ああ、赤ずきんちゃん。
第3話「赤ずきんちゃんと狼の里」
赤ずきん達は家を離れ、目的の場所である狼の里までやって来ました。
狼の里はその名の通り狼達が住む所で、それ以外にこれといって特徴の無い里です。そもそもこの"おとぎの森"自体、見所があまりない場所なので、そんなものを求められても困るというのが正直なところですが……。
赤ずきん「しかし、殺風景なところでも動物達がたくさんいるのは良いわ。私も前はしょっちゅう立ち寄っていたし」
ヘンゼル「狼の里に!?」
グレーテル「相変わらずの豪胆ぶりだな……」
ヘンゼル「……ところで、さっきから気になってたんだけどさ。……こいつ何で連れて来たんだ?」
ケルベロス「ぶぅ、ぶー!」
赤ずきん「なんか、一緒について来たさそうだったから」
ヘンゼル「ブタを……狼の里にか?」
グレーテル「まあ、仮にこのブタが食われたとしても、私達が困ることは何も無い」
ヘンゼル「ドライだなぁー。我が妹ながらスッゲードライだよグレーテル」
そうして話し合っていると、3人はとある一軒家の前に到着します。赤ずきんはその家の扉をコンコンとノックすると、中から二足歩行のオオカミさんが出て来ました。
オオカミ「やぁ赤ずきんちゃん。それとヘンゼくんとグレーテルちゃん、君らもここへ来たのかい?」
ヘンゼル「まあ、なり良きで……」
グレーテル「良い報酬も渡すそうだしな」
オオカミ「ふむ、まあ大丈夫だとは思うけど……今回相手するのは結構血の気の多い奴だからね。危ないと思ったら、すぐに逃げるんだよ」
赤ずきん&ヘンゼル&グレーテル『分かった』
さて、オオカミを引き連れた赤ずきん達とケルベロス。この4人と1匹のメンバーで、件の狼と対峙する事になります。
オオカミに道案内をしてもらい、赤ずきん達はジュウガミの家へとやって来ました。家と言っても、そこは洞窟のような穴がある住処でした。二足歩行の狼は、大抵こんな場所に住んでいます。
赤ずきんがそちらへ近づくと、中から1匹の若い狼が出てきました。
ジュウガミ「グルル……」
狼は人間である赤ずきん達を見るや、威嚇するように唸り声をあげます。
オオカミ「落ち着くんだジュウガミ。ぼくだよ、オオカミだ」
ジュウガミ「なんだ、誰かと思えばアンタか。こんな場所に何の用だよ」
ジュウガミと呼ばれた狼は、オオカミの姿を見つけると威嚇の唸り声をやめます。
そして、ジュウガミが質問を投げかけるとオオカミの横を過ぎて赤ずきんが前に立ちました。
赤ずきん「貴方がジュウガミね」
ジュウガミ「お前は……赤ずきんか。あの忌々しい老人共の孫……」
赤ずきん「自己紹介が不要なら話は早い、単刀直入に言うわ。先日、カコウタケのせいで私の家が爆発でバラバラになったんだけど、貴方何かしらないかしら?」
ジュウガミ「はっ、全く心当たりがねえなあ」
赤ずきん「惚けても無駄よ、貴方がやったという証拠があるんだから。ケルベロスッ!」
ケルベロス「ぶー!」
するとケルベロスは、焼け焦げた跡が残っている煤だらけのレンガをジュウガミに提示しました。
ジュウガミ「これは?」
赤ずきん「このレンガからは、DNA判定で貴方の唾液が検出されたわ。おそらく、カコウタケを持ち運ぶ際に垂れたヨダレが、レンガに付着したのよ」
ヘンゼル「おとぎの世界でDNA判定……だと!?」
赤ずきん「他にも家周辺に貴方の足跡が見つかったし、指紋も検出されたわ。これだけの証拠があってもまだ誤魔化すのかしら?」
ジュウガミ「くっ!」
ジュウガミは顔をしかめます
一方で双子達は困惑していました。
グレーテル「しかし、赤ずきん。お前どうやってそんな調査を……?」
赤ずきん「お婆ちゃんが『キット』を貸してくれたの。ジュウガミっていう狼のデータサンプルも用意してくれたわ」
ヘンゼル「何者なんだよ赤ずきんのお婆ちゃん!! そもそも狼に指紋が見つかるのか!?」
赤ずきん「細かい話はどうでも良いのよ! 問題はこの狼が家を壊した可能性が高いってこと! 何が目的でそんなことをしたのか、聞かせてくれるまで帰らないからね!!」
ジュウガミは赤ずきんと目を合わせません。黙秘をするようです。
赤ずきん「言っておくけど貴方に黙秘権はない。どうしても言いたくないなら強制的に喋らせるまでよ、ケルベロスッ!!」
ケルベロス「ぶー!」
赤ずきんが呼びかけると、ケルベロスは赤ずきんとジュウガミの間に移動しました。
ジュウガミ「なんだこのブタ?」
赤ずきん「さあ、見せてやりなさいケルベロス!! 貴方に授けた最強の力、餓狼拳法の恐ろしさを、あの狼にね!!」
ケルベロス「ぶぶー!!」
ケルベロスは激しく鼻を鳴らします。
次回、第4話「赤ずきんちゃんとは別の過去」。ご期待ください。
狼の里はその名の通り狼達が住む所で、それ以外にこれといって特徴の無い里です。そもそもこの"おとぎの森"自体、見所があまりない場所なので、そんなものを求められても困るというのが正直なところですが……。
赤ずきん「しかし、殺風景なところでも動物達がたくさんいるのは良いわ。私も前はしょっちゅう立ち寄っていたし」
ヘンゼル「狼の里に!?」
グレーテル「相変わらずの豪胆ぶりだな……」
ヘンゼル「……ところで、さっきから気になってたんだけどさ。……こいつ何で連れて来たんだ?」
ケルベロス「ぶぅ、ぶー!」
赤ずきん「なんか、一緒について来たさそうだったから」
ヘンゼル「ブタを……狼の里にか?」
グレーテル「まあ、仮にこのブタが食われたとしても、私達が困ることは何も無い」
ヘンゼル「ドライだなぁー。我が妹ながらスッゲードライだよグレーテル」
そうして話し合っていると、3人はとある一軒家の前に到着します。赤ずきんはその家の扉をコンコンとノックすると、中から二足歩行のオオカミさんが出て来ました。
オオカミ「やぁ赤ずきんちゃん。それとヘンゼくんとグレーテルちゃん、君らもここへ来たのかい?」
ヘンゼル「まあ、なり良きで……」
グレーテル「良い報酬も渡すそうだしな」
オオカミ「ふむ、まあ大丈夫だとは思うけど……今回相手するのは結構血の気の多い奴だからね。危ないと思ったら、すぐに逃げるんだよ」
赤ずきん&ヘンゼル&グレーテル『分かった』
さて、オオカミを引き連れた赤ずきん達とケルベロス。この4人と1匹のメンバーで、件の狼と対峙する事になります。
オオカミに道案内をしてもらい、赤ずきん達はジュウガミの家へとやって来ました。家と言っても、そこは洞窟のような穴がある住処でした。二足歩行の狼は、大抵こんな場所に住んでいます。
赤ずきんがそちらへ近づくと、中から1匹の若い狼が出てきました。
ジュウガミ「グルル……」
狼は人間である赤ずきん達を見るや、威嚇するように唸り声をあげます。
オオカミ「落ち着くんだジュウガミ。ぼくだよ、オオカミだ」
ジュウガミ「なんだ、誰かと思えばアンタか。こんな場所に何の用だよ」
ジュウガミと呼ばれた狼は、オオカミの姿を見つけると威嚇の唸り声をやめます。
そして、ジュウガミが質問を投げかけるとオオカミの横を過ぎて赤ずきんが前に立ちました。
赤ずきん「貴方がジュウガミね」
ジュウガミ「お前は……赤ずきんか。あの忌々しい老人共の孫……」
赤ずきん「自己紹介が不要なら話は早い、単刀直入に言うわ。先日、カコウタケのせいで私の家が爆発でバラバラになったんだけど、貴方何かしらないかしら?」
ジュウガミ「はっ、全く心当たりがねえなあ」
赤ずきん「惚けても無駄よ、貴方がやったという証拠があるんだから。ケルベロスッ!」
ケルベロス「ぶー!」
するとケルベロスは、焼け焦げた跡が残っている煤だらけのレンガをジュウガミに提示しました。
ジュウガミ「これは?」
赤ずきん「このレンガからは、DNA判定で貴方の唾液が検出されたわ。おそらく、カコウタケを持ち運ぶ際に垂れたヨダレが、レンガに付着したのよ」
ヘンゼル「おとぎの世界でDNA判定……だと!?」
赤ずきん「他にも家周辺に貴方の足跡が見つかったし、指紋も検出されたわ。これだけの証拠があってもまだ誤魔化すのかしら?」
ジュウガミ「くっ!」
ジュウガミは顔をしかめます
一方で双子達は困惑していました。
グレーテル「しかし、赤ずきん。お前どうやってそんな調査を……?」
赤ずきん「お婆ちゃんが『キット』を貸してくれたの。ジュウガミっていう狼のデータサンプルも用意してくれたわ」
ヘンゼル「何者なんだよ赤ずきんのお婆ちゃん!! そもそも狼に指紋が見つかるのか!?」
赤ずきん「細かい話はどうでも良いのよ! 問題はこの狼が家を壊した可能性が高いってこと! 何が目的でそんなことをしたのか、聞かせてくれるまで帰らないからね!!」
ジュウガミは赤ずきんと目を合わせません。黙秘をするようです。
赤ずきん「言っておくけど貴方に黙秘権はない。どうしても言いたくないなら強制的に喋らせるまでよ、ケルベロスッ!!」
ケルベロス「ぶー!」
赤ずきんが呼びかけると、ケルベロスは赤ずきんとジュウガミの間に移動しました。
ジュウガミ「なんだこのブタ?」
赤ずきん「さあ、見せてやりなさいケルベロス!! 貴方に授けた最強の力、餓狼拳法の恐ろしさを、あの狼にね!!」
ケルベロス「ぶぶー!!」
ケルベロスは激しく鼻を鳴らします。
次回、第4話「赤ずきんちゃんとは別の過去」。ご期待ください。
「童話」の人気作品
書籍化作品
-
-
58
-
-
1512
-
-
147
-
-
1
-
-
4405
-
-
70810
-
-
23252
-
-
15254
-
-
124
コメント