【書籍化作品】無名の最強魔法師
無名の最強魔法師
ネイルド公爵軍を撤退させてから、俺は寝込んでいた。
ここ数日間いつも魔力が抜けている気がしていると思ったら、俺は風邪をひいていた。
俺は、魔法で氷を作り頭を冷やしながら寝ている。
宿屋の客である俺の身を案じているのかどうかは知らないが、最近はイノンがちょくちょく部屋に顔を出すようになった。
部屋を訪れては、リンゴの皮を剥いて食べさせようと差し出してきたり、リゾットを作って甲斐甲斐しく世話をしてくる。
そして、その合間を縫うようにリネラスが部屋を訪れて居座って話しかけてくる。
リネラスが持ってくるのは、怪しさ満点の丸い丸薬のような物であった。
何でも飲むと一カ月くらいは寝たくならないくらい元気になるらしい。
どう見ても、どう説明を聞いてもあやしかったので手に取るとリネラスの口に詰めたらそのまま気絶していた。
そして薬の効果かどうかは知らないが、リネラスは寝ずに俺に話しかけてくる。
正直ゆっくり寝たいからさっさと出ていってほしい物なのだが。
一度、出ていけ!寝るのに邪魔だと言ったら『高ランクの冒険者は、ギルドに貢献してもらっていますので様子を見にくるのは当たり前です』とか言い返してきた。
きっと暇なんだろうな。
それに目の形が円マークになっていたから、きっと嘘なんだろう。
――そして寝込んでから5日後、俺の体は完治した。
「ふむ、やっぱり体がだるいな」
ずっと寝ていたこともあり体の節々がだるい。
屈伸しながら体の状態をチェックしていくが、とくにおかしな所は見受けられない。
下着の上から洋服を着て部屋を出て宿屋を出るためにカウンターの前を通り過ぎようとすると。
「ユウマさん! もうお身体は、大丈夫なんですか?」
イノンが心配そうな表情で、俺の事を見つめてくる。
「ああ、大丈夫だ。心配をかけたな、少し冒険者ギルドに行ってくる」
「えっと、ユウマさん。ユウマさんと、リネラスさんはどういう関係なんですか?」
どんな関係か……。
派遣元の社員と派遣社員の関係に近いのか?
「雇用主と従業員って関係だな。それがどうかしたのか?」
「よかった……」
何故か、イノンが胸元に手を当ててホッとしている。
「何かあったのか?」
「――い、いいえ!何でもないんです。少し気になっただけで……」
なんだかイノンの様子がおかしいな。
風邪でも移ったか? 
「イノン、俺の風邪が移ったならすぐに言えよ。何か必要な物があれば買ってきてやるからな」
イノンは、俺が風邪を患っているときに色々と面倒を見てくれたのだ。
こちらもそれなりの事で返さないとな。
「リネラスいるか!」
俺は、『冒険者が集う場所フェンデイカ支部』と書かれた看板を見た後に、冒険者ギルド内に入ると冒険者ギルドの中はやけに綺麗になっていた。
「あ、ユウマ。おかえり」
リネラスが書類を整理しながら俺に語りかけてきた。
「おかえりじゃないんだがな。それにしても、ずいぶんと小奇麗にしてあるな。何かあるのか?」
俺の言葉にリネラスが頷く。
「これ、ユウマが欲しがっている情報」
俺は、差し出されてきた一枚の用紙を受け取る。
そこにはユゼウ王国解放軍が決起したことが書かれていた。
内容は、ユゼウ王国第一王女ユリーシャ・ド・ユゼウが圧制を敷くエルンペイア・ド・ユゼウから国を奪還する為に兵を挙げたと言う内容であった。
そして、俺に大軍を指し向けてきたエイゼン・フォン・ネレイドは何者かに暗殺されていたと書かれている。
「ユウマ、話によるとね。ネイルド公爵を殺したのは、ゼノンと言う騎士らしいよ? あと怪力無双のラグルドと魔法師殺しのヴァルドは解放軍に所属している魔法師が殺したって噂になっているみたい」
「そうか、その解放軍の魔法師は相当強そうだな?」
「うん、素性も名前も明かされてないから無名の最強魔法師って言われて恐れられているみたい。ネレイド公爵家の寄り子の貴族なんて、全部ユリーシャ様に降って2万以上の大軍勢になっているんだって。おかけでネイレド公爵領は圧制から解放された! って人々は喜んでいるけどね」
リネラスはそう言いながらもあまり嬉しそうな顔をしていない。
「ユリーシャは何かあるのか?」
「う……うん。でも、ユウマには関係ないけどでも……ユウマは気にしなくていいよ!」
「気にするなと言われてもな……戦力を充実させるために俺に打診がある可能性があるだろ?」
「可能性はないとは言えないけど……すぐにはユウマの情報が漏れる事はないと思う。だって、殆どの冒険者ギルドは営業してないから! 高ランク冒険者になったばかりのユウマの情報なんて仕入れられないから! まぁ見つかったらユゼウ王国内に残っている唯一エルンペイア派に属してないSランク冒険者だから絶対誘われると思う。でも、ユウマはそういうのは嫌いでしょう?」
「ああ――俺は俺のために生きているからな。それに国政になんて興味はない」
俺は、リネラスの言葉に答えながら冒険者ギルドの掲示板に視線を向ける。
そこには新たなる依頼書がない。
これでは俺の魔王としての名声が上がらないな。
魔王としての名声が上がらないと、ウラヌス十字軍の視線がアライ村に向く可能性が高くなる。
そろそろ別の村か町に移動する必要性があるかもしれないな。
丁度、ネイルド公爵関係も終わったことだし。
そこまで考えたところで――。
「……よいしょっと!」
リネラスが掛け声と共に大きなカバンをカウンターの上に置いている。
「ところでお前は何をしているんだ?」
俺の言葉にリネラスは頭を傾げる。
「だってユウマが行く所は、エルンペイアが支配している領域でしょう? そしたら冒険者ギルド潰れているかも知れないから依頼が受けられないと仕事にならないでしょう? ユウマも何か目的があって行動しているように見えるし……それに私が一緒に行動すればお得だよ? 冒険者ギルドが無くても私が冒険者ギルドだから! 依頼受けられるし、お金も引き落とせるし、お金を預けられるよ? それに旅にはお金が必要でしょう?」
ふむ、たしかにリネラスの言葉にも一理あるな。
仕方ない、俺の目的のためにもコイツには同行してもらうとするか。
それに移動するギルドってのも、どこでも依頼が受けられるからいいかも知れないからな。
「分かった。それじゃよろしく頼む、まずはどこから行くんだ?」
「そうね、港町カレイドスコープにいきましょう」
「ふむ、港町か」
そういえば、魚介類関係とか全然食ってないな。
「うん、それにカレイドスコープは、金額が高い依頼書が昔からよく出てたから歩合じゃなくてユウマの給料にもいいんだよ!」
「いや、別に金には困ってないんだが……まぁ、それなら行ってみるか。それと村の出口でしばらく待っていてくれないか? イノンに宿屋を解約することを伝えてくる。 一応一言伝えておかないとまずいからな。宿屋なんだから帰ってこない客のためにいつまでも部屋を取っておくのは迷惑がかかるともうし」
「あ! 宿屋の解約? それなら私が言っておくから! ユウマは村の出口で待っていてくれればいいよ!」
ふむ、そこまで言うなら任せるとするか……。
「分かった。先に村の出口で待っている」
俺が、そう告げるとリネラスは頷いてくる。
そして、俺は冒険者ギルドを出てから村の出口でリネラスを待っているとリネラスとイノンの2人が近づいてきた。
「どうしてイノンがここにいるんだ? 見送りか?」
俺の言葉にリネラスが目線を逸らす。
「えっとユウマさん!私、まだ恩返ししてないので……旅の間のお手伝いでもしようかと思いまして……」
「ん? もう十分果たしてもらったから気にする事はないぞ? それにイノンは、無くなった両親から受け継いだ宿屋があるだろう? 維持もあるんだから俺に着いて来たら不味くないか?」
俺の言葉にリネラスは溜息をつく。
「相変わらずのユウマだね。 イノン、ほら言ったとおりでしょう?」
「はい……ユウマさん! 宿屋の事なら問題ありません! きちんとしていますから!」
「それなら、良いんだが……あまり、無理はするなよ? それと港町カレイドスコープまでで十分だからな?」
「はい!わかりました」
さっそく旅の同行者が3人になってしまったな。
まったく面倒な事になったものだ。
とりあえず目的地は海産物が食えるとい言う『海の港町カレイドスコープ』だな。
ここ数日間いつも魔力が抜けている気がしていると思ったら、俺は風邪をひいていた。
俺は、魔法で氷を作り頭を冷やしながら寝ている。
宿屋の客である俺の身を案じているのかどうかは知らないが、最近はイノンがちょくちょく部屋に顔を出すようになった。
部屋を訪れては、リンゴの皮を剥いて食べさせようと差し出してきたり、リゾットを作って甲斐甲斐しく世話をしてくる。
そして、その合間を縫うようにリネラスが部屋を訪れて居座って話しかけてくる。
リネラスが持ってくるのは、怪しさ満点の丸い丸薬のような物であった。
何でも飲むと一カ月くらいは寝たくならないくらい元気になるらしい。
どう見ても、どう説明を聞いてもあやしかったので手に取るとリネラスの口に詰めたらそのまま気絶していた。
そして薬の効果かどうかは知らないが、リネラスは寝ずに俺に話しかけてくる。
正直ゆっくり寝たいからさっさと出ていってほしい物なのだが。
一度、出ていけ!寝るのに邪魔だと言ったら『高ランクの冒険者は、ギルドに貢献してもらっていますので様子を見にくるのは当たり前です』とか言い返してきた。
きっと暇なんだろうな。
それに目の形が円マークになっていたから、きっと嘘なんだろう。
――そして寝込んでから5日後、俺の体は完治した。
「ふむ、やっぱり体がだるいな」
ずっと寝ていたこともあり体の節々がだるい。
屈伸しながら体の状態をチェックしていくが、とくにおかしな所は見受けられない。
下着の上から洋服を着て部屋を出て宿屋を出るためにカウンターの前を通り過ぎようとすると。
「ユウマさん! もうお身体は、大丈夫なんですか?」
イノンが心配そうな表情で、俺の事を見つめてくる。
「ああ、大丈夫だ。心配をかけたな、少し冒険者ギルドに行ってくる」
「えっと、ユウマさん。ユウマさんと、リネラスさんはどういう関係なんですか?」
どんな関係か……。
派遣元の社員と派遣社員の関係に近いのか?
「雇用主と従業員って関係だな。それがどうかしたのか?」
「よかった……」
何故か、イノンが胸元に手を当ててホッとしている。
「何かあったのか?」
「――い、いいえ!何でもないんです。少し気になっただけで……」
なんだかイノンの様子がおかしいな。
風邪でも移ったか? 
「イノン、俺の風邪が移ったならすぐに言えよ。何か必要な物があれば買ってきてやるからな」
イノンは、俺が風邪を患っているときに色々と面倒を見てくれたのだ。
こちらもそれなりの事で返さないとな。
「リネラスいるか!」
俺は、『冒険者が集う場所フェンデイカ支部』と書かれた看板を見た後に、冒険者ギルド内に入ると冒険者ギルドの中はやけに綺麗になっていた。
「あ、ユウマ。おかえり」
リネラスが書類を整理しながら俺に語りかけてきた。
「おかえりじゃないんだがな。それにしても、ずいぶんと小奇麗にしてあるな。何かあるのか?」
俺の言葉にリネラスが頷く。
「これ、ユウマが欲しがっている情報」
俺は、差し出されてきた一枚の用紙を受け取る。
そこにはユゼウ王国解放軍が決起したことが書かれていた。
内容は、ユゼウ王国第一王女ユリーシャ・ド・ユゼウが圧制を敷くエルンペイア・ド・ユゼウから国を奪還する為に兵を挙げたと言う内容であった。
そして、俺に大軍を指し向けてきたエイゼン・フォン・ネレイドは何者かに暗殺されていたと書かれている。
「ユウマ、話によるとね。ネイルド公爵を殺したのは、ゼノンと言う騎士らしいよ? あと怪力無双のラグルドと魔法師殺しのヴァルドは解放軍に所属している魔法師が殺したって噂になっているみたい」
「そうか、その解放軍の魔法師は相当強そうだな?」
「うん、素性も名前も明かされてないから無名の最強魔法師って言われて恐れられているみたい。ネレイド公爵家の寄り子の貴族なんて、全部ユリーシャ様に降って2万以上の大軍勢になっているんだって。おかけでネイレド公爵領は圧制から解放された! って人々は喜んでいるけどね」
リネラスはそう言いながらもあまり嬉しそうな顔をしていない。
「ユリーシャは何かあるのか?」
「う……うん。でも、ユウマには関係ないけどでも……ユウマは気にしなくていいよ!」
「気にするなと言われてもな……戦力を充実させるために俺に打診がある可能性があるだろ?」
「可能性はないとは言えないけど……すぐにはユウマの情報が漏れる事はないと思う。だって、殆どの冒険者ギルドは営業してないから! 高ランク冒険者になったばかりのユウマの情報なんて仕入れられないから! まぁ見つかったらユゼウ王国内に残っている唯一エルンペイア派に属してないSランク冒険者だから絶対誘われると思う。でも、ユウマはそういうのは嫌いでしょう?」
「ああ――俺は俺のために生きているからな。それに国政になんて興味はない」
俺は、リネラスの言葉に答えながら冒険者ギルドの掲示板に視線を向ける。
そこには新たなる依頼書がない。
これでは俺の魔王としての名声が上がらないな。
魔王としての名声が上がらないと、ウラヌス十字軍の視線がアライ村に向く可能性が高くなる。
そろそろ別の村か町に移動する必要性があるかもしれないな。
丁度、ネイルド公爵関係も終わったことだし。
そこまで考えたところで――。
「……よいしょっと!」
リネラスが掛け声と共に大きなカバンをカウンターの上に置いている。
「ところでお前は何をしているんだ?」
俺の言葉にリネラスは頭を傾げる。
「だってユウマが行く所は、エルンペイアが支配している領域でしょう? そしたら冒険者ギルド潰れているかも知れないから依頼が受けられないと仕事にならないでしょう? ユウマも何か目的があって行動しているように見えるし……それに私が一緒に行動すればお得だよ? 冒険者ギルドが無くても私が冒険者ギルドだから! 依頼受けられるし、お金も引き落とせるし、お金を預けられるよ? それに旅にはお金が必要でしょう?」
ふむ、たしかにリネラスの言葉にも一理あるな。
仕方ない、俺の目的のためにもコイツには同行してもらうとするか。
それに移動するギルドってのも、どこでも依頼が受けられるからいいかも知れないからな。
「分かった。それじゃよろしく頼む、まずはどこから行くんだ?」
「そうね、港町カレイドスコープにいきましょう」
「ふむ、港町か」
そういえば、魚介類関係とか全然食ってないな。
「うん、それにカレイドスコープは、金額が高い依頼書が昔からよく出てたから歩合じゃなくてユウマの給料にもいいんだよ!」
「いや、別に金には困ってないんだが……まぁ、それなら行ってみるか。それと村の出口でしばらく待っていてくれないか? イノンに宿屋を解約することを伝えてくる。 一応一言伝えておかないとまずいからな。宿屋なんだから帰ってこない客のためにいつまでも部屋を取っておくのは迷惑がかかるともうし」
「あ! 宿屋の解約? それなら私が言っておくから! ユウマは村の出口で待っていてくれればいいよ!」
ふむ、そこまで言うなら任せるとするか……。
「分かった。先に村の出口で待っている」
俺が、そう告げるとリネラスは頷いてくる。
そして、俺は冒険者ギルドを出てから村の出口でリネラスを待っているとリネラスとイノンの2人が近づいてきた。
「どうしてイノンがここにいるんだ? 見送りか?」
俺の言葉にリネラスが目線を逸らす。
「えっとユウマさん!私、まだ恩返ししてないので……旅の間のお手伝いでもしようかと思いまして……」
「ん? もう十分果たしてもらったから気にする事はないぞ? それにイノンは、無くなった両親から受け継いだ宿屋があるだろう? 維持もあるんだから俺に着いて来たら不味くないか?」
俺の言葉にリネラスは溜息をつく。
「相変わらずのユウマだね。 イノン、ほら言ったとおりでしょう?」
「はい……ユウマさん! 宿屋の事なら問題ありません! きちんとしていますから!」
「それなら、良いんだが……あまり、無理はするなよ? それと港町カレイドスコープまでで十分だからな?」
「はい!わかりました」
さっそく旅の同行者が3人になってしまったな。
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コメント
ノベルバユーザー333169
両手に華♪オイラなら手を出しちゃうかもな(笑)←絶対出すだろ!
ノベルバユーザー322977
港町カレスコで草
ノベルバユーザー318475
ユウマが他のところにいってるってしらないかもしれないからじゃね
ノベルバユーザー69968
ウラヌス十字軍はユウマが魔王だと思っているのに何でアライ村に目が行くと思っているのか