【書籍化作品】無名の最強魔法師
親類の絆(2)
「ユウマさん、それで手伝って欲しい事というのは?」
「そうだな。まずは、場所を移すとしようか? こんな建物の前で立ちながら話をしてもいい案が出るとは思えないからな」
俺とユリカの会話にリンスタットが「え? でも……」と小声で割って入ってくるが。
「リンスタットさん。リネラスは俺たちが所属する冒険者ギルドのギルドマスターであって俺たちの仲間でもあるんだ」
「――ッ!」
冒険者ギルド兼宿屋である建物入り口の右手の食堂の椅子に全員が座るのを確認した後、リネラスの深層心理世界で見た内容を一通り説明をしていき―ー。
「だいたい、こんな所だな……それにしても、やっぱりセイレスとセレンは事情を知っていたんだな?」
「うん……だって、私もお姉ちゃんもお父さんもお母さんも私が魔力が見れないからって……エルフガーデンを出てきたから」
「すまなかったな。嫌なことを思い出させて」
「ううん、本当はね……ローランに立ち寄った時に、お姉ちゃんとリネラスさんの事とエルフガーデンについて、ユウマお兄ちゃんに伝えていいか迷っていたの。でも、私達が勝手に人の過去を言うのは良くないって……」
「そうか……」
涙声で吐露してくるセレンの言葉を聞きながら、俺は表面上しか仲間を見ていなかったことに。
内面を見ていなかったことに。
自分を殴りたくなる。
エメラダが、俺の事を内面を見てくれたのにと褒めていたが、それはとんでもない誤解だ。
俺は、俺の見たいものしか見ていなかった。
そう思ってしまう。
自嘲気味に「まったく……」と、呟きかけたところで「ユウマさん!」と、サマラが建物に駆け込んできた。
その慌てぶりと表情を見るに、何か問題が起きたのがわかる。
「どうした?」
「それが! 斥候からの報告でエルブンガストの入り口に向けて大軍が向かってきていると報告が!」
「大軍?」
「はい、旗から見てユリーシャ姫が率いる軍と、エルンペイア率いる軍らしく――」
「どういうことだ? 二つの軍隊が同時に、同時期にエルヴンガストに向かってくるなんて――」
「分かりませんが、報告では数日でエルヴンガストの渓谷を抜けると――」
「まったく、次から次へと……タイミングがよすぎるだろ」
エルヴンガストにエルフガーデンの樹木や魔物が根こそぎ全滅してる状態での軍隊の動員に侵攻。
まるで、こちらの動きが筒抜けになっているような……。
「サマラ、エルフガーデンには国の軍隊は攻められないんじゃないのか? いや、待てよ……」
ウラヌス十字軍が関与してるとなれば、話は変わってくる。
第一、ウラヌス教国の従属神がすでにこちらに悪意ある行動をとってきた。
つまり……。
「なるほど……ウラヌス十字軍とこの国の反乱軍と王族は繋がっているのかもしれないな……」
「どういうことですか?」
「まぁ、あれだ……アリア!」
俺に話しかけられたアリアは瞳を輝かせて俺を見てくる。
何やら興奮な面持ちを感じさせるが--。
「何? お兄ちゃん? 戦争? ぶっ殺すの? 殺っちゃうの?」
「いや、そうじゃなくて……スライムで足止めとか出来ないか?」
「出来るけど……別に……アレを倒してしまってもかまわないんでしょう?」
「いや、かまうから。本当にやりそうだから困るから」
「えー……」
「えーじゃないからな。相手がこちらをどのくらい知っているのかを確認したいから殲滅するのはやめてくれ」
「うー、わかったー……」
妹は、小さく縮小して頭の上に乗っていたスライムを手のひらに載せると何やら話しかけて始めた。
内容に殲滅という言葉が含まれていた気がしたが、まあ、気のせいだろう。
「サマラ、エルフガーデンのエルフに国の軍隊が攻めてくる可能性があることを説明しておいてくれ」
「わかりました」
サマラが建物入り口から出ていったあと、しばらくして話が終わったのか「それじゃ、スラちゃん! 任せたの!」という妹の言葉に答えたかのようにスライムも建物から出ていく。
そんな様子に少し不安になってしまったが……。
まぁ、いまはこれで良しとしておこう。
「あ! そういえばイノンは一人で森に……軍隊が向かってきているなら一人で行動するのは不味いんじゃないのか?」
俺の言葉に全員が「あ!」という顔を見せた。
「そうだな。まずは、場所を移すとしようか? こんな建物の前で立ちながら話をしてもいい案が出るとは思えないからな」
俺とユリカの会話にリンスタットが「え? でも……」と小声で割って入ってくるが。
「リンスタットさん。リネラスは俺たちが所属する冒険者ギルドのギルドマスターであって俺たちの仲間でもあるんだ」
「――ッ!」
冒険者ギルド兼宿屋である建物入り口の右手の食堂の椅子に全員が座るのを確認した後、リネラスの深層心理世界で見た内容を一通り説明をしていき―ー。
「だいたい、こんな所だな……それにしても、やっぱりセイレスとセレンは事情を知っていたんだな?」
「うん……だって、私もお姉ちゃんもお父さんもお母さんも私が魔力が見れないからって……エルフガーデンを出てきたから」
「すまなかったな。嫌なことを思い出させて」
「ううん、本当はね……ローランに立ち寄った時に、お姉ちゃんとリネラスさんの事とエルフガーデンについて、ユウマお兄ちゃんに伝えていいか迷っていたの。でも、私達が勝手に人の過去を言うのは良くないって……」
「そうか……」
涙声で吐露してくるセレンの言葉を聞きながら、俺は表面上しか仲間を見ていなかったことに。
内面を見ていなかったことに。
自分を殴りたくなる。
エメラダが、俺の事を内面を見てくれたのにと褒めていたが、それはとんでもない誤解だ。
俺は、俺の見たいものしか見ていなかった。
そう思ってしまう。
自嘲気味に「まったく……」と、呟きかけたところで「ユウマさん!」と、サマラが建物に駆け込んできた。
その慌てぶりと表情を見るに、何か問題が起きたのがわかる。
「どうした?」
「それが! 斥候からの報告でエルブンガストの入り口に向けて大軍が向かってきていると報告が!」
「大軍?」
「はい、旗から見てユリーシャ姫が率いる軍と、エルンペイア率いる軍らしく――」
「どういうことだ? 二つの軍隊が同時に、同時期にエルヴンガストに向かってくるなんて――」
「分かりませんが、報告では数日でエルヴンガストの渓谷を抜けると――」
「まったく、次から次へと……タイミングがよすぎるだろ」
エルヴンガストにエルフガーデンの樹木や魔物が根こそぎ全滅してる状態での軍隊の動員に侵攻。
まるで、こちらの動きが筒抜けになっているような……。
「サマラ、エルフガーデンには国の軍隊は攻められないんじゃないのか? いや、待てよ……」
ウラヌス十字軍が関与してるとなれば、話は変わってくる。
第一、ウラヌス教国の従属神がすでにこちらに悪意ある行動をとってきた。
つまり……。
「なるほど……ウラヌス十字軍とこの国の反乱軍と王族は繋がっているのかもしれないな……」
「どういうことですか?」
「まぁ、あれだ……アリア!」
俺に話しかけられたアリアは瞳を輝かせて俺を見てくる。
何やら興奮な面持ちを感じさせるが--。
「何? お兄ちゃん? 戦争? ぶっ殺すの? 殺っちゃうの?」
「いや、そうじゃなくて……スライムで足止めとか出来ないか?」
「出来るけど……別に……アレを倒してしまってもかまわないんでしょう?」
「いや、かまうから。本当にやりそうだから困るから」
「えー……」
「えーじゃないからな。相手がこちらをどのくらい知っているのかを確認したいから殲滅するのはやめてくれ」
「うー、わかったー……」
妹は、小さく縮小して頭の上に乗っていたスライムを手のひらに載せると何やら話しかけて始めた。
内容に殲滅という言葉が含まれていた気がしたが、まあ、気のせいだろう。
「サマラ、エルフガーデンのエルフに国の軍隊が攻めてくる可能性があることを説明しておいてくれ」
「わかりました」
サマラが建物入り口から出ていったあと、しばらくして話が終わったのか「それじゃ、スラちゃん! 任せたの!」という妹の言葉に答えたかのようにスライムも建物から出ていく。
そんな様子に少し不安になってしまったが……。
まぁ、いまはこれで良しとしておこう。
「あ! そういえばイノンは一人で森に……軍隊が向かってきているなら一人で行動するのは不味いんじゃないのか?」
俺の言葉に全員が「あ!」という顔を見せた。
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