【書籍化作品】無名の最強魔法師
海の港町カレイドスコープの再建!(後編)
俺は、リネラスに走って近づいて他の人間に気付かれないように音量を絞って話す事にする。
「おい、お前が冒険者ギルドマスターって知られたらマズイだろ。ユゼウ王国からギルドマスターは目の仇にされているんだから」
「たしかにユウマの言う通りかもしれない! でも! 仕事がない冒険者ギルドは……大変なの! 特に私の場合は仕事をこなさないと給料が入ってこないの! 背に腹は代えられないわ!」
「お、おう……」
町の人のためじゃなくて、あくまでも自分の為なんだな……。
さすがリネラス、ブレないな。
クルド公爵邸の時みたいに、謝罪されまくるのは困るが……こんなリネラスも困るな。
特に扱いに……。
「それよりも、私が気になっているのはカレイドスコープを魔物が襲ったことね!」
「ああ、それは俺も気にはなっていた。あんなのは良くあることなのか?」
「あるわけないでしょう? ユウマが海神を倒したら魔物が攻めてきたと思うのが妥当な所ね」
リネラスは、顎に手を宛てて探偵のように考察して自分の意見を自身ありありに語っている。
まぁ、成長が著しく貧相な体で胸を張られて推論を語られても悲しくなるだけだから止めてほしいが。
「そうなると、今回の原因は全て俺にあるのか……」
「そうよ、ユウマが海神を呼んで倒したからカレイドスコープは壊滅したんだから反省してよね! あとは冒険者ギルドで町の復興に力を貸せば信頼も上がるしお金も入ってくるわね!」
「いやいや、俺のせいで町が壊滅したのに、復興の手伝いと称してお金を取ったらさすがにマッチポンプすぎるだろ!」
俺の言葉にリネラスが首を傾げてくる。
「ユウマ、良く聞いてね! 人が動けばお金が動く。お金が動けば経済が動いて皆が幸せになるの。つまり正当な対価をもらう事は悪ではないの!」
なんだ……その理論武装。
突っ込みどころが多すぎて、どうしたらいいか分からないぞ?
「それにしてもすごいわね! まさか町を一撃で壊滅させる程の津波を操る魔物がいるなんて……そんな魔物が海の迷宮にいるなんて、これは一刻の猶予も無いかも?」
リネラスは、俺の目を見ながら語りかけてきた。
俺もリネラスの言葉に頷く。
「ああ、やつは色々やばかった……」
特に体が脆すぎて、おかげで町が壊滅してしまった。
マジで水竜雑魚すぎてやばかった。
「それでね……ユウマ」
「どうした?」
リネラスが俺に近づいてきて見上げてくる。
その目が何故か俺の事を疑っている目に見えてしまう。
いけないな……最近の俺は誰かを疑うような思考ばかりするようになってしまっている。
「今回の津波って、本当に魔物が起こしたの?」
「あ……当たり前ダロー。俺がそんな事をするとでも? おいおい、冗談は顔だけにしてくれよな? 俺がそんな非常識な事をするとでも? 魔法の威力を間違えて水竜を倒したらその余波で津波が起きて町が壊滅したから、その行為を誰にも知られたくないからって魔物のせいにしているとでも? やれやれ……俺も仲間にそんな風に思われ……やめろー首を揺らすなあ」
リネラスが俺の話の途中から、あろうことか首を締めながら揺らしてくる。
その形相は怒りに満ち満ちている。
「ユウマ、アンタ馬鹿なの? 馬鹿なのよね? 馬鹿だから町一つ壊滅させておいてそんなに平然としているのよね? アンタが町を破壊しておいてお金を取ったらそれこそ大問題じゃないの! もう! せっかく稼げたはずなのに――はぁー……」
リネラスは盛大に溜息をつき肩を落とすと、俺から離れアレフに近づき交渉を始めた。
「本当でございますか! 全て無料で!? 冒険者ギルドの方が?」
「ええ、さすがに冒険者ギルドでも……さすがに住まいを失っている人や、畑が使い物にならなくなっている人からお金は取れないわ」
「おお! 私は冒険者ギルドを誤解していたようです! まさか……守銭奴だと思っていた冒険者ギルドの方が、人の身を案じて無料で依頼を受けてくれるとは!」
アレフのあまりの言い分にリネラスが額に青筋を作って笑っているが、その目は笑っておらずに俺を見ていた。
そんなに見られると、全て俺が悪いように感じてしまうのは気のせいだろうか?
「ユウマ!」
リネラスが俺の事を呼んで来る。
俺が近くづくとリネラスは、「ユウマ、仕事内容が決まったわ。とりあえず、どんな魔法が使えるか教えてもらえない?」と、聞いて来た。
俺は仕方なく農地関係や建物建築の魔法が得意だと説明すると、貴方は本当に魔法師なの?という突っ込みをされた。
誠に遺憾である。
まぁそれはともかく、俺とリネラスは、カレイドスコープの食料を支えている畑の前に来ている。
「それじゃユウマは、畑にしみ込んだ塩をまず全部取り除いてね!」
「どうして俺が、そんな面倒な事をしないといけな……あ、はい! やります」
俺はリネラスに睨まれてしぶしぶ畑にしみ込んだ塩、ナトリウムの原子構成を窒素とカリウムに変換した。
その時間はわずか30秒。
様子を見ていたリネラスは目を見開いて驚いていたが、このくらいは俺にとっては序の口に過ぎない。
いいだろう、俺の本当の都市計画魔法の力を見せてやるとしようか!
こうして俺の孤独な戦いは始まった。
上下水道設備を作り、地殻を変換させ地下水の通り道を作り井戸掘りまくり町の道を全て石畳からアスファルトに変換させ、地熱を通らせることで大浴場まで作りだす。
そして町の建物にも耐震技術を持たせ2時間後には海の港町カレイドスコープは完全に復興した。
「ふ……さすが俺だな。自分の才能が怖いな……」
「元を辿ればユウマ自身が起こした問題を自分で解決しただけだけどね、それより少しは自重しなさいよ! なんなのよ! この街並みは!?」
リネラスが町の至る処に流れる澄んだ地下水を指差して何か言ってくるが、そんな事は俺の知った事ではないな。
リネラスは町を直せと俺に遠まわしに言っただけであって自重しろとは一言も言っていないからな!
「まぁ、そんなに怒るなよ! 町の人からは好評なんだからさ。 それに俺のおかげで、海の港町冒険者ギルドの建物建築が始まったんだからさ!」
「う、うん……なんだからとても複雑な気分なんだけど……」
煮え切らない態度をリネラス見せてくる。
まったく少しくらい俺に感謝しても罰は当たらないだろうに。
俺にだけいつも風当たりが強い世知辛い世の中だな。
「おい、お前が冒険者ギルドマスターって知られたらマズイだろ。ユゼウ王国からギルドマスターは目の仇にされているんだから」
「たしかにユウマの言う通りかもしれない! でも! 仕事がない冒険者ギルドは……大変なの! 特に私の場合は仕事をこなさないと給料が入ってこないの! 背に腹は代えられないわ!」
「お、おう……」
町の人のためじゃなくて、あくまでも自分の為なんだな……。
さすがリネラス、ブレないな。
クルド公爵邸の時みたいに、謝罪されまくるのは困るが……こんなリネラスも困るな。
特に扱いに……。
「それよりも、私が気になっているのはカレイドスコープを魔物が襲ったことね!」
「ああ、それは俺も気にはなっていた。あんなのは良くあることなのか?」
「あるわけないでしょう? ユウマが海神を倒したら魔物が攻めてきたと思うのが妥当な所ね」
リネラスは、顎に手を宛てて探偵のように考察して自分の意見を自身ありありに語っている。
まぁ、成長が著しく貧相な体で胸を張られて推論を語られても悲しくなるだけだから止めてほしいが。
「そうなると、今回の原因は全て俺にあるのか……」
「そうよ、ユウマが海神を呼んで倒したからカレイドスコープは壊滅したんだから反省してよね! あとは冒険者ギルドで町の復興に力を貸せば信頼も上がるしお金も入ってくるわね!」
「いやいや、俺のせいで町が壊滅したのに、復興の手伝いと称してお金を取ったらさすがにマッチポンプすぎるだろ!」
俺の言葉にリネラスが首を傾げてくる。
「ユウマ、良く聞いてね! 人が動けばお金が動く。お金が動けば経済が動いて皆が幸せになるの。つまり正当な対価をもらう事は悪ではないの!」
なんだ……その理論武装。
突っ込みどころが多すぎて、どうしたらいいか分からないぞ?
「それにしてもすごいわね! まさか町を一撃で壊滅させる程の津波を操る魔物がいるなんて……そんな魔物が海の迷宮にいるなんて、これは一刻の猶予も無いかも?」
リネラスは、俺の目を見ながら語りかけてきた。
俺もリネラスの言葉に頷く。
「ああ、やつは色々やばかった……」
特に体が脆すぎて、おかげで町が壊滅してしまった。
マジで水竜雑魚すぎてやばかった。
「それでね……ユウマ」
「どうした?」
リネラスが俺に近づいてきて見上げてくる。
その目が何故か俺の事を疑っている目に見えてしまう。
いけないな……最近の俺は誰かを疑うような思考ばかりするようになってしまっている。
「今回の津波って、本当に魔物が起こしたの?」
「あ……当たり前ダロー。俺がそんな事をするとでも? おいおい、冗談は顔だけにしてくれよな? 俺がそんな非常識な事をするとでも? 魔法の威力を間違えて水竜を倒したらその余波で津波が起きて町が壊滅したから、その行為を誰にも知られたくないからって魔物のせいにしているとでも? やれやれ……俺も仲間にそんな風に思われ……やめろー首を揺らすなあ」
リネラスが俺の話の途中から、あろうことか首を締めながら揺らしてくる。
その形相は怒りに満ち満ちている。
「ユウマ、アンタ馬鹿なの? 馬鹿なのよね? 馬鹿だから町一つ壊滅させておいてそんなに平然としているのよね? アンタが町を破壊しておいてお金を取ったらそれこそ大問題じゃないの! もう! せっかく稼げたはずなのに――はぁー……」
リネラスは盛大に溜息をつき肩を落とすと、俺から離れアレフに近づき交渉を始めた。
「本当でございますか! 全て無料で!? 冒険者ギルドの方が?」
「ええ、さすがに冒険者ギルドでも……さすがに住まいを失っている人や、畑が使い物にならなくなっている人からお金は取れないわ」
「おお! 私は冒険者ギルドを誤解していたようです! まさか……守銭奴だと思っていた冒険者ギルドの方が、人の身を案じて無料で依頼を受けてくれるとは!」
アレフのあまりの言い分にリネラスが額に青筋を作って笑っているが、その目は笑っておらずに俺を見ていた。
そんなに見られると、全て俺が悪いように感じてしまうのは気のせいだろうか?
「ユウマ!」
リネラスが俺の事を呼んで来る。
俺が近くづくとリネラスは、「ユウマ、仕事内容が決まったわ。とりあえず、どんな魔法が使えるか教えてもらえない?」と、聞いて来た。
俺は仕方なく農地関係や建物建築の魔法が得意だと説明すると、貴方は本当に魔法師なの?という突っ込みをされた。
誠に遺憾である。
まぁそれはともかく、俺とリネラスは、カレイドスコープの食料を支えている畑の前に来ている。
「それじゃユウマは、畑にしみ込んだ塩をまず全部取り除いてね!」
「どうして俺が、そんな面倒な事をしないといけな……あ、はい! やります」
俺はリネラスに睨まれてしぶしぶ畑にしみ込んだ塩、ナトリウムの原子構成を窒素とカリウムに変換した。
その時間はわずか30秒。
様子を見ていたリネラスは目を見開いて驚いていたが、このくらいは俺にとっては序の口に過ぎない。
いいだろう、俺の本当の都市計画魔法の力を見せてやるとしようか!
こうして俺の孤独な戦いは始まった。
上下水道設備を作り、地殻を変換させ地下水の通り道を作り井戸掘りまくり町の道を全て石畳からアスファルトに変換させ、地熱を通らせることで大浴場まで作りだす。
そして町の建物にも耐震技術を持たせ2時間後には海の港町カレイドスコープは完全に復興した。
「ふ……さすが俺だな。自分の才能が怖いな……」
「元を辿ればユウマ自身が起こした問題を自分で解決しただけだけどね、それより少しは自重しなさいよ! なんなのよ! この街並みは!?」
リネラスが町の至る処に流れる澄んだ地下水を指差して何か言ってくるが、そんな事は俺の知った事ではないな。
リネラスは町を直せと俺に遠まわしに言っただけであって自重しろとは一言も言っていないからな!
「まぁ、そんなに怒るなよ! 町の人からは好評なんだからさ。 それに俺のおかげで、海の港町冒険者ギルドの建物建築が始まったんだからさ!」
「う、うん……なんだからとても複雑な気分なんだけど……」
煮え切らない態度をリネラス見せてくる。
まったく少しくらい俺に感謝しても罰は当たらないだろうに。
俺にだけいつも風当たりが強い世知辛い世の中だな。
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