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第四十六章 魔道具製作!

現在大きな収入があった俺は装備の新調に武器屋に来ている
木漏れ日荘はクラウスさんとアクアがシアンフォールドという都市に家族旅行に行っている為お休みだ

武器屋の内装は前回来た時とさほど変わった様子はなく
店主が欠伸をしながら新聞を読んでいる
ガイアの杖等の超高額アイテムは今だ棚の上に置かれたままだ

「あれ買えるやついるのかな・・・?」

物欲しそうな目で高級武器を見ていると店主がこちらをガン見しているのに気づく
盗賊とでも間違われただろうか?
両手をあげて敵意が無い事をアピールして目的の物を探す

今回求めている武器は高級武器とかじゃなく少し特殊な物だ
店内をぶらつき目的の物を見つける

<無銘の杖>

この杖は生産途上の杖で、ここから付与師や鍛冶屋が武器を鍛えなおす
既存の武器を作るとある程度確定された能力が約束されるが
このシリーズの武器は製作者の想像力で能力が決定するのだ

一個100Rの杖を予備も含めて店の在庫全部・・・10本購入する
今の俺に1000Rなど安いものだ
他にも鉄のインゴット等素材を購入しておく

「おうちび!付与師かなにかか?良い武器が作れたら買い取るぜ!」

武器屋の店主が極悪な・・・良い笑顔で俺に親指を立てる
こちらも指を立てて笑みを浮かべる
武器屋の店主の極悪スマイルが少し崩れたような気がするがそそくさと防具屋に移動する

そこには欠伸をしながら新聞を読んでいる店主が・・・
やっぱ目の傷の位置で見分けるのは無理がないか?
面白そうにこちらをじろじろ見ている店主に盗賊マスクと毒薬等の薬品を数種類持っていき購入する
防具屋のおやじは反応が素っ気なかったのがつまらなかったのか心なしかションボリしている


              ◇

「さて・・・まずは・・・」

温泉ブロックの構造を解析して思いついた技術を実験する

あれはブロックが水精霊を取り込んでお湯に変えていたから・・・
杖が風精霊を取り込むようにしたら風が生まれるのではないか

無銘の杖を一本取り出すと杖に風精霊を貼り付けていく

ぺたぺたぺたぺた

最後の部分に精霊を貼り付けた所で杖が旋回しながらひとりでに飛んでいってしまった

「失敗かな」

次は風精霊を分解、半分サイズを塗りつけていく

ぬりぬりぬりぬり

表面を塗り尽くすと杖が緑色に発光し出す

「これは・・・成功だろうか?」

試しに精霊を杖に集中させると暴風と共に上空に吹き飛ばされる

「のわぁぉぁ!」

風精霊を注ぎ込みすぎたか!?
精霊の量を調整しようと杖を見ると見るも無残な形になっている
空中浮遊が出来なければまた教会送りになる所だった・・・
着地して冷や汗をぬぐい息を整える

「でも・・・手応えはあったな」

同じ容量で杖を作ると今度は慎重に風精霊を吸収させる
杖から風が吹き出す

これは成功だろうか
問題は全方向に風が放出してしまう事だろう
持ち主に風をぶつけ続けているので持って居るのも辛い

「次こそは!」

ぬりぬりぬりぬり
今度は自分に向かう場所、握る場所には塗らず風の向きを調整する
風が放出されない所には色を塗ってわかりやすくする

「これでいけるはず・・・!」

杖に跨り風精霊を注入すると杖は徐々に浮遊していく

「これは!せいこ!」

ポトリ

バランスに慣れずに落下してしまった
これは練習の必要がありそうだ
だがこれで空中浮遊にMPを使う必要が無くなる
いざという時以外はこれを使おう

「次は・・・」

杖をブンブン振り回す

軽すぎる・・・かな?
買ってきた鉄のインゴットを分子レベルまで分解
杖の内部で分散させて再構成していく
杖が徐々に重くなっていくのを感じながらある程度の重量で振り回す

ブォン!ブォン!

良い具合の重さだ!
攻撃力を追求するならもう少し重くしても良さそうだが・・・
力のステータスが低い俺にこれ以上の重さは普段の持ち運びが辛そうだ
残った無銘の杖を全て同じ容量で作る

「大分品質に差が出るな」

鉄を含ませれば力が増すかわりに重量が増す
精霊を多く塗ると知力が増すかわりに調整が難しくなる
一番手に馴染む杖を手に取ると他の杖をアイテムストレージにしまう

「最後にっと」

杖の先端にルピーから貰った小型バーナーを貼り付ける
そのままでは落ちてしまうので自然調和で杖の木を活性化
小型バーナーの炎が出る所を空洞にして周りを木で包み込む
ガスバーナーのスイッチを押すと杖の先端から炎が飛び出る

「これで完成かな・・・と?」

よく見ると杖の先端が少し焦げている
先端部分を鉄で塗り固めて炎対策をする

「これでよし!」

出来上がった杖を見ながら達成感に浸る
無銘シリーズで作ったオリジナル武器は名前と説明文を自分でつけることができる
なんにしようかなーやっぱ風を操るから操風杖?
鉄を入れてるから鉄風杖?
・・・いや・・・もう厨二じゃないんだ・・・普通に杖で良いや・・・
少し名残惜しい気もするが変な名前をつけると馬鹿兄貴に何か言われそうだ
命名すると武器が光る

<杖> 
<知力+30 力+8>

オプションで精霊術師なら空も飛べて火も出せる
なかなか強い武器になったのではないだろうか?
杖をアイテムストレージにしまう

「今度はあれだな」

前回ダイヤモンド作成中に陥った状態異常
あれをどうにか出来ないものかと試行錯誤中なのである
防具屋で買ってきた盗賊のマスクや猛毒薬、痺れ薬等を取り出す

「やっぱまず酸素を吸えるようにするべきだよな」

マスクに周囲の酸素を吸収させていくとマスクが発光して

<システムログ>
<猛毒マスクが生成されました>
<猛毒マスク>
<装着者に10秒毎にLV50の毒と混乱を与える>

恐ろしい物が出来てしまった
へたに捨てるわけにもいかずアイテムストレージにしまう

「イメージとしては酸素ボンベみたいな・・・こう・・・」

酸素を水の膜で覆うように・・・

<システムログ>
<濡れマスクが生成されました>
<濡れマスク>
<常に湿っているマスク>

嫌な物が出来てしまった
このアイテムを使う時が来るのだろうか・・・?
続けてアイテムを作ろうとした所で眩暈を起こす
ステータスを見るとMPがほんのわずかしか残っていない
どうやら精霊の分解構築にはMPを使うようだ

「そろそろ夕食の仕込みでもするかな・・・」

失敗作をアイテムストレージにしまい気分転換に調理場に向かう
木漏れ日荘は今日も平和です

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