ああ、赤ずきんちゃん。
第3話「赤ずきんちゃんとプリン」
赤ずきん「お婆ちゃーん! 赤ずきんが来たよー。お見舞いのリンゴ食べちゃってゴメンねー?」
そう言いながら赤ずきんが扉を開くと、お婆ちゃんの狭い家には誰も居ませんでした。ベッドの上にも、お婆ちゃんは眠っていません。
赤ずきん「あれ、お婆ちゃんどこ行ったんだろう? ……まさか、オオカミのお腹の中に?」
オオカミ「可能性は無きにしも非ず。……あっ、でもテーブルに書き置きがあるみたいだよ」
赤ずきん「どれどれ?」
そこには、こう書いてありました。
『赤ずきんへ。家で寝てても暇なので、お爺さんと一緒に"トリュフ狩り"をしに山へ出掛けます。ところで最近リンゴ園のリンゴの数が減ってるってお爺さんが言っていたけど、貴方何か知らない? 冷蔵庫にプリンが入ってるから食べていいよ。お婆ちゃんより』
と、書かれていました。
赤ずきん「リンゴ園で盗み食いしてることバレてるじゃねえか!!」
オオカミ「さすが年の功だね」
赤ずきん「どうしよう……、何とか口止めしないとママに怒られる。……オオカミさん、折り入って頼みがあるんだけど今お腹空いてる?」
オオカミ「まだ空いてないけど、何で?」
赤ずきん「いや、口封じにお婆ちゃんを丸呑みしてもらおうかなーと思って」
オオカミ「孫がお婆ちゃんを食べさせてどうする!?」
赤ずきん「そうだよなぁ、ていうかその状態じゃ私が先に食べられるだろうし……」
オオカミ「……まあ、ぼくは人間の肉は食べないんだけどね。美味しくないから」
赤ずきん「うん、あんなのとても食べれたものじゃないわ」
オオカミ「赤ずきんちゃん!?」
冗談はさておき、赤ずきんはお婆ちゃんの家の冷蔵庫を開けてプリンを取り出しました。
赤ずきん「見てオオカミさん、お婆ちゃんったらこんな森の中でプリンなんて作ってるのよ。わざわざ町の業者から材料を取り寄せて作ってるんですって。しかも電源も完備してるし日用品も一通り揃ってるわ。トリュフ狩りって儲かるのかしら?」
オオカミ「さあー……。まあ冷蔵庫があるのは羨ましいな。狩り取った肉が腐らなくて済むし」
赤ずきん「お婆ちゃん、スイーツ作りが趣味だから。ママも料理が好きでアップルパイを作ってくれるわ。私の身体は、冗談抜きでリンゴと砂糖菓子で出来てると言っても過言ではないわ」
オオカミ「あと、きのこシチュー」
赤ずきん「……ああ、それが私のスパイスね」
オオカミ「お砂糖とスパイスといろんなステキ……、か」
2人がそう呟き、赤ずきんは取ってきたプリンをもぐもぐ食べています。
赤ずきん「もぐもぐ。……それにしても、風邪って言っていたのに山へ行くなんて、相変わらずお婆ちゃんはバイタリティーに溢れているわね」
オオカミ「元気で何よりじゃないか」
赤ずきん「そうなんだけど、もう十分きのこ狩りで稼いだはずなのにまだトリュフを探して儲けてるのよ? 私だったらもう老後は安静にして、山盛りに積まれたリンゴ山の中で静かに息をひきとるわね」
オオカミ「それ死んでるよね!? まあ赤ずきんちゃんは子供なんだし、今から老後のことを考えても仕方がないと思うよ?」
赤ずきん「うーんそうだなぁ……。でも、やっぱり年は取りたくないな〜。不老不死になりたい」
オオカミ「世知辛いね〜」
赤ずきん「永遠の10歳でいたい」
オオカミ「ところで赤ずきんちゃんって幾つなの?」
赤ずきん「レディーに歳を聞くなデリカシーなし男」
狩人「そのとぉりさぁ!! 何せ赤ずきんちゃんは、俺の永遠の天使なんだからなぁ〜!!」
赤ずきん・オオカミ『おおッ!?』
その時、家の扉から目を血走らせた狩人が入ってきました。
狩人は全身に擦り傷があって、すごく痛そうな格好をしていましたが、その身体を無理に動かしてこの家までやってきたのです。
赤ずきん「ばかな、私のスパーキングボディプレスを喰らってもう意識が戻るなんて!」
狩人「ゲッヘッヘ! そんな攻撃、俺にとっては寧ろご褒美さ!」
オオカミ「マズイよ赤ずきんちゃん! この狭い家じゃ他に逃げ道がない!」
赤ずきん「くっ、玄関の扉は狩人のおじさんが居るし……」
狩人「ヒャッヒャー! もう逃げられないぞぉ、赤ずきんちゃ〜ん!!」
狩人はじりじりと少しずつ赤ずきんたちに近づいてきます。でも、赤ずきんたちが逃げられる道は玄関以外に見当たりません。
赤ずきん「……こうなったら、最後の手段! 『必殺!オオカミ流星群』!!」
オオカミ「おわぁっ!?」
赤ずきんは、オオカミの背中を思いっきり蹴り飛ばしました。
すると、オオカミの大きな身体が狩人にぶつかり、狩人は悲鳴を上げて倒れました。
狩人「ぐえっ!」
オオカミ「ちょ、赤ずきんちゃん!?」
オオカミと狩人、2人が倒れて動けなくなっている隙をついて、赤ずきんは玄関に向かって走り出しました。
赤ずきんは高笑いを上げます。
赤ずきん「ふははは! さらばだ狩人のおじさん、また逢おう!!」
そう叫んで、赤ずきんは2人を置いて、きのこ山の方へと駆け抜けて行きました。
再び、狩人から逃げることが出来た赤ずきん。置いていかれた男たちは、この後どう行動するのか!?
次回、第4話「赤ずきんを追い駆けて」。ご期待ください。
そう言いながら赤ずきんが扉を開くと、お婆ちゃんの狭い家には誰も居ませんでした。ベッドの上にも、お婆ちゃんは眠っていません。
赤ずきん「あれ、お婆ちゃんどこ行ったんだろう? ……まさか、オオカミのお腹の中に?」
オオカミ「可能性は無きにしも非ず。……あっ、でもテーブルに書き置きがあるみたいだよ」
赤ずきん「どれどれ?」
そこには、こう書いてありました。
『赤ずきんへ。家で寝てても暇なので、お爺さんと一緒に"トリュフ狩り"をしに山へ出掛けます。ところで最近リンゴ園のリンゴの数が減ってるってお爺さんが言っていたけど、貴方何か知らない? 冷蔵庫にプリンが入ってるから食べていいよ。お婆ちゃんより』
と、書かれていました。
赤ずきん「リンゴ園で盗み食いしてることバレてるじゃねえか!!」
オオカミ「さすが年の功だね」
赤ずきん「どうしよう……、何とか口止めしないとママに怒られる。……オオカミさん、折り入って頼みがあるんだけど今お腹空いてる?」
オオカミ「まだ空いてないけど、何で?」
赤ずきん「いや、口封じにお婆ちゃんを丸呑みしてもらおうかなーと思って」
オオカミ「孫がお婆ちゃんを食べさせてどうする!?」
赤ずきん「そうだよなぁ、ていうかその状態じゃ私が先に食べられるだろうし……」
オオカミ「……まあ、ぼくは人間の肉は食べないんだけどね。美味しくないから」
赤ずきん「うん、あんなのとても食べれたものじゃないわ」
オオカミ「赤ずきんちゃん!?」
冗談はさておき、赤ずきんはお婆ちゃんの家の冷蔵庫を開けてプリンを取り出しました。
赤ずきん「見てオオカミさん、お婆ちゃんったらこんな森の中でプリンなんて作ってるのよ。わざわざ町の業者から材料を取り寄せて作ってるんですって。しかも電源も完備してるし日用品も一通り揃ってるわ。トリュフ狩りって儲かるのかしら?」
オオカミ「さあー……。まあ冷蔵庫があるのは羨ましいな。狩り取った肉が腐らなくて済むし」
赤ずきん「お婆ちゃん、スイーツ作りが趣味だから。ママも料理が好きでアップルパイを作ってくれるわ。私の身体は、冗談抜きでリンゴと砂糖菓子で出来てると言っても過言ではないわ」
オオカミ「あと、きのこシチュー」
赤ずきん「……ああ、それが私のスパイスね」
オオカミ「お砂糖とスパイスといろんなステキ……、か」
2人がそう呟き、赤ずきんは取ってきたプリンをもぐもぐ食べています。
赤ずきん「もぐもぐ。……それにしても、風邪って言っていたのに山へ行くなんて、相変わらずお婆ちゃんはバイタリティーに溢れているわね」
オオカミ「元気で何よりじゃないか」
赤ずきん「そうなんだけど、もう十分きのこ狩りで稼いだはずなのにまだトリュフを探して儲けてるのよ? 私だったらもう老後は安静にして、山盛りに積まれたリンゴ山の中で静かに息をひきとるわね」
オオカミ「それ死んでるよね!? まあ赤ずきんちゃんは子供なんだし、今から老後のことを考えても仕方がないと思うよ?」
赤ずきん「うーんそうだなぁ……。でも、やっぱり年は取りたくないな〜。不老不死になりたい」
オオカミ「世知辛いね〜」
赤ずきん「永遠の10歳でいたい」
オオカミ「ところで赤ずきんちゃんって幾つなの?」
赤ずきん「レディーに歳を聞くなデリカシーなし男」
狩人「そのとぉりさぁ!! 何せ赤ずきんちゃんは、俺の永遠の天使なんだからなぁ〜!!」
赤ずきん・オオカミ『おおッ!?』
その時、家の扉から目を血走らせた狩人が入ってきました。
狩人は全身に擦り傷があって、すごく痛そうな格好をしていましたが、その身体を無理に動かしてこの家までやってきたのです。
赤ずきん「ばかな、私のスパーキングボディプレスを喰らってもう意識が戻るなんて!」
狩人「ゲッヘッヘ! そんな攻撃、俺にとっては寧ろご褒美さ!」
オオカミ「マズイよ赤ずきんちゃん! この狭い家じゃ他に逃げ道がない!」
赤ずきん「くっ、玄関の扉は狩人のおじさんが居るし……」
狩人「ヒャッヒャー! もう逃げられないぞぉ、赤ずきんちゃ〜ん!!」
狩人はじりじりと少しずつ赤ずきんたちに近づいてきます。でも、赤ずきんたちが逃げられる道は玄関以外に見当たりません。
赤ずきん「……こうなったら、最後の手段! 『必殺!オオカミ流星群』!!」
オオカミ「おわぁっ!?」
赤ずきんは、オオカミの背中を思いっきり蹴り飛ばしました。
すると、オオカミの大きな身体が狩人にぶつかり、狩人は悲鳴を上げて倒れました。
狩人「ぐえっ!」
オオカミ「ちょ、赤ずきんちゃん!?」
オオカミと狩人、2人が倒れて動けなくなっている隙をついて、赤ずきんは玄関に向かって走り出しました。
赤ずきんは高笑いを上げます。
赤ずきん「ふははは! さらばだ狩人のおじさん、また逢おう!!」
そう叫んで、赤ずきんは2人を置いて、きのこ山の方へと駆け抜けて行きました。
再び、狩人から逃げることが出来た赤ずきん。置いていかれた男たちは、この後どう行動するのか!?
次回、第4話「赤ずきんを追い駆けて」。ご期待ください。
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