ヘタレ魔法学生の俺に、四人も美少女が寄ってくるなんてあり得ない!

神楽旭

銀髪娘の浴衣姿は最高だぜ

「華がいないぞ……?」
さっきから探してるんだが、いないんだよな。
浴衣売り場にいるんだろうけど。
俺が浴衣売り場をほっつき歩いていると、
「これかな……?こっちも良いな……」
聞き慣れた声。なんかテンション高いな。
「(いっつも眠たげって言うか、ぼんやりしてるからな。何か意外)」
思い切って話しかけてみる。
「華。楽しそうだな」
「ふあっ!?……あ、雨宮君……」
振り向いた華は涙目だった。ごめん。許してくれ。
「な、何?どうしたの?」
「いや、気づいたらお前がいなくなってたから、探してたんだ」
「ああ、えっと、勝手にいなくなってごめん……」
「ああ、気にするな。浴衣見てたんだな?」
「うん……」
華が持っていたのは水色の浴衣。良く見ると椿柄だった。
「良いじゃん。それ。着てみなよ」
「あ……うん」
華は試着室に入ると、モソモソと着替えだした。
無心になれ。煩悩とはすなわち邪心なり。

数分後。
「どう……かな?」
現れたのは銀髪の妖精もとい華。
急所に当たった!効果はばつぐんだ!
「おお……」
小さな身体に淡い水色の浴衣をまとった美少女。
これさ、髪結んでなくても可愛いとか反則だよ。どうなんですかね審判レフェリーさん。
「恥ずかしいから、あんまり見ちゃダメ……」
そう顔を.赤らめ身を縮める華。くっ、可愛いな。くっかわ。くっかわ。
「……あ、いや。ごめん。えっと、凄い似合ってるよ。うん。可愛い」
あ、何か今言っちゃいけないこと言った気が……。
「か、可愛い……とか、そんな事軽々しく言っちゃダメ!」
やっぱりかよお!!仕方ないじゃん事実だし!
「あのう、華さん。もうそれにしたらどうです?」
恐る恐る聞いてみると、
「ん……雨宮君が言うなら……」
あれま。すんなりオーケー。


会計を済ませた俺達は、デパートの入り口で落ち合った。
「どうです?皆さん」
「バッチリ!」
「良い感じのが買えましたよ」
「私も……」
それぞれ良い買い物が出来たらしい。……しかし浴衣は高かった。十万円とは一体。
「暁!楽しみにしててよ!絶対ビックリさせるから!」
自信満々のこの宣言はケイト。ん?ピンクの浴衣じゃなかったのか?
「ああ。分かった。楽しみにしてるよ」
良いぞ。凄く楽しみ。……貯金いくらあったかな。屋台は回りきりたい。
「暁、行くよ?」
「ん?ああ、ごめん。待ってくれ」
考え事をしていたら皆行ってしまったらしい。あの、待ってくれても良いじゃないですか。ねえ? 

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