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第二十二章 へぇ、デートかよ


ピンポーン!

家のベルの音で目が覚める、こんな朝早くに誰だ・・・

もう12時だったわ

昨日は確かイベント情報を確認しながら・・・記憶がないな、寝落ちでもしたかな?
その割にはベッドの上でジローとアルを抱きしめて寝ている状況だ・・・夢遊病か?やばいな

隣の部屋でバタバタ音が鳴り響き、階段を駆け下りる音が聞こえる
さっきのチャイムは太郎兄の客か?珍しい
そう思っていると階下で兄が大声で客人を迎えている

「我が盟友よ!よくぞ来た!此度の遠征!存分にたのしもうぞ!」

盟友?寝ぼけたまま階段を下りていくとそこには見知った銀髪の人が

「あれフィンさんだ?銀髪のまま・・・?なんだ夢か」

フィンさんがこちらを一瞥すると話しかけてくる

「永久の眠りより目覚めたか、半身の血縁アズ、まだ真名を聞いてなかったな」
「あー・・・俺は青葉大和です、フィンさんはやっぱり美人ですねー」
「!」

フィンさんが顔を赤らめながら片目を隠す

「我が血縁よ?いつまで夢見心地でいるつもりだ?」

目を鋭くした太郎兄からチョップを受ける、あれ?痛い
ん?夢じゃない?あれ?でもフィンさん銀髪だし
視線に気づいたフィンさんが「なるほど」と呟き教えてくれる

「余の髪の色は生まれつきだ、大和、早く目覚めぬと主の世界が危ういぞ?」

不敵な笑みを浮かべるフィンさんに俺は顔を覆いうずくまることになった


「で?フィンさんはどうしてうちに?」
「なに、今日は半身と領地の下見に行く予定でな」
「あれ?今日メンテですよ?」
「血縁よ!今日は現実の世界の領地、天空の塔に行く予定なのだ」

現実の世界の領地って
天空の塔がどこかは知らんがデートってことか?太郎兄もすみに置けない
しかし二人のデートか・・・興味あるな
今日は暇出し後をつけてみようかなぁ

「では我は盟友と共にこれから出かける!血縁よ、生贄の供物は凍土の世界に封印してある」

そういえば今日は馬鹿兄の当番の日だったな、何を作ったんだろう
二人が出ていくのを見送り急いで部屋に戻ると
着替えてカロリーメイトを食べながら後を追いかける



こちらスネーク、目標は現在ショッピングをしている!
二人は行動や言動こそ厨二だが普通にデート?をしているように見えなくもない
ちなみに兄の服装は全身黒い服にコートを着ており、フィンさんは銀色のロングコートを着ている

あいつら現実でもあの格好なのかよ、夏場に暑くないのか?
周囲の人が珍しそうに二人を見ているが二人は全く気にしていない
見ている感じ恋愛感情はなさそうな感じだし少しつまらないな
最後にやってきたのはスカイツリー、ここが天空の塔か
いつからお前らの領地になったんだよ

二人はスカイツリーを見上げながら不敵な笑みを浮かべポーズを取りながら入場していった

これ以上尾行しても面白いことはなさそうだな・・・悲しくなってきたし
せっかくだし俺もスカイツリーにのぼっていくかー

追跡に飽きた俺は一人虚しく上の階まで上がって行く

「?」

上の階には太郎兄はもちろん誰もいない
決して人がいない時間帯でも、人気がないわけでもない
不思議に思っていると死角になっているところから声が聞こえる

「ここも外れ・・・ですかねぇ?なかなかどうして上手くいかないものです」

そこには金髪のイケメンが怪しい笑みを浮かべている

しかしあの金髪のイケメン
どこかで見た事がある気がするな
確か・・・そうだ!OPの金髪イケメンにそっくりなのだ
そう思うとついつい話しかけてしまった

「あ!あの!もしかしてBGOのOPのモデルの方ですか!?」

金髪は唐突に話しかけられたからか目を見開く
うん、やっぱりOPの人だ!

「えぇ?そうですよ、まさかこんな所で見つかるなんておもいませんでしたねぇ・・・お忍びなんですよ」

ニッコリと微笑む金髪さんは冷静を取り戻したようだ

「やっぱり!い!いつも楽しく遊ばしてもらってます!」

すると金髪さんは笑みを強くする

「えぇえぇ!楽しんでくれているなら良かった、私、馬場と申します、ゲーム名はグラン、これからもよろしくお願いしますねぇ?」
「はい!あ!俺は青葉大和って言います!」

馬場さんと握手を交わす

「それでは私、今日は少し用事がありますので、これからもBGOをよろしくお願いしますね」
「はい!もちろんです!」

より一層、怖いくらい笑みを浮かべて馬場さんが立ち去る
俺は馬場さんの姿が見えなくなるまで手を振っていると
途端に大量の人がフロアを埋め尽くした

人が少なかったのはたまたまだったんだなーと帰路に着くのであった




誰もいない空間、何もない、真っ白な部屋で馬場は笑みを浮かべている
「まさか、こちらで私を見つけれる人間がいるとは、ほんと何がわかりませんねぇ…」
馬場は口を歪ませながら呟く
「もしかしたら…こちらとあちらで、すでにあの二人のどちらかに出会っているのかもしれませんねぇ」
馬場は考え込む用に口に手を当てる
「邪魔が入っても困ります…これは計画を急いだほうがよさそうですねぇ」
馬場は先ほどの青葉大和を思い浮かべる
「本当にこれからもBGOを…よろしくお願いしますよぉ?」
誰もいない空間で馬場の笑い声がこだまする

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