公爵令嬢は結婚したくない!
迷宮区への足がかり(9)
「そ、それじゃなんだい……。建物を壊した弁償はしないと? そういうことかい?」
「何を言っているのですか? 弁償をする人なら、そこにいるじゃないですか!」
私は、奴隷商人を指差しながらキッカさんの問いかけに答えを返す。
「アクアリードさん! メリッサさん! やっておしまい!」
私は二人に時代劇のごとく命令を下す。
「何を!?」
アクアリードさんは首を傾げて私に語りかけてくる。
そしてメリッサさんと言えば――。
「タイム! ――じゃなくて! 待って! 待ってください!」
私は、腰からブロードソードを抜いて気絶して座っている奴隷商人に近づいていくメリッサさんと、奴隷商人の間に立つ。
「どいてください! そいつら殺せない」
「殺したらダメです!」
「――どうしてですか? やっておしまいと言いましたよね?」
「いえ――。それは違うんです」
私は小さく溜息をつきながらメリッサさんが右手に構えているブロードソードを奪いとる。「あっ!」と、言うメリッサさんの声が聞こえてきたけど、今は気にしないことにする。
「えっとですね……、私が言ったのは……」
私は左手でブロードソードを持ったまま、右手で二人の懐を探る。
「ありました」
私は、全員に聞こえるように少し大きめの声量で言葉を紡ぐ。
そして二人の懐から取り出した袋を、その場に開ける。
「まったく! お金が入ってないです……」
二人合わせて金貨6枚ちょいで、修理費を含めると、まったく足りてない。
「これで奴隷商人とか……ん? 商人?」
さらに私は二人の懐に手を伸ばす。
うーん。
商人なら、商品取引で必ず持っていそうな物を持っていそうなものですけど……。
「お! これです!」
私は商工会議ギルド所属の身分証明書を見ていく。
二人の身分は普通の証人だけど……裏で奴隷売買をしているのだ。
その稼ぎは少なくないはず。
問題は、裏でお金を預けられる場所は極端に少ないというか、リースノット王国では存在していない。
つまり、表の商工会議ギルドにお金を預けるのが一般的なのだ。
ということは!
「ちょっと、お金を下ろしてきます!」
「ダメに決まっているだろ!」
店の外に出ようとして歩き出したところで、腰まで伸ばしている髪の毛を捕まれた。
「首がー、首がー」
「あ、すまないな」
奴隷商人たちの身分証明書で、お金を調達しようと商工会議まで急いで行こうとしたところで、髪を掴まれたこともあり首から鳴ったらいけない音が鳴った。
薄れる意識の中、必死に回復魔法で体を修復して立ち上がる。
「いま、首の骨! 絶対、折れましたから! 責任とってくださいね!」
「お前を嫁にもらえばいいのか?」
「それは……、違いますけど! お金です! 金貨174枚で許してあげます!」
「お前は、人の弱みに付け込んで話を進めることを何とも思わないのか?」
「人にされるのは嫌ですけど! 自分がする分には、今回は正当な理由ですから! 問題ありません!」
「はぁ……」
私の言葉に、グランカスさんが大きく溜息をつくと「アクア、メリッサ、この女は普通じゃないな」と、語りかけていた。
二人とも、すぐに頷いていたけど、かなり失礼な気がする。
だって、本人がここにいるのに!
「分かった。俺の全面的な負けだ。カベル海将の捜索の片手間でいい。エルノのダンジョンから出てきている魔物の調査と探索をお願いできないか?」
「まぁ、土下座して私が悪かったです。ごめんなさい、何度も面倒な手紙を送って本当にもう訳ありませんでした! ――まで言えば、受けてやってもいいですよ?」
「お前、ふざけ!」
青筋を立てていた顔が真っ赤になったグランカスさんが、暴言を吐こうとしたところで、メリッサさんやアクアリードさんに羽交い絞めにされて止められていた。
まったく、人の弱みに付け込んで話を自分の有利に進めようとするから、最後は、どうにもならなくなるんですよ。
少しは理解してもらえると助かりますね!
「何を言っているのですか? 弁償をする人なら、そこにいるじゃないですか!」
私は、奴隷商人を指差しながらキッカさんの問いかけに答えを返す。
「アクアリードさん! メリッサさん! やっておしまい!」
私は二人に時代劇のごとく命令を下す。
「何を!?」
アクアリードさんは首を傾げて私に語りかけてくる。
そしてメリッサさんと言えば――。
「タイム! ――じゃなくて! 待って! 待ってください!」
私は、腰からブロードソードを抜いて気絶して座っている奴隷商人に近づいていくメリッサさんと、奴隷商人の間に立つ。
「どいてください! そいつら殺せない」
「殺したらダメです!」
「――どうしてですか? やっておしまいと言いましたよね?」
「いえ――。それは違うんです」
私は小さく溜息をつきながらメリッサさんが右手に構えているブロードソードを奪いとる。「あっ!」と、言うメリッサさんの声が聞こえてきたけど、今は気にしないことにする。
「えっとですね……、私が言ったのは……」
私は左手でブロードソードを持ったまま、右手で二人の懐を探る。
「ありました」
私は、全員に聞こえるように少し大きめの声量で言葉を紡ぐ。
そして二人の懐から取り出した袋を、その場に開ける。
「まったく! お金が入ってないです……」
二人合わせて金貨6枚ちょいで、修理費を含めると、まったく足りてない。
「これで奴隷商人とか……ん? 商人?」
さらに私は二人の懐に手を伸ばす。
うーん。
商人なら、商品取引で必ず持っていそうな物を持っていそうなものですけど……。
「お! これです!」
私は商工会議ギルド所属の身分証明書を見ていく。
二人の身分は普通の証人だけど……裏で奴隷売買をしているのだ。
その稼ぎは少なくないはず。
問題は、裏でお金を預けられる場所は極端に少ないというか、リースノット王国では存在していない。
つまり、表の商工会議ギルドにお金を預けるのが一般的なのだ。
ということは!
「ちょっと、お金を下ろしてきます!」
「ダメに決まっているだろ!」
店の外に出ようとして歩き出したところで、腰まで伸ばしている髪の毛を捕まれた。
「首がー、首がー」
「あ、すまないな」
奴隷商人たちの身分証明書で、お金を調達しようと商工会議まで急いで行こうとしたところで、髪を掴まれたこともあり首から鳴ったらいけない音が鳴った。
薄れる意識の中、必死に回復魔法で体を修復して立ち上がる。
「いま、首の骨! 絶対、折れましたから! 責任とってくださいね!」
「お前を嫁にもらえばいいのか?」
「それは……、違いますけど! お金です! 金貨174枚で許してあげます!」
「お前は、人の弱みに付け込んで話を進めることを何とも思わないのか?」
「人にされるのは嫌ですけど! 自分がする分には、今回は正当な理由ですから! 問題ありません!」
「はぁ……」
私の言葉に、グランカスさんが大きく溜息をつくと「アクア、メリッサ、この女は普通じゃないな」と、語りかけていた。
二人とも、すぐに頷いていたけど、かなり失礼な気がする。
だって、本人がここにいるのに!
「分かった。俺の全面的な負けだ。カベル海将の捜索の片手間でいい。エルノのダンジョンから出てきている魔物の調査と探索をお願いできないか?」
「まぁ、土下座して私が悪かったです。ごめんなさい、何度も面倒な手紙を送って本当にもう訳ありませんでした! ――まで言えば、受けてやってもいいですよ?」
「お前、ふざけ!」
青筋を立てていた顔が真っ赤になったグランカスさんが、暴言を吐こうとしたところで、メリッサさんやアクアリードさんに羽交い絞めにされて止められていた。
まったく、人の弱みに付け込んで話を自分の有利に進めようとするから、最後は、どうにもならなくなるんですよ。
少しは理解してもらえると助かりますね!
コメント
ノベルバユーザー282941
なんか主人公おかしくね?