ああ、赤ずきんちゃん。
第2話「赤ずきんちゃんと若狼」
ケルベロスについて説明します。
かのブタは、かつてはこの森でほのぼのと暮らしていたただの一般ブタでした。しかし、幼い頃に三兄弟の弟2人を狼に食べられ、呆然と森を彷徨っていたところをお婆ちゃんに引き取られ、赤ずきんの祖父母の家で暮らすことになったのです。色々あって、お婆ちゃんの本職であるキノコ狩りをしょっちゅう手伝わされているケルベロスはその仕事で生活をしています。かつては狼に対して、多少なりとも恨みを持っていたケルベロスでしたが、今ではその感覚も薄れ、森での生活を満喫しているのでした。
……また、彼の両親が大工だったことから、長男であるケルベロスがそれを教わり、ある程度の建築技術は備えていました。
そして、ケルベロスに赤ずきんの家を修繕するよう頼んでから、約1日が経過しました。
   ***
ヘンゼル「何ということでしょう!?」
グレーテル「あれだけ無茶苦茶に崩された瓦礫の山が片付けられ、翌日には見違えるほど立派になった一軒家が、そこに立っているではありませんか!!」
ヘンゼル「ていうかこれ、凄過ぎるだろう!? 昨日までのあの惨状が何だったんだってくらい、元通りに修復されてるんですけど!?」
赤ずきん「ハァッハハハ!! これがケルベロスの力よっ、思い知ったか!!」
ヘンゼル「何で赤ずきんが偉そうに!?」
そう、それは翌日のことです。
赤ずきんが、壊れた家を治す目処が立ったということで、メンバーは一時解散することになりました。最初は家のことで多少心配をしていた双子でしたが、次の日になって元通り、というか寧ろ新築になって返ってきた赤ずきんの家を見て空いた口が塞がらなくなってしまっています。
グレーテル「……これ、全部そこのブタ、ケルベロスが建てたのか?」
赤ずきん「そうよ! ケルベロスの神築には、流石の私も脱帽を禁じ得なかったわ!!」
ケルベロス「ぶぅ、ぶー!」
ヘンゼル「……恐ろしいブタだ。俺達んとこの小屋も建て直して貰おうかな?」
そんな訳で、現在赤ずきん達が居るのは新築のニュー赤ずきん宅。新しいと言えど見た目は全く変わらない自宅、赤ずきんは慣れた様子でいつもとほんのり違う家の床に寝転びます。
赤ずきん「さて、家はどうにかなったことだし、あとは犯人探しね。実は皆んなが帰った後、私は独自のルートで犯人を特定してみたのよ」
ヘンゼル「なぬ?」
赤ずきん「……調査の結果!犯人として濃厚なのはこの森に住み着く狼達だわ。主犯格と思しき狼も特定できた」
そう言って赤ずきんは、双子に一枚の資料を手渡します。そこの文章は、全て赤ずきんが手書きしたものです。
赤ずきん「容疑者の名は『ジュウガミ』。狼達の間でも滅法の喧嘩好きで、仲間達とは度々争い合い、自身の力を周囲に示しているそうよ。その腕力が買われて、現在は狼達を束ねる次期族長の候補者。彼自身もその座を狙って森であれこれしているそうよ」
グレーテル「"あれこれ"とは?」
赤ずきん「森の有力者に喧嘩をふっかけたり、自身の領土を増やしたり、自分が凄いってことを仲間の狼に示すことなら何でもよ。ジュウガミは、最近で勢力を格段に増やして森の支配を強めているそうなの。狼達ここにあり! ってね。それで、彼らは森の実力者を片っ端から襲っているそうなんだけど……」
ヘンゼル「……その火の手が、こっちにも回ってきたって訳か」
グレーテル「しかし赤ずきん、貴方どこでそんな情報を?」
赤ずきん「んっ、オオカミさんが自分達の内部情報を伝えてくれたのよ」
ヘンゼル「ただの又聞きじゃねえか! ていうかそれ、情報漏洩って言うんじゃ……」
赤ずきん「オオカミさんは気にした風ではなかったわ。それはそうと、私は一刻も早くそのジュウガミって狼を懲らしめに行きたいんだけど?」
グレーテル「勝手にすればいいさ。私達には関係の無いことだからな」
グレーテルはドライに答えます。
赤ずきんは、明らかに不満そうな表情を浮かべ出します。
グレーテル「そんな顔をしてもついて行ってやらないぞ。そもそもこっちにメリットが無い」
赤ずきん「じゃあ、昨日魔女のおばさんに貰ったお菓子の家、あれを貴方達に譲るわ」
ヘンゼル&グレーテル『よし、承った』
赤ずきん「即断っ!? まあ、双子は多少なりとも剣の心得があるそうだし、戦力にはなると思ったからついて来てくれると嬉しいんだけどね」
ヘンゼル「ところで白雪姫はどうするんだ? あいつも連れて行くのか?」
赤ずきん「いえ、今回は戦いになるかもしれないからね。白雪姫は家で待機してもらうわ」
白雪姫「赤ずきんさん……」
赤ずきん「白雪姫、ゴメンね? 1人で留守番してもらうことになるけど……」
白雪姫「いえ、それよりも私、赤ずきんさんの事が心配で……」
赤ずきん「クスッ、大丈夫よ。こういう事には慣れてるから。……白雪姫は、お家のことを頼んだわ」
白雪姫「赤ずきんさん……!」
そして2人をお互いに抱きしめ合いました。
グレーテル「……なんか、愛し合う夫婦の様を見せられているようだ」
ヘンゼル「なあグレーテル、俺お菓子の家貰ったら天井部分のチョコ俺の分な」
グレーテル「一方でこっちはガキンチョ過ぎるな……・
こうして、赤ずきんとヘンゼルとグレーテルは、赤ずきんの家を壊したと思われる容疑者、ジュウガミの元へ向かうのでした。
目指すは、『狼の里』です!
次回、第3話「赤ずきんちゃんと狼の里」。ご期待ください。
かのブタは、かつてはこの森でほのぼのと暮らしていたただの一般ブタでした。しかし、幼い頃に三兄弟の弟2人を狼に食べられ、呆然と森を彷徨っていたところをお婆ちゃんに引き取られ、赤ずきんの祖父母の家で暮らすことになったのです。色々あって、お婆ちゃんの本職であるキノコ狩りをしょっちゅう手伝わされているケルベロスはその仕事で生活をしています。かつては狼に対して、多少なりとも恨みを持っていたケルベロスでしたが、今ではその感覚も薄れ、森での生活を満喫しているのでした。
……また、彼の両親が大工だったことから、長男であるケルベロスがそれを教わり、ある程度の建築技術は備えていました。
そして、ケルベロスに赤ずきんの家を修繕するよう頼んでから、約1日が経過しました。
   ***
ヘンゼル「何ということでしょう!?」
グレーテル「あれだけ無茶苦茶に崩された瓦礫の山が片付けられ、翌日には見違えるほど立派になった一軒家が、そこに立っているではありませんか!!」
ヘンゼル「ていうかこれ、凄過ぎるだろう!? 昨日までのあの惨状が何だったんだってくらい、元通りに修復されてるんですけど!?」
赤ずきん「ハァッハハハ!! これがケルベロスの力よっ、思い知ったか!!」
ヘンゼル「何で赤ずきんが偉そうに!?」
そう、それは翌日のことです。
赤ずきんが、壊れた家を治す目処が立ったということで、メンバーは一時解散することになりました。最初は家のことで多少心配をしていた双子でしたが、次の日になって元通り、というか寧ろ新築になって返ってきた赤ずきんの家を見て空いた口が塞がらなくなってしまっています。
グレーテル「……これ、全部そこのブタ、ケルベロスが建てたのか?」
赤ずきん「そうよ! ケルベロスの神築には、流石の私も脱帽を禁じ得なかったわ!!」
ケルベロス「ぶぅ、ぶー!」
ヘンゼル「……恐ろしいブタだ。俺達んとこの小屋も建て直して貰おうかな?」
そんな訳で、現在赤ずきん達が居るのは新築のニュー赤ずきん宅。新しいと言えど見た目は全く変わらない自宅、赤ずきんは慣れた様子でいつもとほんのり違う家の床に寝転びます。
赤ずきん「さて、家はどうにかなったことだし、あとは犯人探しね。実は皆んなが帰った後、私は独自のルートで犯人を特定してみたのよ」
ヘンゼル「なぬ?」
赤ずきん「……調査の結果!犯人として濃厚なのはこの森に住み着く狼達だわ。主犯格と思しき狼も特定できた」
そう言って赤ずきんは、双子に一枚の資料を手渡します。そこの文章は、全て赤ずきんが手書きしたものです。
赤ずきん「容疑者の名は『ジュウガミ』。狼達の間でも滅法の喧嘩好きで、仲間達とは度々争い合い、自身の力を周囲に示しているそうよ。その腕力が買われて、現在は狼達を束ねる次期族長の候補者。彼自身もその座を狙って森であれこれしているそうよ」
グレーテル「"あれこれ"とは?」
赤ずきん「森の有力者に喧嘩をふっかけたり、自身の領土を増やしたり、自分が凄いってことを仲間の狼に示すことなら何でもよ。ジュウガミは、最近で勢力を格段に増やして森の支配を強めているそうなの。狼達ここにあり! ってね。それで、彼らは森の実力者を片っ端から襲っているそうなんだけど……」
ヘンゼル「……その火の手が、こっちにも回ってきたって訳か」
グレーテル「しかし赤ずきん、貴方どこでそんな情報を?」
赤ずきん「んっ、オオカミさんが自分達の内部情報を伝えてくれたのよ」
ヘンゼル「ただの又聞きじゃねえか! ていうかそれ、情報漏洩って言うんじゃ……」
赤ずきん「オオカミさんは気にした風ではなかったわ。それはそうと、私は一刻も早くそのジュウガミって狼を懲らしめに行きたいんだけど?」
グレーテル「勝手にすればいいさ。私達には関係の無いことだからな」
グレーテルはドライに答えます。
赤ずきんは、明らかに不満そうな表情を浮かべ出します。
グレーテル「そんな顔をしてもついて行ってやらないぞ。そもそもこっちにメリットが無い」
赤ずきん「じゃあ、昨日魔女のおばさんに貰ったお菓子の家、あれを貴方達に譲るわ」
ヘンゼル&グレーテル『よし、承った』
赤ずきん「即断っ!? まあ、双子は多少なりとも剣の心得があるそうだし、戦力にはなると思ったからついて来てくれると嬉しいんだけどね」
ヘンゼル「ところで白雪姫はどうするんだ? あいつも連れて行くのか?」
赤ずきん「いえ、今回は戦いになるかもしれないからね。白雪姫は家で待機してもらうわ」
白雪姫「赤ずきんさん……」
赤ずきん「白雪姫、ゴメンね? 1人で留守番してもらうことになるけど……」
白雪姫「いえ、それよりも私、赤ずきんさんの事が心配で……」
赤ずきん「クスッ、大丈夫よ。こういう事には慣れてるから。……白雪姫は、お家のことを頼んだわ」
白雪姫「赤ずきんさん……!」
そして2人をお互いに抱きしめ合いました。
グレーテル「……なんか、愛し合う夫婦の様を見せられているようだ」
ヘンゼル「なあグレーテル、俺お菓子の家貰ったら天井部分のチョコ俺の分な」
グレーテル「一方でこっちはガキンチョ過ぎるな……・
こうして、赤ずきんとヘンゼルとグレーテルは、赤ずきんの家を壊したと思われる容疑者、ジュウガミの元へ向かうのでした。
目指すは、『狼の里』です!
次回、第3話「赤ずきんちゃんと狼の里」。ご期待ください。
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