【書籍化作品】無名の最強魔法師
親類の絆(10)
「……うえええええん」
何故か知らないが、リンスタットが大人泣きを始めてしまった。
もう溜息しか出ない。
「ユウマさん! 言いすぎです!」
部屋から出てきたエリンフィートが、俺に文句を言ってきた。
「エリンフィート、お前は勘違いしているぞ? 俺としては意見を求められたから客観的事実に基づいて親とは何かを説明した後に、お前は親としては失格だ! としか言ってない!」
「……えーと、ユウマさん……それは……」
何故か知らないがエリンフィートが呆れた瞳で俺を見てきたが、そんな目で見られても俺は自分が悪いとは思っていない。
「だいたいな。人に意見を求めてきておいて、少し本当の事を言われたからって泣いていいと思っているのか? 普通ならありがとうございますだろ? まったく――」
さらに、リンスタットが「ふぇぇぇぇん」と語尾を強くして泣いている。
そんな騒動を聞きつけたのか妹を先頭にセレンやセイレス、ユリカが何事かと廊下を走ってきて――。
全員、首を傾げながら何事かと俺を見てきた。
「お兄ちゃん、どうかしたの?」
「どうかしたというか……親ってどういうものか聞かれて、お前は親として失格だ! と言ったら泣き始めただけだな」
「お兄ちゃんの言葉は時々、相手に突き刺さるから思ったことをそのまま口にしたら駄目なの! でも、そんなお兄ちゃんの言い方も私にはいいけど!」
妹が両手を頬に当てて体をくねらせている。
そんな妹の様子を見てセレンが少し引いて見ているが、きっと気のせいだろう。
そしてセイレスに至っては、黒板に「もっと! もっと言葉で攻めて!」と白いチョークで書いて俺に見せてくる。
こいつはこいつで早くなんとかしないと駄目な気がするな。
「ユウマさん、それよりも早くしないと日が沈んでしまうのでは?」
ユリカが場を冷静に見ながら突っ込みを入れてくる。
まぁ、たしかにかなり時間を無駄にしてる気がするな。
ただ、なんというか……。
エリンフィートを問い詰めた時から、何となくだが余裕があるような気がしてならないんだよな。
デジャブというか、そんな光景が時々だが頭の中を横切ったりする。
ただ、ユリカの言うとおり早く行動した方がいいだろう。
「リンスタット……さん。早くしないとリネラスを助けられませんので」
「ぐすっ――。わがりまじた」
涙声で答えながらリンスタットは、俺が差し出した手を取り立ち上がる。
まったく、メンタルが弱いやつだな……。
こいつをリネラスの深層心理世界に連れて行って大丈夫なのか甚だ疑問が残るんだが。
まぁ、いまさら疑問を議論しても仕方ないからな。
「それじゃ、行ってくる」
「お兄ちゃん、いってらっしゃい!」
妹以外は苦笑いしたまま。
俺はそんな彼女達を見ながら部屋の扉を閉める。
「エリンフィート、これからリネラスの深層心理世界に入ろうと思うんだが白色魔法石が手元にないんだが、大丈夫か?」
「――え? どうしてないんですか?」
「どうして無いと聞かれても使いきりじゃないのか?」
「待ってください! 従属神の存在力を魔石という形にした物ですよ? 増幅に利用するだけなら並の魔法師なら……何十……回でも…………」
言葉を紡ぐたびにエリンフィートの語尾の感覚が広がり声が小さくなっていく。
「あ、ああ……」
「おい、大丈夫か?」
体を震わせ始めたエリンフィートを俺は心配してみる。
こんな風に顔を真っ青にして、どうしたらいいのか分からないような表情をした彼女を見るのはエルフガーデンに来てから初めてなのかも知れない。
「なんということでしょう! ユウマさんは! 普通の! 魔法師では! 無かったですうううううううう」
エリンフィートが頭を両手で抱えると天井を見上げるようにして絶叫していた。
なんだか、良く分からないが俺の周りの女性陣は情緒不安定な奴が多いのか?
叫んだり、泣いたり、まったく意味が分からん!
何故か知らないが、リンスタットが大人泣きを始めてしまった。
もう溜息しか出ない。
「ユウマさん! 言いすぎです!」
部屋から出てきたエリンフィートが、俺に文句を言ってきた。
「エリンフィート、お前は勘違いしているぞ? 俺としては意見を求められたから客観的事実に基づいて親とは何かを説明した後に、お前は親としては失格だ! としか言ってない!」
「……えーと、ユウマさん……それは……」
何故か知らないがエリンフィートが呆れた瞳で俺を見てきたが、そんな目で見られても俺は自分が悪いとは思っていない。
「だいたいな。人に意見を求めてきておいて、少し本当の事を言われたからって泣いていいと思っているのか? 普通ならありがとうございますだろ? まったく――」
さらに、リンスタットが「ふぇぇぇぇん」と語尾を強くして泣いている。
そんな騒動を聞きつけたのか妹を先頭にセレンやセイレス、ユリカが何事かと廊下を走ってきて――。
全員、首を傾げながら何事かと俺を見てきた。
「お兄ちゃん、どうかしたの?」
「どうかしたというか……親ってどういうものか聞かれて、お前は親として失格だ! と言ったら泣き始めただけだな」
「お兄ちゃんの言葉は時々、相手に突き刺さるから思ったことをそのまま口にしたら駄目なの! でも、そんなお兄ちゃんの言い方も私にはいいけど!」
妹が両手を頬に当てて体をくねらせている。
そんな妹の様子を見てセレンが少し引いて見ているが、きっと気のせいだろう。
そしてセイレスに至っては、黒板に「もっと! もっと言葉で攻めて!」と白いチョークで書いて俺に見せてくる。
こいつはこいつで早くなんとかしないと駄目な気がするな。
「ユウマさん、それよりも早くしないと日が沈んでしまうのでは?」
ユリカが場を冷静に見ながら突っ込みを入れてくる。
まぁ、たしかにかなり時間を無駄にしてる気がするな。
ただ、なんというか……。
エリンフィートを問い詰めた時から、何となくだが余裕があるような気がしてならないんだよな。
デジャブというか、そんな光景が時々だが頭の中を横切ったりする。
ただ、ユリカの言うとおり早く行動した方がいいだろう。
「リンスタット……さん。早くしないとリネラスを助けられませんので」
「ぐすっ――。わがりまじた」
涙声で答えながらリンスタットは、俺が差し出した手を取り立ち上がる。
まったく、メンタルが弱いやつだな……。
こいつをリネラスの深層心理世界に連れて行って大丈夫なのか甚だ疑問が残るんだが。
まぁ、いまさら疑問を議論しても仕方ないからな。
「それじゃ、行ってくる」
「お兄ちゃん、いってらっしゃい!」
妹以外は苦笑いしたまま。
俺はそんな彼女達を見ながら部屋の扉を閉める。
「エリンフィート、これからリネラスの深層心理世界に入ろうと思うんだが白色魔法石が手元にないんだが、大丈夫か?」
「――え? どうしてないんですか?」
「どうして無いと聞かれても使いきりじゃないのか?」
「待ってください! 従属神の存在力を魔石という形にした物ですよ? 増幅に利用するだけなら並の魔法師なら……何十……回でも…………」
言葉を紡ぐたびにエリンフィートの語尾の感覚が広がり声が小さくなっていく。
「あ、ああ……」
「おい、大丈夫か?」
体を震わせ始めたエリンフィートを俺は心配してみる。
こんな風に顔を真っ青にして、どうしたらいいのか分からないような表情をした彼女を見るのはエルフガーデンに来てから初めてなのかも知れない。
「なんということでしょう! ユウマさんは! 普通の! 魔法師では! 無かったですうううううううう」
エリンフィートが頭を両手で抱えると天井を見上げるようにして絶叫していた。
なんだか、良く分からないが俺の周りの女性陣は情緒不安定な奴が多いのか?
叫んだり、泣いたり、まったく意味が分からん!
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