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第二十六章 討伐作戦開始


冷たい風が頬に当たる

ブルーラットと冒険者の戦場上空にて
ドラゴンによる奇襲を防ぐ為の監視役としめ
現在盗賊のチュニックの上に鬼のローブを装備中のアズ

ちなみに装備の能力は先に装備している装備の能力値に、ペナルティとして基礎の俊敏が下がるのだが
やはり空を飛ぶのなら魔法使いっぽさが大事なのである、そして下から見えないようにするのも大事なのである

アルに背後の監視を任せているのでどこからドラゴンが来ても問題ない

現在フルPTの8人、空中浮遊できるメンバー4人、地上での伝達部隊4人
空中組と地上組の2人でペアを作り東西南北のグラフ草原の監視をしている

「HQ!HQ!こちらパトロール!西エリアにてドラゴンと交戦開始」

西エリアのPTメンバーから情報が入る

対面の東エリアにいる俺は欠伸をしながらペアのメアリーさんにチャットを送る

[ひまなう]

空中浮遊ができるスキルは珍しく、必然的に空中の斥候部隊は浮遊スキル持ちとなってしまった

俺以外の人の浮遊方法だと
サイコキネシスで自分を浮かせる方法
そもそも浮遊というスキルを持つもの
跳躍スキルで空中をずっと跳躍し続けるなどがある

色々な浮遊方法はあるが
空中には大量の風精霊と光精霊
風精霊が大量な空中では他のスキルに負ける気はしない

俺は精霊で遊びながらステータスを確認

「いつの間にかLV10になってるや」

<Lv10
<HP58 MP20 力13 防御8 知力50 俊敏7 運40 残0P
<スキル:自然界の盟友、人形使い、精霊術、自然調和、独力     枠外、料理人、隠密術、見切り、逃走術、複数思考

<複数思考>
思考速度を上昇させ、あらゆる隙を少なくする
取得条件:複数回考えとは別の行動を行う

新スキル複数思考は単純に考えるとキャストタイム、クールタイムの減少か?
能力が大幅な成長を見せているがフルPTの現状
独力のせいで-1.8倍だから意味をなさないだろう

「HQ!HQ!こちらパトロール!目標ロスト!残りHPは半分!」

西エリアは問題なく撃退できたらしい
流石は円卓の騎士団
ちなみにリーダーのランズロットは真っ先に戦死して街に戻っている

情報を聞き流しながら精霊で遊んでいると違和感を覚える
風精霊が西エリア方面に移動し始めている
これは・・・

[メアリーさん、ドラゴンこっちに来てるっぽいです]

チャットを送ると同時に視認できる位置までドラゴンが接近してくる

「こちら東エリア!ドラゴンと交戦開始!」

俺のPTチャットと同時にドラゴンが5PTをまとめて塵にして着地する
メアリーさん指揮のもと寄せ集め冒険者フルPT×50が臨戦体制に入る

寄せ集め冒険者の中の円卓の騎士団メンバーが前線に躍り出る

円卓の騎士団メンバーの高耐久と優秀な囮スキルによりドラゴンのヘイトを固定、遠距離職から大量の弾幕が放たれていく

空中から見るその光景は綺麗の一言である
ちなみに俺はドラゴンの逃亡阻止の為戦闘は行なわず空中で観戦だ
決してサボっているわけではない
欠伸が絶えない戦闘を観戦していると
HPが3割を切った所でドラゴンが風精霊を纏い出す

「やっと出番か!派手に行くぜ!」

跨っていた杖を両手に構えなおして自然落下
少しでも精霊を杖に当てるため回転しながら急降下していく

ドラゴンが飛翔しようとした所に空中で集めるだけ集めた精霊を思いっきり叩き込む
グシャリという音と共にドラゴンは地面に押し付けられ、ドラゴンの周囲にクレーターができる
今の一撃で1割は削れている、円卓の騎士団も巻き添えで半壊してる気がするが気のせいだろう

地面で尚も風精霊を翼に集めるドラゴンの翼の上に着地
翼に集まった風精霊を無理やり竜巻に変えて再びドラゴンを地面に叩き伏せる
これは少し癖になるかもしれない

「・・・精霊を纏わなくなった?」

不審に思ってドラゴンを見ると
鋭い眼光でこちらを睨んでいる

ヤバイやり過ぎた

ドラゴンが姿勢を低くした事により体が少し宙に浮ぶ

宙に浮いた俺にドラゴンが体を回転させて顔をぶつけてくる
激痛と共にHPバーが真っ白に染まる

いくら近接攻撃が弱いドラゴンだったとしても
タンクではなく、ましてや独力のせいで能力が軒並み下がっている俺では到底耐えきれない

完全にヘイトが固定され、スタン状態で意識が飛びそうになる状況
アルが時間を稼ぐためドラゴンの目を斬りつけると共に噛み付かれ
アルのHPが0になる

「・・・にゃろう!」

スタンが解け意識がはっきりした所で上空に飛翔する
ヘイトは固定されたまま
ドラゴンは飛翔する様子はなく、かわりに口元に大量の火精霊が集めている

地上では今も弾幕が形成され、ドラゴンのHPを僅かに削っている

「ブレスの餌食になるのが先か・・・削りきるのが先か!」

無意識に笑みを浮かべる

「楽しくなって来たじゃないか!」

ブレスを回避し叫びながら全身に風精霊を纏う
ドラゴンの飛翔方法を見て学んだ新浮遊術!
見せてやる!

今までは落ちる前に風精霊を自身にぶつける事により瞬発的な加速を続けて落下を防いでいた

今回は自然調和を使い大量の精霊を可能な限り体に近づけて風精霊を活性化
体に纏い常に宙に浮かび続けることに成功する
ドラゴンの飛翔を間近で見る事により学んだ新技だ

自然調和で周りと一体化するのは精神力を使うらしく
見慣れないゲージが出現、俺自身にも変化ぎ現れ始める

青い髪が太陽の光を吸収して青く輝き
目が光を帯び、元の金色をいっそう際立たせる

「アルの稼いだこの時間!絶対に無駄にしない!」


ドラゴンが冒険者により討伐される頃には
はじめてMPを使った事により意識が飛びメアリーさんに宿屋まで運ばれるのであった

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