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第㊙話 バレンタインイベント

※このシナリオは本編と全く繋がっていません

本日俺はバレンタインイベントに備えて期間限定サーバーに来ている
貴方はチョコをあげる方?もらう方?
ちなみに俺は両方だ
普段仲良くしている相手にチョコの一つや二つプレゼントしてあげても良いだろう

今日のPTメンバーはヌレー河川以来のルピーと俺の二人

ルピーはてっきり試食目当てかと思ったがどうやらあげたい相手がいるらしい
ルピーさんも一応年頃なんだなぁ・・・

まずはイベントアイテムのカカオを取りに東エリアに移動する一向
そこにはカカオの木に大量の生首が吊るされている
生首はまるで嫉妬でもしているかのように血涙を流している
「あれはもしかしてカカオと、か・・・顔・・・!をかけているのか?」
どちらにせよあんなものグロすぎて取りに行けねぇよ!
運営のバレンタインに対しての悪意を感じながら四苦八苦しているとチョンチョンと肩を突かれる

『私が取ってきましょうか?』
ルピーがメモを見せてくるのを見て首を横に振る
こんなグロい物を少女に取りに行かせるわけにはいかない
勇気を振り絞りカカオを包丁で切り落とす
切り口から大量のチョコレートが溢れ出してまるで殺人現場だ
ちなみに切り落とした生首はグレイに似ていたからあまり罪悪感は無い

「というかチョコが直接でるならカカオいらないんじゃ・・・」
そう思いチョコをすくうがアイテムストレージには入らない
「なるほど・・・アイテムとして持って帰れるのはやっぱりカカオだけか」

『いっぱいとってきましたよ!』
生首を大量に掲げているルピーさんは服のデザインも合わさってさながら戦国時代の猛将である
「ルピーさんルピーさん?カカオはほどほどでね?」
『頑張っておにいちゃんに美味しいのを作るんです!』
珍しく鼻息の荒いルピーさん
なるほどフーキにあげるのか・・・あのロリコンめ

「半身の血縁アズ・・・奇遇だな」
「フィンさん!?」
バレンタインに全く興味の無さそうな人がイベントに参加していた
無表情で生首を切り落としてアイテムストレージにしまっている
「意外ですね!誰にチョコをあげるんですか?」
「余の半身の為に・・・な・・・」
フィンさんは顔を少し赤らめる
馬鹿兄とフィンさんはやっぱり恋人だったりするのだろうか
フィンさんと軽く雑談をして別れると

カカオを大量に仕入れた俺とルピーは次の目的地に向かう
今度は北エリアにある酪農地帯
ここではミルクを仕入れるのだが・・・

「牛からドロップするのか・・・」
てっきり搾乳かと思ったらまさかの討伐だった
周りでは牛と女冒険者が戦っている
ルピーはすでに3匹討伐しているがこの牛、強い
ボス級クラスの牛が大量にポップ・・・あげく一体攻撃するとリンクしていく

「ここは秘密兵器を出すかな・・・ヘイジロー!」
戦闘もあるだろうと思いあらかじめ睡眠薬で眠らせていたグレイをジローに運ばせていた
グレイをそこら辺の木に括り付けるとグレイのオートスキルが発動する
牛達がグレイ目掛けて突進している間に牛を討伐してミルクを手に入れる

「ほあ!?何事!?まさかランズロットのやろ・・・ほんとに何事!?」
牛達の突進で途中目が覚めたグレイが何かわめいている
だがグレイが敵を引き付けているおかげで他の女冒険者も安全に牛を狩れている

「たまには人助けしてこいよー」
「おいアズ!?まさかお前の仕業か!?アズさん!ちょっと!アッーーーーー!!」

西エリアではカカオとミルクをチョコレートや素材と交換する
指定のNPCは見ればわかるとイベント告知されていたが・・・
巨大な女性と大量の人形が目に映る

「アリスじゃないか!」
「あらぁん!アズちゃんにルピーちゃんじゃなぁいん!」
アリスの後ろでは大量の人形がせわしなくカカオとミルクを加工している
人形のチョコ工場が珍しいのかルピーが尻尾をパタパタしながら眺めている

「もしかしてアリスが交換してくれるのか?」
「そうよぉん!イベント期間はいつでもここにいるわよぉん」
イベントはバレンタイン一日前までだから・・・
「アリスもドルガさんにチョコをあげるのか?」
「もちろんよぉん!」

ここ最近二人の仲がどんどん近づいている
アリスに関してはすでに花嫁衣装の準備をしている

「じゃあこれ・・・カカオとミルク」
『交換お願いします!』
「はいは~い!」
目的の物を手に入れた俺とルピーはチョコと生クリームをアイテムストレージにしまい最後の南エリアに向かう
途中姉からメールが飛んでくる

『ひろー!うちの泡だて器壊れてるー!』
姉はリアルでチョコをあげる人がいるだとかで一人奮闘しているのだがなかなか苦戦しているらしい
『がんばれ』っと

南エリア
ここでは手に入れたチョコレートを更に自分好みに調理する
調理が苦手な人間やそもそも義理チョコを大量生産する人は交換チョコのまま渡すようだが

「調理人として・・・最後まで徹底してつくるぞー!」
生クリームを鍋にいれて中火にかけながらチョコを刻む
ルピーは戦闘センスは高いがこういう作業は慣れないらしく四苦八苦している
俺がチョコを一つ作り終えると
真横にローブで目元まで顔を隠した少女がを興味深げにチョコを眺めている

「あー・・・味見してみてくれる?」
「いいのかのぅ!?」
少女がチョコを口いっぱいに頬張ると驚愕の後幸せそうな顔をしている
「なんじゃこれは・・・!口の中が甘く・・・ほぁぁ!」
今しがた作ったチョコを全部食べられたがルピーはまだまだ時間がかかりそうだし・・・
俺が作ったもので喜んでもらえると調理人として鼻が高い
「嗜好品とはここまで昇華するものなんじゃのぅ・・・私も作ってみるかのぅ・・・」
何事かをぶつぶつ言いながらどこかに歩いていく少女
そっちは大量の牛がポップする地域だが大丈夫だろうか?

『できました!』
はじけんばかりの笑顔でメモを見せてくるルピーが一人前チョコを仕上げる頃には日が暮れ始めている
時間はかかったが間違いなく彼女の力作だろう
ルピーは出来上がったチョコをそのまま俺に渡す

「あれ?フーキに渡すんじゃなかったのか?」
『お兄ちゃんにもあげます!でもアズさんにもあげます!』
夕暮れが反射しているのか心なし頬が赤いルピーからチョコを貰う
ルピーにお返しのチョコをあげると尻尾をばたつかせている
さて・・・俺は誰にチョコを渡すかな

バレンタインイベントはまだ始まったばかりなのであった

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