念そうにつぶやく

「せっかく可愛いお洋服なのに・・・」
「勘弁してください・・・」
「そうですか・・・それでは・・・」

再び眼光がするどくなったメアリーさんから延々と質問攻めされる
質問が終わる頃にはシアンフォールドが目と鼻の先だった

「ではアズさん・・・ありがとうございます」

満足そうなメアリーさんをみながらグッタリしていると
メアリーさんがステータスウィンドウを開き再び険しい顔になる

「火急の用ができました、私はここで失礼します」

急ぎシアンフォールドに駆け出すメアリーさん
一体何が起きたのだろう?

俺は船旅でフラフラの足で転移ポータルに向かうと行先をネクロニアに設定する
中には厳かな雰囲気を漂わせる爺さんが顎で魔法陣に乗る用指示を出してくる
魔術師がぶつぶつ呪文を唱えると地面の魔法陣が発光して視界が暗転する

目を開けるとボロボロの小屋にいた
小屋の中ではローブを着たスケルトンがこちらを興味気に見ている
まぁネクロニアに正者は珍しいらしいしな

特に気にする事無くネクロニアに出た俺は目を見開く
そこかしろに浮かぶ大量の霊魂が大扉の前に飛来していっている
霊魂についていくように大扉の前についた俺は見知った人影を見つける

「リッチー!一体何があったんだ!?」

緊迫したこちらの雰囲気とは真反対にリッチーはいつも通りニコニコしている

「おやおや冒険者じゃないカ、慌てる事は無いヨ?外で沢山人が死んでるだけだヨ」

大問題じゃないか!?
もしかしてグラフでのプチ戦争が始まったのか!?
俺は急いでイベント情報を確認する

<炎の精霊使い討伐イベント>

「BioGraphyOnline」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「SF」の人気作品

コメント

コメントを書く