公爵令嬢は結婚したくない!
暗躍する海賊の末裔(20)
結局は、全てウラヌス公爵へ采配を投げていただけに過ぎない。
そして――。
目の前に座っているハインゼルという男が言うとおり、私は内政については、まったくの素人であり実効能力はほとんどないと言って間違いではない。
そして先ほどまでの謙った様子が嘘のように、男は私を見て「やれやれ――。どうしたものか……」と、溜息をついている。
どうやら、私の反応が彼が考えていた合格ラインに届かなかったらしい。
「ハインゼル、まがりなりにもミトンの町を纏めている代表に向かって吐いていい暴言では無いことを理解しているのか?」
レイルさんは腰に差してある刃渡り1メートル、柄が40センチほどのブロードソードを鞘から引き抜くと、ハインゼルの首元へと添えてしまう。
「レイルさん、相手は丸腰なのですから――。それに力では何も解決しません。――ですから武器を納めてください」
レイルさんの表情に感情が浮かんでなく、このままではハインゼルという男性が殺されえかねないと思い止めるとこにする。
「――ユウティーシア、正気か? こいつはお前を冒涜したんだぞ? 商人だが密偵だかは定かではないが、こいつを生かしておくことは……」
「それでも、止めてください」
私の言葉に、ハインゼルの首元に添えられていたブロードソードの切っ先が微かに揺れる。
そして、私をジッと見ていたレイルさんは、小さく溜息をつくとブロードソードを腰の鞘へと戻す。
「助かりましたよ」
「別に、助けたわけではありませんから、勘違いしないでください」
私は目の前で人が死ぬのが嫌なだけ。
だからハインゼルが礼の言葉を述べてきたけど、それはお門違いと言ったところ。
それに彼の表情を見ると分かるけど、謝意を彼は心からは示していない。
それは彼が、まったく慌てていなかったから。
「勘違いですか……まぁ、いいでしょう――」
男は一瞬、レイルさんへ視線を送ると私を見てきて。
「それでは、余計な手間をかけるのもあれですから――」
ハインゼルは、そう呟くとブラウン色の瞳で私を見ながら目を細めてる。
「エメラス・フォン・ルグニカ王女殿下をお返しいただけませんか?」
「それは、出来ませんけど?」
私は、即答で返す。
だって、彼女は私の仕事を代わりにしてくれる人だし。
さらに言えば、この国の情勢を知っている人で!
私の仕事を手伝ってくれる人として、私が楽をする上で、すごく重要な人で――。
彼女を手放すなんてありえない。
「そうですか……。それでは、こちらからいくつか条件を――」
「条件ですか?」
私の言葉にハインゼルという男は微笑みを絶やさず頷いてくる。
「貴方の言葉が信用に値するものだと、だれが信用するのですか?」
「コレを見て頂ければ分かると思います」
男は、足元に置いてあった動物の皮から作られたと思われるカバンの中から、一通の羊皮紙を取り出して私に見せてきた。
その羊皮紙は丸められてはいるが、蜜蝋できちんと封がされている。
「この印章は……」
差し出された書簡を受け取りながら、封をしている蜜蝋の印章へ目を落としながら、どこかで見たことがあると自身の記憶の糸を辿る。
「これは、スメラギを治めているイテル海爵が使っている印章だな」
横から見ていたレイルさんが、横から口を挟んできた。
「なるほど――」
レイルさんの言葉に私は相槌を打ちながら目の前に座っている男を見る。
どうやら、私の目の前に座っている男は、スメラギのトップと繋がりのある男と見て間違いないみたい。
そして――。
目の前に座っているハインゼルという男が言うとおり、私は内政については、まったくの素人であり実効能力はほとんどないと言って間違いではない。
そして先ほどまでの謙った様子が嘘のように、男は私を見て「やれやれ――。どうしたものか……」と、溜息をついている。
どうやら、私の反応が彼が考えていた合格ラインに届かなかったらしい。
「ハインゼル、まがりなりにもミトンの町を纏めている代表に向かって吐いていい暴言では無いことを理解しているのか?」
レイルさんは腰に差してある刃渡り1メートル、柄が40センチほどのブロードソードを鞘から引き抜くと、ハインゼルの首元へと添えてしまう。
「レイルさん、相手は丸腰なのですから――。それに力では何も解決しません。――ですから武器を納めてください」
レイルさんの表情に感情が浮かんでなく、このままではハインゼルという男性が殺されえかねないと思い止めるとこにする。
「――ユウティーシア、正気か? こいつはお前を冒涜したんだぞ? 商人だが密偵だかは定かではないが、こいつを生かしておくことは……」
「それでも、止めてください」
私の言葉に、ハインゼルの首元に添えられていたブロードソードの切っ先が微かに揺れる。
そして、私をジッと見ていたレイルさんは、小さく溜息をつくとブロードソードを腰の鞘へと戻す。
「助かりましたよ」
「別に、助けたわけではありませんから、勘違いしないでください」
私は目の前で人が死ぬのが嫌なだけ。
だからハインゼルが礼の言葉を述べてきたけど、それはお門違いと言ったところ。
それに彼の表情を見ると分かるけど、謝意を彼は心からは示していない。
それは彼が、まったく慌てていなかったから。
「勘違いですか……まぁ、いいでしょう――」
男は一瞬、レイルさんへ視線を送ると私を見てきて。
「それでは、余計な手間をかけるのもあれですから――」
ハインゼルは、そう呟くとブラウン色の瞳で私を見ながら目を細めてる。
「エメラス・フォン・ルグニカ王女殿下をお返しいただけませんか?」
「それは、出来ませんけど?」
私は、即答で返す。
だって、彼女は私の仕事を代わりにしてくれる人だし。
さらに言えば、この国の情勢を知っている人で!
私の仕事を手伝ってくれる人として、私が楽をする上で、すごく重要な人で――。
彼女を手放すなんてありえない。
「そうですか……。それでは、こちらからいくつか条件を――」
「条件ですか?」
私の言葉にハインゼルという男は微笑みを絶やさず頷いてくる。
「貴方の言葉が信用に値するものだと、だれが信用するのですか?」
「コレを見て頂ければ分かると思います」
男は、足元に置いてあった動物の皮から作られたと思われるカバンの中から、一通の羊皮紙を取り出して私に見せてきた。
その羊皮紙は丸められてはいるが、蜜蝋できちんと封がされている。
「この印章は……」
差し出された書簡を受け取りながら、封をしている蜜蝋の印章へ目を落としながら、どこかで見たことがあると自身の記憶の糸を辿る。
「これは、スメラギを治めているイテル海爵が使っている印章だな」
横から見ていたレイルさんが、横から口を挟んできた。
「なるほど――」
レイルさんの言葉に私は相槌を打ちながら目の前に座っている男を見る。
どうやら、私の目の前に座っている男は、スメラギのトップと繋がりのある男と見て間違いないみたい。
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